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「中国車の敵は中国車」。現在の中国ではEV市場の競争があまりに厳しく、「BYDとテスラが支配する市場において、NIO、シャオペン、Li Autoすら生き残る可能性はゼロ」

「中国車の敵は中国車」。現在の中国ではEV市場の競争があまりに厳しく、「BYDとテスラが支配する市場において、NIO、シャオペン、Li Autoすら生き残る可能性はゼロ」

| 文字通り中国のEV市場は戦国時代にあり、淘汰が進む状況となっている |

最終的に「生き残る」ブランドは10社にすぎないと結論付けられる

さて、中国の新興EVメーカーはピーク時で400~500社ほどもあり、しかし最終的には「10社程度しか生き残れないであろう」と言われています。

そして今回、テンセントニュース主催のパネルディスカッション「Auto Market Hot Topics+」にて、同済大学自動車工学部の朱西産(Zhu Xican)教授がこの事情について言及し、中国のEVスタートアップ「NIO(ニオ/蔚来)」「Xpeng(シャオペン/小鵬)」「Li Auto(リーオート/理想汽車)」の今後について厳しい意見を述べることに。

EV
中国で「ピーク時には500社もあった」EVメーカーが今では100社へ。すでに市場は雌雄が決し、テスラとBYDでEV市場の半分、上位4社で66%を占める

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「NIO(蔚来)」「Xpeng(小鵬)」「Li Auto(理想汽車)」は合併なしには生き残れない

朱西産教授は、「この3社のうち、どこも破産せずに独立して存続できる可能性はゼロだ」と断言し、「できるだけ早く、合併・再編・協業が必要」であるとコメント。

その理由として、年200万台未満の販売規模では生き残れないと指摘していますが、「(EVは)研究開発費が高額である以上、小規模では採算が取れず、R&D(研究開発)投資を削れば技術革新も止まってしまう。少ない生産量で高いR&D投資を続ければ、いずれ破綻する」とも語っています。

各社の現状評価はこうなっている

朱西産教授は、現時点ではLi Autoが最も安定していると評価しており、その理由は「致命的な失策を避けてきたため」。

一方、Xpengは初期段階でソフトウェアに依存しすぎ、ハード面を軽視したために製品品質に問題を抱えていることに触れ、しかし、王鳳英氏(元・長城汽車のCEO)やXpengの現CEOが主導して改善を行っており、その状況は改善される傾向にあると補足しています。

NIOについては、CEOのWilliam Li氏が“雰囲気づくり(ブランディング)”に偏りすぎており、研究開発への本気度が足りないと手厳しく批判していて、この3社の中ではもっとも「将来を期待できない」という判断を下しているようですね。

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他の専門家はこう語る

中国自動車流通協会の専門委員会メンバー、李彦偉(Li Yanwei)氏は、「もしLi AutoがEV市場でも成功できれば、他の2社よりも明確なアドバンテージを持つ」とコメント。※Li Autoは同じEVでも、BEVよりもEREVに強みを持つ

特に、これまで成功してきたEREV(拡張型レンジEV)の販売モデルを完全電動EVにも展開できれば、市場シェアと利益のさらなる拡大が期待できると述べています。

李彦偉氏はまた、「EV市場には今、あまりにも多数のブランドが存在し、淘汰が避けられない」とし、「BYDこそが最大の脅威であり、小規模ブランドの多くには生き残る価値がない」とも述べ、「中国の自動車メーカーの敵もまた中国にある」ことを指摘していますが、これはつまりBYDにはない価値を提供せねば「消費者にとってその製品は意味がない」ということを示しています。

シャオミの台頭と今後のサバイバルライン

別のアナリスト、伊然(Yiran)氏は、「年間2000万台のEV市場で、200万台以上売らなければ生き残れない」との前提に立つと、生き残れるブランドは最大で10社程度に限られると推測。

最近話題となっているシャオミ(Xiaomi) SU7の成功については、「デザインやスペックの良さだけでなく、“小米”という巨大ブランドへの信頼感が後押ししている」と指摘。

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家電やスマホなど他業種での成功によって「このブランドは簡単には潰れない」という安心感が消費者にあるため、中古車市場でも高評価を得ていると分析しています(中国ではいとも簡単に自動車メーカーが消滅し、そうなるとコネクテッド関連サービスが使用できなくなるばかりか、アップデートを受けられなくなり、車両が使い物にならなくなる)。

テスラに関しては「ブランド力の高さとリセールバリューの強さが購買動機になっている」という認識を示し、「EV市場では“安心して買える会社”であることが大きな強み」と締めくくっていますが、「BYDの価格競争力とテスラのスケールが支配する市場において、NIO・Xpeng・Li Autoのいわゆる“チャイナEV御三家”が生き残るには、統合・技術再発明・戦略的再構築のいずれかが不可欠だ」と結論付けられており、朱西産教授の言葉を借りれば、「独立して生き残る確率はゼロ」——それが中国EVスタートアップの厳しい現実ということになりそうです。

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参照:CarnewsChina

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