| まずはロードバージョンとして製造され、そこからハードコア版へとコンバート |
フォードがその限定モデルである”GT”に「Mk2(マーク2)」を追加しグッドウッドにて発表。
なお、このフォードGT Mk2は純然たるレーシングカーで、公道での走行は不可能。
そしてもうひとつフォードGT Mk2で特筆すべきは「現存するいずれの公式レースにも参加できない」ということ。
つまりは個人が純粋に走りを楽しむためだけに乗るクルマということになりますが、保管や輸送、メンテナンス等を考えると、とても常人には手が出そうにないクルマですね。
最近はこういった「個人向け」サーキットウェポンが流行中
ただ、最近だとフェラーリ「XX」シリーズやマクラーレンP1 GTR、アストンマーティン・ヴァルキリー、ポルシェ935クラブスポーツなど「同様の」クルマがいくつか存在。
さらに「ワンオフ」だとフェラーリP80/C、ランボルギーニ・アヴェンタドールSC18といったクルマも存在します。
現代の富豪は「普通のスーパーカーやハイパーカーには満足できず」、ついにこういったレベルまで到達してしまったということも同時に意味していますが、まさに「持てる者」と「持たざる者」との格差が広がりつつある、と言えそうですね。
フォードGT Mk2の価格は1億3000万円だとアナウンスされ、生産台数は45台のみ(標準仕様のフォードGTの倍以上の価格)。
エンジンは標準のフォードGTと同じ3.5リッターエコブーストV6ながらも出力は700馬力にパワーアップされ、「もっともパワフルなフォードGTシリーズ」に。
トランスミッションは7速デュアルクラッチを継続採用するそうですが、出力向上にあわせて若干の変更がなされることに。
ブレーキはレース用のスチールローターではなく、ロードカー版のフォードGTから移植された「カーボンセラミックディスク」。
サスペンションは2Gまでに耐えることができる「レーススペック」へと変更され、車高調整機能(フォードGTはドライブモードによって車高が変化する)やアダプティブ機能、ドライブモードそのものを廃止することで90キロの軽量化が可能になった、とのこと。
大きな変更はやはりその外観ですが、レースバージョンのフォードGTに準じたエアロパッケージが与えられることに。
フロントスプリッター、フェンダールーバー、リアウイング、リアディフューザー等の採用によって、ノーマル比でなんと「400%増し」のダウンフォースを獲得しているようですね。
フロントスプリッターは微妙に「中央が持ち上がった」形状。
パワーアップに伴い、クーリング機能が強化されており、フロントバンパー中央奥にあるラジエターも容量アップ済み(ウォータースプレイも装備)。
リアだとやはり目立つのはリアウイングとリアディフューザー。
両方ともカーボンファイバー製です。
なお、リアウイングの翼部分は平坦な形状。
このあたりはF1へ参戦しているブランド(フェラーリやマクラーレン)とは異なる形状を持ち、得意とする舞台によって、各ブランドの持つノウハウが異なるのだと思われます。
リアウイングの支柱はけっこう「ぶっとく」、リアディフューザーのエッジ部には「折返し」のような段差がありますね。
このルーバーはホイールハウス内の圧力を抜くもの(ダウンフォース獲得にも貢献するらしい)。
シュノーケルはエンジン、クラッチそしてトランスミッションを冷却するためのエアを取り込むために装着された、とのこと。
インテリアには不要なものは一切なく、まさにスパルタン。
例によって、この「公道走行不可能な」フォードGT Mk2を公道仕様へとコンバートするオーナーも登場しそうですね。
シートはスパルコ製で6点式ハーネスを備え、ダッシュボード上のメーター類はMoteCへ換装(バックカメラの映像もここに写し出される)。
ガッチリとロールケージが組まれていることもわかります。
フォードGT Mk2は、ロードバージョンのGTと同じ仕様にてオンタリオの工場にて組み立てられ、そこからテクニカルパートナーであるマルティマチック社へと運ばれ、そこで「Mk2」へと改造される、とアナウンスされています。
「外した」ノーマルのパーツを残しておけば、「公道走行可能な仕様」へとコンバートするのもまだ容易なのかもしれません。