
| ランボルギーニ、V12エンジン搭載モデルを「2030年以降も存続」へ |
これはひとつの「大きな方針の転換」である
2023年のレヴエルト発表以来、ランボルギーニは「2030年まではV12を継続する」と明言してきましたが、しかし今回、その方針をさらに延長することを発表。
これは大きな方針の転換とも言えるもので、プロダクトライン・ディレクターのマッテオ・オルテンジ氏は、米国モントレー・カーウィーク内「ザ・クエイル」での新型フェノメノ(Fenomeno)発表にて次のようにコメントしています。
「我々の視野は2030年を超えています。V12はレヴエルトのキャラクターの一部であり、そのレスポンスは我々にとって重要なシグネチャーです。だからこそ変えるつもりはありません。」
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ハイブリッド化がV12存続のカギ
ただし「V12エンジン単独」での存続とはならず、マッテオ・オルテンジ氏は、V12を存続させる理由(条件)としてレヴエルトに採用されたハイブリッドシステムを挙げており、つまり、電動化は「V12を生き残らせるための必須要素」であって、環境規制に対応しつつ伝統を守る手段となっていることを強調している点には要注目(このあたり、V12単独での存続を目指すフェラーリ、そしてアストンマーティンとは異なる)。
「この技術によって、特にCO2や排出ガス規制に対応することが可能になった。もしこの仕組みがなければ適合は難しかったでしょう。」
グローバル規制への対応
今回の決定は米国の規制緩和(トランプ政権による排ガス規制罰則の撤廃)とは無関係だといい、むしろ、マッテオ・オルテンジ氏は中国の排ガス規制「China VI(国六)」など、世界各国の規制をクリアする必要性を強調し、ランボルギーニのような小規模メーカーにとって、「世界中で通用するひとつの解決策」が求められることについても触れています。
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そして今回発表された方針は「2030年を皮切りに、ガソリンエンジン搭載車の新車販売が禁止される」という欧州市場の動向にとらわれず、「全世界で」販売することを重視した決定だとも受け取ることが可能ですが、「V12エンジンを存続させる」ということはランボルギーニというブランドにとって「他のどんなことよりも(ブランディング上)重要」といった判断が働いたのかもしれません。
EV計画の見直し
V12存続のニュースは、同社のEV戦略見直しとも連動しており、この流れからも、完全EVより「ハイブリッド+内燃機関」を重視する姿勢が鮮明となっていることは間違いなく、ただし今回、合成燃料については触れられなかったようなので、「2030年以降、どういった形でV12が存続するのか」については続報を待つ必要がありそうですね。
- 当初は2028年に初のピュアEV
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まとめ:電動化の時代でも「ピュアV12」は生き続ける
今回の発表により、ランボルギーニの未来像はより明確になり、つまり「電動化と内燃機関の共存」が今後のランボルギーニの方向性と言えます。
V12の存続は、スーパーカー市場におけるランボルギーニの存在意義そのものであり、ファンにとって朗報といえそうです。
- フル電動化は延期・再考
- 全モデルが電動アシストを採用
- V12など高回転型ICEは存続
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参照:Motor1