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| A4 e-tron:アウディのEVセダン”空白”を埋める存在に |
アウディはいつの間にかライバルとの「競合」を持たないメーカーに
BMWが人気モデル3シリーズの電動版「i3」を、メルセデス・ベンツがCクラスの電動版「EQ Tech」を相次いで投入する中、アウディは手頃な価格の電動セダンを持たないという奇妙な状況に置かれています。
そしてやはりメルセデスAMG、BMW「M」に対抗しうるピュアスポーツカーも存在しない状況ではありますが、この状況が変わるかもしれない、というのが直近の報道。
まず「スポーツカー」についてはコンセプトCがその欠損を埋めることとなり、しかしセダンについては「A4のEV版、A4 e-tron」によってカバーされることとなるもよう。
そしてこのA4 e-tronは新しいプラットフォーム、そしてコンセプトカー「コンセプトC」にインスパイアされた大胆なデザインを採用し、現行のICE(内燃機関)モデル「A5」とは一線を画す存在になると見られています。※現行A5は少し前の命名法則に従って企画されており、それまでのA4に相当する
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新基盤:次世代SSPプラットフォームとリヴィアン提携ソフトウェア
そしてこの新型「A4 e-tron」最大の注目点は”その基盤となる技術”。
1. SSPプラットフォームの採用
Autocarの報道によると、アウディCEOのゲルノット・デルナー氏は、「A4 e-tron」がフォルクスワーゲン・グループの最新の共通プラットフォームであるSSP(Scalable Systems Platform)を採用することを認めています。
SSPは次期型ゴルフやシュコダ・オクタヴィア、クプラのフラッグシップクロスオーバーなど、グループ内の複数の車両にも使用されることが明らかになっています。
- PPEからの進化: SSPは、既にポルシェ・マカン・エレクトリックやアウディ A6/Q6 e-tronを支えるPPE(Premium Platform Electric)アーキテクチャよりもさらに高度なプラットフォームになると予想されている。マカンEVがもう「古く」なるあたり、やはりEVの進化はとんでもなく速い
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2. リヴィアンとのソフトウェア提携
「A4 e-tron」は、リヴィアン(Rivian)とフォルクスワーゲン・グループの共同ベンチャーで開発されたソフトウェアを使用する最初のアウディ車となる可能性も。
この提携は、”よりインテリジェントで持続可能”になる「ソフトウェア定義型車両(Software-Defined Vehicles)」への道を開くもので、これが実現すればA4 e-tronはアウディにとって革新的なクルマとなる可能性が見えてきます。
デルナーCEOは、「リヴィアンとフォルクスワーゲンとのジョイントベンチャーへ集中的に取り組んでおり、最初のテスト車両も既に開発中です」と述べ、このソフトウェアが2つの新型車両でデビューし、車両の複雑性の軽減に役立つことも示唆していて、そのうちの「ひとつ」が今回ウワサされているA4 e-tronなのかもしれません。
デザイン:コンセプトTTにインスパイアされたラディカルな「アウディ顔」
「A4 e-tron」は、技術的な刷新に加え、新しい「アウディ・ブランド・フェイス」を採用することが決定的なのだそう。
- フロントデザイン: 縦向きの長方形グリルを特徴とするミニマルなフロント・フェイスが期待され、さらにはアウディが視覚的アイデンティティを定義すると述べている”細身の4エレメント・ヘッドライト”が採用される可能性も大
- デザインソース: 特に、そのラディカルなデザインは、アウディのコンセプトC(一部でコンセプトTTの再解釈とも見られる)からインスピレーションを受けるとされており、従来のセダンとは一線を画す大胆なルックスとなるものと推測されている
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「物理ボタン」の復活
また、デルナーCEOは、「A4 e-tron」では「仮想ボタンを減らし」、専用のスイッチギア(物理ボタン)を増やすことも示唆。
これは、ユーザーが求めているものであり、アウディが顧客の要望に応える姿勢を示しています。
現時点ではまだ詳細は不明ではあるものの、アウディは2028年の「A4 e-tron」の発売に向け、ポルシェとの技術提携やリヴィアンとのソフトウェア開発、そして大胆なデザインを通じ、EVセダン市場に大きなインパクトを与える準備を進めていることは間違いない、と見られています。
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なお、アウディはコンセプトCを「TTの再来」とし、かつてTTがアウディにもたらした革命を再現しようという計画を進めており、実際にコンセプトCに近い外観を持つスポーツカーを発売する予定であるとコメント。
そしてここへ「(コンセプトC的な顔つきを持つ)A4 e-tron」が加わるとなると、アウディのイメージはここからの数年で(この2台に引っ張られる形で)大きく変革されることになるのかもしれません。
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参照:Autocar