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アストンマーティンが「ベントレーのCEO」を迎えた半年後、新戦略を次々発表。「ポルシェ911を参考にしたバリエーション強化」「MTの復活」

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| ここまで具体的、かつ競争力のある戦略を発表したアストンマーティンCEOは存在しなかった |

この独自性のあるプランに基づいた成長には期待したいところである

さて、様々なカーメディアが報じている「アストンマーティンの今後」。

おそらくはメディア向けのイベントが開催されたようで、そこでそれぞれのメディアがアストンマーティンCEO、エイドリアン・ホールマーク氏へとインタビューを行い、その段階において様々な情報を引き出してくれているようですね。

新しいアストンマーティンの計画では「バリエーション拡大、マニュアル・トランスミッションの復活」

エイドリアン・ホールマークCEOはベントレーを辞しアストンマーティンへと移ってきた人物ですが、「ベントレー」「アストンマーティン」ともにラグジュアリーブランドであり、そしてベントレーはランボルギーニやポルシェらとともにフォルクスワーゲングループに属するため、同氏は非常に多くの経験や知見を持ち、それをアストンマーティンでも活かせるのではないかと思われます。

そしてまず同氏が触れたのが「ポルシェ911を参考にしたバリエーション展開」。

今やポルシェ911は(そのモデルライフ末期では)30にも迫るバリエーションを持つ一大ファミリーに成長していますが、それぞれのバリエーションごとに異なる性格を演出することでお互いの食い合いを最小限にとどめ、しかし販売台数を最大化しています。

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よってエイドリアン・ホールマーク氏はこの手法を取り入れ、「すでに開発済みのモデルを活用し、短期間でより多くのバリエーションを展開することで販売を最大化する」ことを狙っているということになりますね。

加えて同氏は「既存のレーシングカーをロードカーへと戻す」ことについても言及しており、つまりは「GT3」カテゴリで戦うレーシングカーを公道仕様として発売することにも触れていますが、いくつかのバリエーションは(おそらくは認証の関係で)特定の市場でしか販売されない可能性があるとも述べています。※意外かもしれないが、アストンマーティンは(オフロードを除くと)ほとんどすべてのモータースポーツに関与する自動車メーカーである

そしてもう一つ重要なのが上で述べた「マニュアル・トランスミッションの復活」。

「各バリエーションをどのように開発していくか、その方向性をどう決めるか? スポーティで本物のスポーツカー体験を提供するためには、マニュアル・トランスミッションが必要です。私たちはマニュアル・トランスミッションを持っていますが、少し異なるものが必要です。しかし、乞うご期待ください。」

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そして彼が語る「少し異なるもの」とは限定生産、そしてマニュアル・トランスミッションを積んだ「ヴァラー」および「ヴァリアント」のような高価な少量生産モデル、上で示した「公道用へコンバートされたレーシングカー」のような存在だと思われ、「MT専用モデル」なのかもしれません。

アストンマーティンは2019年の「バンテージ AMR」以来、通常の生産モデルでマニュアル車を提供していませんが、ポルシェ911GT3やS/Tのように、高性能車市場でのマニュアル車には確かな需要があることが証明されており、近年のポルシェが「バリエーション間での差別化要素」として使用していることからもわかるとおり、マニュアル・トランスミッションは「使い方次第で」非常に有効な手段として機能することを認識しているのだと思われます。

さらにエイドリアン・ホールマーク氏はアストンマーティンのオプションリストを拡充し、顧客にもっと多くのパーソナライズの機会を提供したいと考えていると述べ(ただし現時点でもアストンマーティンには相当数のオプションが存在する)、実際に「就任初期に、競合他社のオプションリストを徹底的に調査し、その中からアストンマーティンブランドに適合するものを選定した」とも述べていて、この新しいオプションリストは、近日中に発表される予定であることにも言及されています。

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アストンマーティンは「ハイパフォーマンス」企業へ

最後にエイドリアン・ホールマーク氏はアストンマーティンを「ハイパフォーマンス」企業に変革するという大きな目標を掲げ、「ビジネスパフォーマンスの観点から、この会社は非常に高い潜在能力を持っており、私たちはそれを高いパフォーマンスを持つ企業に変える必要があります。クルマだけでなく、オプションや派生モデルなども、売上や利益に貢献しますが、組織としてもっと効率的で生産的でなければなりません」とも。

ただし現時点ではその「効率化」については触れられていないものの、月末に発表される2024年の財務結果にあわせてその手法が公開されるといい、これまでのアストンマーティンには見られなかった「具体的な」計画に期待したいところですね。

「私のミッションは、112年の歴史の中で、持続的に利益を上げられる初めてのCEOになることです。」

アストンマーティンCEO エイドリアン・ホールマーク

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参照:Motor1

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