| 今後、自動車はおそらく思いがけない方向へと発展してゆくだろう |
そして「その時」は思ったよりも早くやってくるのかも
さて、自動車メーカーは様々な特許を出願することがよく報じられていますが、その内容は年々変化しており、自動車本来の構造やパワートレーンに関するものから、自動運転やエンターテイメント、そしてインフォテイメントシステムといったものへと変化しつつあるように思えます。
そして時には走行性能や安全性などにまったく関係のない「これまでの自動車では考えられなかった、もしくは必要ではなかった」機能に関する特許出願も少なくはなく、今回フォードが出願したのもそういったものの一つです。
今回フォードが出願したのは「盗聴防止」に関するパテント
今回フォードが出願したのは「車内での通話を盗聴者されないよう配慮した、プライバシーを強化した新しい自動車用ワークスペースの特許」。
どういったときに機能する技術なのかというと、「高度な自動運転を備えたクルマに乗っていて、ビデオ会議などで話をしているとき、その話し声を通行人など周囲の人やクルマに聞かれないようにするためのデバイス。
ただし新型メルセデス・ベンツEクラスには標準装備として自撮りカメラ、そしてアプリとしTikTokやZoomがインストールされているので、この技術は意外と早いうちに「必要」とされるようになるのかもしれません(メルセデス・ベンツであれば車外に声が漏れるようなことはなさそうではあるが)。
動作するロジックとしては「ノイズキャンセリング」
ただ、この特許に関し、技術的にはさほど新しいものを使用しているわけではなく、しかしその骨子としては技術よりも動作するロジックにあるもよう。
基本的なシステムは非常にシンプルで、たとえばデリケートな議論をしていることを車両が認識すると(おそらくはキーワードを判別するのだと思われる)、まずはその音声の音量を測定することから始まります。
そしてこのシステムが搭載された車両は周囲をチェックし、「誰かにその議論を聞かれる可能性があるかどうか」を次に判断することになるのですが、乗員の声が小さく車外に声が漏れない場合、もしくはクルマの周囲に誰もおらず声が漏れても”話を聞かれる”心配がない場合はなんらシステムは対応を行わず、しかし逆に「話を誰かに聞かれる」場合はノイズキャンセリング技術を使用したマスキング音を車外に放出することになるのだそう。
なお、この特許ではクルマを会議室として使用することも想定しており、車内に巨大スクリーンを設置すること、複数人が会話を同時に行うことを念頭に入れていて、その場合だと車両は「何人が乗っているか」、そして「彼らがどのシートに座っているか」を判断することになりますが、これはオーソドックスな車内カメラと座席センサーを使用して実行され、カメラによって人の頭と口の位置を追跡し、その情報を使用して特定の人の会話用スピーカーとマイクの位置を決定することに。
そこからはこのシステムの本領発揮というところですが、人工知能と機械学習によるデミキシング技術を利用して、(特定の人の)音声を他の人に聞こえないようにマスキングすることが可能となり、結果的に「車外からは何も聞こえない」状態を作り出すことができるわけですね。
現時点では「そこまでしなくても・・・」とは思うものの、今後自動車は予想外の方向へと発展する可能性もあり、たとえばワークプレイス、シアター、エンターテイメント空間、ゲームルーム、配信用スペースとして機能する可能性があり(すでに日産は配信者向けを想定したコンセプトカーを公開している)、意外と早い段階でこの技術が役に立つ日が来るのかもしれません。
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参照:CARBUZZ