| ジャガーはこれまでその方向性が明確に対外的に示されていなかったが、この新型エレクトリックGTによって様々なヴィジョンが明かされることになるだろう |
ジャガーにはぜひ過去の栄光を取り戻し、だれもが敬意を払うブランドに返り咲いて欲しいものである
さて、日本だけではなく世界規模にて存在感を欠いてしまっているジャガー。
現在ジャガーはインドのタタ・グループに属し、1年ほど前には「ジャガー・ランドローバー」から「JLR」へと社名を変更していますが、これにあわせて「ディフェンダー」「ディスカバリー」「レンジローバー」「ジャガー」という4つの独立した部門を設置することとなっています。
そしてこの4つの部門(ブランド)においてはジャガー以外はいずれも好調で、しかしジャガーのみが今ひとつ精彩を欠いているわけですね。
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ジャガーはこれまで「なかなか方向性が定まらなかった」が
なお、ジャガーが伸び悩んでいたのはその方向性を決めかねていたからだと考えていて、SUVを拡充するでもなく、EVをテコ入れするわけでもなく、スポーツカーに注力するわけでもなく、はたまたサルーンを投入するわけでもなく、つまり「ブランドの今後を示すニューモデルの投入がなかったから」なのかもしれません(少なくとも、ぼくはそう考えている)。
ただし今回報じられた内容だと、その沈黙を破ってジャガーがついに「新型GT」を発表するとされ、ジャガーの最高経営責任者(CEO)、エイドリアン・マーデル氏が語った内容だと「この新型GTはピュアエレクトリック」「今年後半に発売」「価格は10万ポンド(現在の為替レートにて約2000万円)から」。
この新型GTは過去10年間のジャガーのポジションである「中級高級ブランド」から「高級市場」へと移行させる役割を持つといい、さらにはこれまでのジャガーのイメージを変革し、ターゲットをポルシェそしてベントレーに置くと言われています。
メイン市場は米国を想定しているというので、(今年後半の発売ということを考慮すると)ペブルビーチやLAオートショーでの発表が濃厚だとも考えられ、大きく期待がかかるところでもありますね。
NEWS: Introducing the Jaguar Vision Gran Turismo SV – the ultimate all-electric virtual endurance race car designed by Jaguar and engineered by Jaguar SV for Gran Turismo https://t.co/4SjVTdOdsr pic.twitter.com/1LuprKPkiu
— Jaguar (@InteractiveJag) December 16, 2020
新型ジャガー「エレクトリックGT」はどんなクルマに?
ただ、ターゲットをポルシェやベントレーに定めると言っても、それらの二番煎じとなるわけではなく、このニューモデルは競合他社の製品とはまったく異なるものになるもよう。
エイドリアン・マーデルCEOは「顧客がいったんそのクルマを見たならば、喉から手が出るほど欲しくなるでしょう」と語り、唯一のインスピレーション元となるのはEタイプなどの以前のジャガーモデルであり、しかし新しいジャガーエレクトリファイドアーキテクチャ(JEA)プラットフォームを採用することで並外れたパフォーマンスを誇ることになる、とも。
ただしその運動性能やEV性能に関する数値は公表されておらず、しかしチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるジェリー・マクガバン氏が以前に語った内容だと「一回の満充電あたりの走行距離は約700km」というものがあり、しかし実際にどうなるのかはもちろん不明です。
なお、ジャガー含むJLRはエレクトリック化に対して非常に積極的で(JLRに限らず、ケータハム、ベントレー、ミニ、ロールス・ロイスなどイギリスのブランドはいずれも電動化に熱心である)、ジャガーは現在3つのピュアエレクトリックモデルを導入する計画を持っているといい、この3車種についても詳細には言及されていないものの、FタイプクーペやXF、XEセダンなどの過去のガソリン車に代わるものだとされており、別の報道では(ジャガーが2012年から提携関係を結んでいる)中国の自動車メーカー、奇瑞汽車から技術的な支援を受ける可能性も指摘されています。
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— Jaguar (@InteractiveJag) March 12, 2021
今後のジャガーがどうなるのか(思惑通りに物事が進むのか)わからないものの、前出のジェリー・マクガバン氏は「我々はジャガーを現代の高級ブランドとして根本的に再考しました。ジャガー変革の鍵は、デザインが何のコピーでもないことを伝えることなのです」とコメントしているため、あくまでもジャガーとしては独自のデザインによって独自のポジションを構築し、1990年代の「誇り高き」時代を再現したいのかもしれません。
しかしながらちょっとした懸念も存在し、今の状況において顧客が「ピュアエレクトリックGTに大金を払うかどうか」ということで、ジャガーはその金額を納得させることができるだけの排他性を持たせなければならないということになりそうです(ただ、ぼくとしてはクラシカルな丸4灯時代のデザインを現代に”ネオレトロ”として蘇らせればけっこう多くの人に刺さるんじゃないかと考えている。スポーツタイプであればジャガー自身が言うようにE-Typeを意識したクルマが望ましい)。
NEWS: Jaguar unveils custom “Greatest Hits” XJ built for @IronMaiden drummer Nicko McBrain at Geneva Motor Show @GimsSwiss #Jaguar #IronMaiden #NickoMcBrain https://t.co/LNrsUa5u1Y pic.twitter.com/p7YoZHsjwc
— Jaguar (@InteractiveJag) March 6, 2018
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参照: Automotive News Europe