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2024年9月の輸入車登録ではVWは6割減、プジョー/シトロエンは5割減と普及価格帯では惨憺たる状況に。一方ポルシェ、ランボルギーニなどプレミアム勢の多くは好調そのもの

フォルクスワーゲン

| この結果は確実に「戦略と判断」の差異があらわれた部分もであり、ここからギャップを埋めるには長い時間を要しそう |

とくに欧州の普及価格帯自動車メーカーでは「EV移行」が鮮明になり、日本市場との整合性が取れない

さて、2024年9月の輸入車登録状況が公開。

全体的には23,167台が登録され、これは前年同月比で86.4%という水準ですが、ここに大きく影響しているのはフォルクスワーゲン(前年比38.7%、つまり6割以上減っている)、そしてプジョーやルノー(いずれも半減)、ミニ(2割減)といった上位の販売減少です。

これらについてはおおよその原因が判明しており、「ガソリン車の開発を停止しEVへと移行しようという方針を持っている(あるいは持っていた)」ために既存ガソリン車のラインアップが更新されずに古くなっていて、そして新しく投入されるEVの価格はとんでもなく高く、よって消費者としては「買う意味を見いだせなく」なってしまっているわけですね。

ただ、この現象は日本だけではなく世界中でも同様と見え、フィアットは「もはや誰も買わなくなった」500eのかわりにハイブリッドバージョンを投入する計画を示し、フォルクスワーゲンやボルボもEV重視姿勢を変更する動きを見せていて、しかしプジョーやシトロエン、ルノーについては今のところ既存の「EVシフト」路線を継続する意向を見せており、こういった判断の相違が今後どう販売に現れてくるのかは注目に値するところだと思います。

フィアットが本来4週間の「500eの生産休止」をさらに3週間延長すると発表。労働者に対し「需要が全くありません。いまEVは深刻な問題を抱えています」と説明する事態に
フィアットが本来4週間の「500eの生産休止」をさらに3週間延長すると発表。労働者に対し「需要が全くありません。いまEVは深刻な問題を抱えています」と説明する事態に

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参考までに、アメリカでは「売上が半分になった」と報じられるマセラティについても「日本でも半分に」なっていて、こちらは「価格があまりに高くなった」「マセラティらしさが失われてしまった」新しいラインアップが消費者に受け入れられていないのかもしれません。

マセラティ
売上「半減」のマセラティ。親会社は「マーケティング」手法を非難するもボクはその原因はもっと「奥深い」ところにあると考える。なぜこういった状況に陥ったのか

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2024年9月の輸入車登録状況はこうなっている

ブランド当月販売台数昨年同期比今年の累計昨年同期比
メルセデス・ベンツ5,637111.4%39,775105.7%
フォルクスワーゲン1,61638.7%17,41075.9%
BMW3,70496.4%25,13799.6%
アウディ2,19690.5%17,07894.5%
MINI1,87279.4%10,87682.9%
ボルボ1,872112.2%9,39786.3%
ジープ1,02686.5%6,98380.1%
プジョー44755.4%3,90461.9%
ポルシェ1,426147.3%7,364117.8%
ルノー35244.2%3,91869.1%
フィアット576127.4%3,28496.1%
シトロエン24848.7%2,15251.9%
ランドローバー77383.7%6,15192.7%
アバルト209169.9%1,450136.7%
アルファロメオ9759.1%76957.1%
ジャガー4979.0%47088.2%
フェラーリ11587.1%1,077100.6%
マセラティ11548.1%92279.6%
DS4255.3%36447.6%
ランボルギーニ93106.9%572134.3%
キャデラック62140.9%34075.9%
ベントレー3860.3%41387.7%
フォード1458.3%12963.2%
ダッジ313.0%8248.5%
ロータス3570.0%237219.4%
マクラーレン28254.5%196155.6%
BYD257138.2%1,742196.6%
アストンマーティン45150.0%392121.4%
ロールスロイス29223.1%274171.3%
シボレー6676.7%44375.3%
アルピナ33150.0%300137.0%
ヒョンデ58161.1%486162.5%
ブガッティ1228.6%
合計

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参照:日本自動車輸入

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