| エアロパッケージの変更によってここまでのパフォーマンス向上を達成できるという事実は興味深い |
現時点ではエヴァイヤXの市販化には言及されておらず、しかし数台は必ず販売されるだろう
さて、ロータスが「エヴァイヤX」にてニュルブルクリンクへとアタックし、史上3番目に速いラップタイムを記録したと発表。
なお、この「史上3番目」というのは市販車だけではなくレーシングカーもひっくるめてのタイムであり、ポルシェ 919 ハイブリッド EVOの5:19.545、フォルクスワーゲン ID.R が記録した6:05.336に次ぐ6:24.047という数字です。
こうやって数字を見るとずいぶん(ポルシェとフォルクスワーゲンとの間に)開きがあるように思えますが、今回ロータスがこの記録を達成したのは「ウエット」の状況下なので、これが仮にドライであれば、もっとタイムを詰めることができていた可能性が考えられます(タイムアタックを行うにはコースの貸し切りが必要であり、ロータスが予約し借り切った日に雨が降ったのだと思う)。
エヴァイヤXは「量産車ベース」だとニュルブルクリンク最速
ここで注目すべきは、エヴァイヤXが(いかにサーキット走行専用に特化したチューンが施されているとしても)市販モデルのエヴァイヤをベースとするという点で、生粋のレーシングカーとして天文学的なコストをかけ、様々な制約を排除して作られた919ハイブリッドEVO、ID.Rとはまったく異なる条件にあるということ。
よって、公道走行はできないものの「量産車ベースのクルマとしてはニュル最速」だと言ってよいかと思います。
このエヴァイヤXは上述の通り市販バージョンのエヴァイヤを「アタック仕様」へと改装したもので、4つのエレクトリックモーターと70kWhサイズのバッテリー パックを持ち、これによって約2,000馬力(正確には2,039馬力)を発生しますが、驚くべきことにエレクトリックドライブトレーンはノーマルのままだといい、逆に変更されたのは「エアロダイナミクス」。
カナダのエンジニアリングカンパニー、マルチマチック社(フォードGTの製造で知られる)との協業によって空力、それに付随するハンドリングを磨きをかけ、巨大なリアウィングに加え鋭いフロントスプリッターとカナードを備えることに。
Time for Evija X #Evija #ForTheDrivers pic.twitter.com/rnDXBlMM6r
— Lotus Cars (@lotuscars) April 25, 2024
その結果として、なんと最大で3,000kgものダウンフォースを発生しますが、これはヴァルキリーAMR Proの3,600kgには及ばないものの、常識外れの数字であることには間違いないと思います(ロードカーだと、マクラーレン・セナの800kgが最高レベルのダウンフォースである)。
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その他の改良点には、ピレリ P-Zeroレーシングスリックとカーボンブレーキ ディスクがアナウンスされていますが、当然ながら相当な軽量化が施されていると考えていいいのかも。
現時点でロータスはこのエヴァイヤXの市販について言及していないものの、今回のニュルブルクリンクでのパフォーマンスにおける発表を見た顧客がロータスに問い合わせを行うことは間違いなく、これもまたロータスにとっての大きな収入源となりそうです。
なお、今回のタイムはリマック・ネヴェーラの達成した「市販EVにおけるニュル最速タイム」である7:05.298に比較しても相当に速いタイムであり、同じ2,000馬力級のEVであっても、エアロパッケージだけでここまでタイムが変わってくるという事実を示唆しているのかもしれません。
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参照:Lotus