
| スポーツカー=売るときに値下がりするというのがかつての定説であったが |
今では「選べる」スポーツカー自体が非常に少ない
さて、スポーツカーというと少し前には「購入した後の値下がりが大きい車種」の代名詞であったと記憶していますが、最新の調査ではむしろ「値下がりしにくい」ことがわかっており、最新のiSeeCarsの調査では、「5年間の減価償却率において、スポーツカーがその価値を高いレベルで保持する(つまり価値が下がらない)」ことがわかり、減価償却率が最も低い車両のトップ10にはスポーツカーが5車種もランクインしています。
この現象については明確な「理由」が見当たらず、しかし考えられるのは「スポーツカーそのものの数が減ってしまった」。
なぜスポーツカーはその価値を維持できるようになったのか?
現在多くの自動車メーカーが「スポーツカーは売れない」という理由にて生産を終了させており、たとえばホンダやアウディは「定番モデルとしてのスポーツカーを持たない」メーカーに。
さらにBMWもZ4の生産を終了させると報じられているので、BMWもやはり「専用に設計されたスポーツカー」を失ってしまうこととなってしまいます。※スバルもBRZを終了させるなど、この流れは加速している
こういった状況において、「新車で買えるスポーツカー」がどんどん減っているのだとも考えられ、しかしスポーツカーの需要自体はさほど減っていないのかもしれず、つまり「以前は需要よりも多くのスポーツカーの選択肢が存在したものの、今では需要よりも少ないスポーツカーしか市場に存在しない」ということなのかもしれません。
そこで「価値が残るクルマ」のリストを見てみると以下の通りとなりますが、データは2024年3月から2025年2月にかけて販売された80万台以上の5年落ちの中古車を分析した結果として得られたもので、ポルシェの2車種(911と718ケイマン)がトップに立ったことがわかります。
ポルシェ911は(5年間の)平均で19.5%、718ケイマンは21.8%の価値を失うにとどまり、シボレー・コルベットは27.2%、生産が終了したシボレー・カマロは28.0%の値下がりとなっていますが、いずれも(一般的な観点から見ると)非常に小さいレベルと言ってよいかと思います。
モデル | 5年間の平均値下がり率 | 新車価格との差額 |
ポルシェ911 | 19.5% | $24,428 |
ポルシェ718ケイマン | 21.8% | $15,851 |
トヨタ・タコマ | 26.0% | $8,217 |
シボレー・コルベット | 27.2% | $18,557 |
ホンダ・シビック | 28.0% | $6,987 |
シボレー・カマロ | 28.0% | $8,653 |
トヨタ・タンドラ | 29.1% | $11,659 |
フォード・マスタング | 29.2% | $9,325 |
ポルシェ718ボクスター | 29.6% | $22,155 |
トヨタ・カローラハッチバック | 30.1% | $7,156 |
なお、スポーツカーのほか、トヨタのトラックも優れた数値を示していて、タコマとタンドラがトップ10にランクイン(タコマは26.0%の減価償却にとどまり、タンドラは29.1%の価値を失ったのみ)。
ホンダ・シビックやトヨタ・カローラハッチバックはそれぞれ28.0%、30.1%の値下がりとなっていますが、これらは「実需」によって支えられているのかもしれません。
こうやって見ると、「売るときに困らない」クルマの条件が見えてくるようにも思われ、供給が少ないピュアスポーツ(スポーティカーではない)、業務に使用できるクルマや、日常の足として信頼性が高く維持コストが安いクルマの「リセール」がいいのかもしれませんね。
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参照:Motor1