>VW(フォルクスワーゲン/Volkswagen)

VWの中国での工場稼働率が58%にまで低下。本国同様に工場の閉鎖が報じられ、しかも「1つや2つではない」。生産台数は2015年のピークから半減、コロナ前の3/4へ

フォルクスワーゲン

| フォルクスワーゲングループは一気に好調から「負の連鎖」へ突入 |

現時点でこの流れを変えるための手段が見あたらないのが実情である

さて、ここ最近「不調」が伝えられることが多いドイツの自動車メーカー。

ポルシェ、アウディ、メルセデス・ベンツ、BMWなどが相次いで「悲観的な見通し」について言及していますが、今回はフォルクスワーゲンが「早ければ来年にも中国の南京工場を閉鎖する」と報じられています。

現在フォルクスワーゲンでは販売の急落に歯止めがかからず、その急落は「メインであった中国市場」「お膝元である欧州市場」両方に原因があるとさされ、「自動車業界二位の」販売台数を誇るグループに暗い影を落としています。

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フォルクスワーゲンの中国工場の稼働率はわずか58%

正確に言うならば、フォルクスワーゲンの南京工場は合弁相手の上海汽車(SAIC)との間で運用されており、中国全土では39もの工場が稼働していますが(雇用者数は9万人)、現在の生産能力は「マックスで」210万台、しかし現在は58%にとどまっているとされるので、いかに状況が深刻であるかもわかるかと思います。

マクサス
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そして南京工場は「36万台」という比較的大きな生産キャパシティを持っており、VWパサートのほか、シュコダの複数のモデルを生産しているものの、とくにシュコダの需要が下がっていることが問題となっているもよう。

フォルクスワーゲンはすでにシュコダの戦略見直しを行っているそうですが、浙江省寧波市にあるシュコダ車両を生産する第2工場もについても何カ月間も休止状態にあり、回復の目処が立たないというのが実情でもあるようですね(これら2工場についても閉鎖される可能性がある)。

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閉鎖の報道について質問されたVW中国は、「車両生産と部品工場を段階的に改革している」「SAICフォルクスワーゲンの全工場は、市場の要求と当社の予測に従って通常通り稼働している」返答し、つまりはネガティブな回答を避けている状態ですが、フォルクスワーゲンの中国における生産はコロナ前の3/4、2015年のピークに比較すると約半分にまで減少しているとされ、情報筋によると「工場を完全に閉鎖するか、売却を試みるかどうかはまだ決めていない」とのことではありますが、この状況を鑑みるに(販売回復の見込みが立たないので)、閉鎖あるいは他工場へと設備と人員を移動させる可能性が高いと見られています。

参考までに、フォルクスワーゲンが中国工場での自動車生産を停止するのは初めてではなく、2022年には上海市安亭製造地区にある第1自動車工場を閉鎖して別の工場に生産を移したことも。

しかしながら今回閉鎖が検討されている工場が「1つや2つだけではない」ことが波紋を呼び、さらにフォルクスワーゲンは「同社史上初」となるドイツ工場(しかも2つ)を閉鎖する可能性も検討していると報じられ、当然ながらこの計画は労働組合から激しい反対を受けています。

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