
| ブガッティEB110は「ハイパーカーの原点」とも言える名車 |
そしてキザル・サリーム氏もまた、もしも系レンダリングの元祖である
さて、現在では一つのジャンルとしてその地位を確立した「もしも」系レンダリング。
これはCGアーティストが「もし」このクルマがこうであったならというIF設定を視覚化したもので、現実の常識や技術の範疇を超えて「別の時間軸や世界観での進化」など様々な視点から、自由な発想で作られた作品たちを指しています。
ただ、「事実は小説より奇なり」というべきか、ネタ切れとなってしまったリアルワールドのチューナーたちがこの「もしも系レンダリング」にインスピレーションを求めるようになり、「現実には存在しないクルマ」として考えられたレンダリングが「現実に転生している」のが現在の状況です。
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キザル・サリームが再解釈する「EB110-K」。もしこうだったら…
そこで今回登場したのが、そのもしも系レンダリングの「元祖」ともいえるデザイナー、キザル・サリーム(Khyzyl Saleem)氏による「ブガッティEB110-K」。
ブガッティEB110は、フランスの名門ブガッティが1950年代の活動停止を経て1990年代に復活を遂げた際、ブランドの再出発を象徴するモデルとして発表されたスポーツカーで、当時のライバルであるランボルギーニ・ディアブロやジャガーXJ220を上回るパフォーマンスを記録し(ニュルブルクリンクでも)、世界初の“現代的ハイパーカー”としてその名を轟かせた存在です。
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そんなEB110をキザル・サリーム氏が現代的にリデザインしたのが今回の作品ですが、彼はこの作品を「ブガッティEB110-K」と命名し、これまでに生産されなかったデザインプロトタイプからインスピレーションを得て「完成形」へと導くことに。
イタリア人デザイナーのマルチェロ・ガンディーニとジャンパオロ・ベネディーニが手掛けたオリジナルのEB110は、美しいとは言いがたいスタイリングだったとも言われるものの(途中でブガッティ上層部とマルチェロ・ガンディーニとの間でデザイン的解釈の相違が生じ、デザインの途中でガンディーニが降りている)、サリーム氏の手によるEB110-Kはその印象を一新しています。
「これこそが本当のブガッティ・チェントディエチでは?」という声も
なお、現在のオトモビル・ブガッティは、2019年にEB110へのオマージュとなる「チェントディエチ(Centodieci)」を発表し、限定10台のみを製造(価格は約9億円)していますが、このチェントディエチにつき、性能面では申し分ないものの、デザインについては「やりすぎ」「過剰演出」との評価も見られたのもまた事実。
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それに対し、EB110-Kはよりクリーンで洗練されたフロントデザインが特徴的で、カーボンファイバー素材を効果的に使用したロアバンパー、そしてバンパーに設けられた通気口、そしてオリジナルEB110を彷彿とさせる楕円形のテールランプ、そして円形のダクトなど、細部へのこだわりも表現されています。
唯一の欠点?カーボンルーフとオーバースタイルなリアウイング
一方で、カーボンファイバー仕上げのルーフとエンジンカバーはやや賛否が分かれるポイントで、横から見ると「ハイパーカーにしては」軽快すぎる印象を与えており、流麗なクーペらしさに欠けるという意見見られます。
また、リアウイングの両サイドの造形がやや過剰とも評されており、とはいえ、ツインエキゾーストや全体のシルエットは、確実にEB110の精神を受け継いでおり、「チェントディエチよりEB110-Kの方が良い」という声がSNSでは散見されるようですね。
実車化は…?今のところCGのみだが、可能性はゼロではない
残念ながら、このEB110-Kは今のところCG上の存在に留まっており、実際に製作される予定は示されておらず、ただし、過去にサリーム氏の作品が実車化されたケースもあることから、「世界に139台しか存在しないEB110のうち、誰かがこのデザインで再構築するかも?」という淡い期待も抱いてしまいます。
そして現実世界では、新型ワンオフ「ブガッティ・ソリテール」が間もなく公開
一方、本家ブガッティは現実世界で新たなワンオフモデル「ソリテール(Solitare)」を予告中。
公式ティーザーにはブガッティ特有のフロントグリルと、リアセクションとみられる流れるようなボディラインが写されており、こちらは2025年8月7日、モントレー・カーウィークに先駆けて正式発表される予定です。
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