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| 自転車部門に続きスーパーカー事業も終了。36台しか売れなかったX-Bowの運命とは? |
なんとか再建の道が見えてきたKTMではあるが
以前より危機が報じられるオーストリアのモーターサイクル(バイク)メーカー、KTM。
今回スーパーカー「X-Bow(クロスボウ)」の製造・販売を終了する見通しであることが明らかになり、これは同社の新CEO、ゴットフリート・ノイマイスター氏がインタビューの中で語ったもので、「集中と簡素化」という新しい経営再建の犠牲になるとされています。
KTMはこの1年で多くの困難に直面し、倒産寸前にまで追い込まれましたが、インドのバイクメーカーBajaj(バジャージ)の救済により、事業継続が可能となっているというのが最新の状態です。
ただし、その再出発のキーワードは「モーターサイクルに特化すること」。それ以外の事業は切り捨てられるという方針が今回明確にされています。
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「X-Bowは素晴らしいが、売れなかった」。わずか36台の販売が命取りに
KTMはこれまで、バイクだけでなく、自転車部門やCFMotoとのパートナーシップ、さらにはスーパーカー「X-Bow」の開発・製造・販売にも手を広げていますが、このX-Bowはレースカーのような設計で高評価を受けた一方、販売台数は2023年でわずか36台にとどまったという事実も。
「X-Bowは素晴らしいプロジェクトで、我々の技術力を示すには最適だった。しかし、それはバイクの販売にはつながらない。」
KTM CEO ゴットフリート・ノイマイスター
また、同氏は「CFMotoの販売停止もパートナーと協議の上で決定した」としており、今後はあくまでKTM自社ブランドに集中する姿勢を明確にし、上述の通りの「選択と集中」を進める中、厳しい判断を下すこととなったようですね。
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自転車部門も年内で終了、「純粋なバイクブランド」に立ち返るKTM
そしてバイク専業への回帰に伴い、自転車部門も2025年末までに終了する予定。
KTMは今後、ブランドの再構築を図る中で、収益性の低い事業を精査していく方針だと述べており、X-Bow、そして自転車事業もその一環として切り捨てられることが決定しています。
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【まとめ】X-Bowの終焉はKTMにとって“英断”か?
X-Bowはアリエル・アトムなどと並ぶ「ナイフのようなピュア・ドライバーズカー」として知られており、ファンからの評価が高いクルマであることが知られています。
しかし、経営危機に瀕するKTMにとって、売れない夢のプロジェクトを抱え続ける余裕はないのが現実で、今回の「X-Bow終了」はビジネスとして冷静な判断が求められた結果と言えそうです。
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ただ、希望があるとすれば「X-Bowの売却プロセスが進行中」と報じられていることで、近い将来にはX-Bowの設計や生産設備を買い取り、このX-Bowを存続させる会社が出てくるのかもしれません。
X-Bowのような“夢の具現化”は一旦幕を閉じますが、KTMの挑戦と技術力は今後もバイク分野で発揮されるはずで、今後のKTM再建に期待するとともに、新生X-Bow誕生の声を聞くことができる日を待ちたいと思います。
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参照:Rideapart