
| 果たしてBMWは本気でこれを採用するのか? |
この記事の要約
- 新発明?: BMWが自社のエンブレム(プロペラマーク)を模したネジ頭の特許を申請
- 修理のハードル: 専用工具がなければ緩めることができず、DIYや一般工場での整備が困難になる懸念
- メルセデスとの対比: 修理を容易にするメルセデス・ベンツに対し、BMWは「囲い込み」を強化する姿勢か
- ネットの反応: 「AliExpressで偽物の工具がすぐ出る」「Appleのマネか」と批判と皮肉が殺到
BMWの「ロゴ愛」が裏目に?DIYユーザーを絶望させる新特許
「愛車のちょっとした部品を自分で交換したい」――そんなクルマ好きのささやかな楽しみが近い将来失われるかもしれません。
BMWが新たに申請した特許は、一見すると非常に洗練されていて、ネジの頭がBMWの象徴的な「プロペラエンブレム」の形をしており(一番上の画像は特許図面をもとに3D化したもの)、しかしこのデザインには非常に厄介な側面も。
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ちょっと待って・・・!BMWロゴは「プロペラと空を意味してない」とBMWが公式に否定。今までボクが信じてたのは何だったの
| BMW「90年間、その通説を否定してこなかったのもまた事実だ」 | https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/49897283197/in/datep ...
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簡単に言えば「標準的なドライバーやレンチ」では「緩める / 締める」ができず、BMW専用の「ロゴ型ビット」がなければ”ネジ一本外せなくなる”可能性があるということです。
ロゴ型ネジの仕組みと「4つのバリエーション」
公開された特許資料によると、このネジは単なる飾りではなく、実用的なファスナーとしての使用を想定しています。
| 項目 | 詳細スペック |
| ネジ頭のデザイン | BMWロゴ(円形を4分割)をベースにした幾何学模様 |
| ヘッドの種類 | ソケット型、フラット型、丸型など計4種類 |
| 構造の工夫 | 4つの区画のうち2つが窪み、残りが平坦または隆起している |
| 必要な工具 | 象徴的なクアドラント(4分円)に対応する専用工具 |
| 主な使用想定箇所 | エンジンルーム、車内の目に見える箇所、主要コンポーネント |
パッと見では「隠れたおしゃれ」のようにも見えますが、整備士にとっては「専用工具をまた買い足さなければならない悪夢」以外の何物でもなく、そしてもしBMWが専用工具を部外者に供給しなければ、「正規ディーラー以外ではBMWのクルマをカスタムどころか修理もできなくなる」といった状況が発生する可能性も(トヨタは一部でこの状況が発生している)。
進む「自動車のApple化」と修理する権利
今回のBMWの動きは、自動車業界における「修理する権利(Right to Repair)」の議論に一石を投じることになるのは間違いなく、BMWのライバルであるメルセデス・ベンツは最近、ヘッドライトの修理を容易にするために「接着剤からネジ留め式」へ変更すると発表しメンテナンス性の向上を示唆したばかり。
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それとは対照的に、BMWの今回の特許は、ユーザーを正規ディーラーへ縛り付ける「囲い込み戦略」ではないかという疑念を抱かせていて、これはAppleがiPhoneに独自形状の「ペンタローブ(星型)ネジ」を採用し、ユーザーによるバッテリー交換を困難にした歴史を思い起こさせます。
結論:このネジは本当に実用化されるのか?
ネット上の掲示板「Reddit」などでは、「BMWが公式ツールを発売する前に、AliExpress(中国のECサイト)でコピー品の工具が売られるだろう」といった皮肉混じりの予測が飛び交っている状況ですが、もちろん特許が申請されたからといって、すぐに全てのBMW車にこのネジが採用されるわけではありません。
メーカーはブランド保護やセキュリティ、あるいは単なるデザインの遊び心として特許を確保することも多いからで、しかし、もしこれが実際に導入されれば、BMWの「駆けぬける歓び」には、「(ディーラーまで)駆けぬける整備の悩み」がセットになってしまうかもしれない、というのが今回の特許でもあるわけですね。
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豆知識:なぜメーカーは「特殊ネジ」を使いたがるのか?
メーカーが特殊な形状のネジを採用する理由は、主に3つあります。
- 安全性の確保: 高電圧バッテリーや安全装置など、素人が触ると危険な場所にアクセスさせないため
- 品質の担保: 非正規の整備によるトラブルを防ぎ、純正パーツと認定整備によるブランド価値を守るため
- 利益の確保:正規ディーラーでしか修理できない環境を構築することで、「非正規ディーラー」への顧客の流出を防ぎ、自社のサプライチェーン内で利益を確保するため
一方で、これが度を越すと「(アップルのバッテリー劣化で問題となった)計画的陳腐化」や「独占的囲い込み」として、消費者団体から訴訟のリスクを負うこともあり、今回のBMWのロゴ型ネジがどちらに転ぶのか、今後の動向に注目です。
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参照:Autoblog















