
| なんだかんだいいながらトランプ大統領は米国に有利に交渉を進めている |
一方、トヨタは日本国内のバッテリー工場着工「延期」を発表したばかり
トヨタが「今後5年間で米国に100億ドル(約1.5兆円)を追加投資する」という計画を発表。
これによりトヨタの米国での累計投資額は約600億ドルに達する見込みではありますが、その前日には「福岡でのバッテリー工場着工を延期する」という2回目の発表を行っており、トヨタは「選択と集中」によって米国へと資金をシフトさせるのかもしれません。
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もちろんこの動きは米国市場における保護貿易的な政策や、現政権の“米国内生産重視”方針に対応する形でもあり、つまりドナルド・トランプ大統領の方針に沿うものとなりますが、様々な批判を浴びつつも、結果的には多くの企業が米国に生産を回帰させる方針を示しており、トランプ大統領は「相当な雇用を」結果として米国に生み出すこととなりそうです。
なお、今回の「米国へのバッテリー工場建設」につき、トヨタが電動化戦略を一段と本格化させる「転換期(pivotal moment)」にあることをも示しており、米国がトヨタの「電動化の中心」となる可能性も示唆されています。
■ ノースカロライナに電池工場を開設、年産30GWh体制へ
トヨタはこの発表にあわせ、ノースカロライナ州リバティに新しいバッテリー工場「Toyota Battery Manufacturing North Carolina」を正式にオープン。
投資総額は約139億ドル、トヨタにとって日本国外初の電池専用工場であり、米国では11番目の生産拠点として機能します。
この工場では、
- ハイブリッド車
- プラグインハイブリッド車
- そして次世代EV向けバッテリー
の3種を生産予定で、年間30GWhのバッテリー生産能力を備えるそうですが、約5,100人の雇用創出が見込まれており、地域経済にも大きな波及効果をもたらすことになる、と見られています。
■ 生産モデル:カムリ/RAV4/カローラクロスなどに搭載
同工場で生産されるバッテリーは、主にカムリ・ハイブリッド、RAV4ハイブリッド、カローラクロス・ハイブリッドなどに搭載されるといい、加えて、トヨタが開発中の新型3列EV SUVにも供給される予定だとされ、このモデルがトヨタの北米電動化戦略の中核を担うものと見られています。
さらに同工場では今後2030年までに追加ラインが順次稼働する計画だとされ、最終的には大規模な生産ハブとなる見通しについても語られています。
■ 働きやすさと地域共生を重視した施設づくり
この工場は単なる生産拠点ではなく、薬局、医療クリニック、フィットネスセンター、託児施設を併設しており、従業員の生活環境を重視した“コミュニティ型工場”として設計されている点も大きな特徴で、このあたりは「さすがトヨタ」というべきところなのかもしれません。
「トヨタの米国初の電池工場開設、そして新たな100億ドルの追加投資は、当社の歴史における転換点です。
トヨタは電動化のパイオニアであり、米国およびノースカロライナへの大規模投資は、従業員や顧客、販売店、地域社会、そしてサプライヤーへの強いコミットメントの表れです。」
トヨタ・モーター・ノースアメリカCEO 小川哲男
■ 政治的背景:米国市場での生産強化圧力
今回の発表は、(上述の通り)トランプ政権による関税政策や「米国内生産拡大」の要請を受けたものとも見られていて、直近では米政府が「トヨタは米国で生産した車両を日本に輸出し、日本市場も米国メーカーに開放する」と発表するなど両国間の貿易関係にも変化が見られるという状況。
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現時点では「どの米国生産車が日本に入ってくるのか」わかりませんが、長期的には「知らないうちに」日常使いがなされるようなクルマも米国製に置き換わっているのかもしれませんね。
■ トヨタの次なる一手:米国主導のEVシフトへ
トヨタは「全方位電動化」を掲げ、ハイブリッドからEVまで幅広いラインナップを展開中。
今回の工場稼働は単なる北米生産拡大ではなく、“アメリカ発のEV開発・供給体制”を確立するための基盤整備とも捉えられ、トヨタが「グローバル電動化の中心」を北米へとシフトしつつあることを示す一つの例であるとも考えられます。
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参照:TOYOTA















