| もはや中国市場において日米欧の自動車メーカーが存在感を増すことは難しい |
強いて言えば、中国勢と戦えるのはテスラくらいのものであろう
さて、中国自動車工業協会(CAAM)によれば、2024年における自動車の生産、販売、輸出が順調に伸び、2024年に3,128万2,000台、3,143万6,000台の自動車を生産・販売し、それぞれ前年比3.7%、4.5%の増加を記録した、とのこと。
特に輸出量は585万9,000台に達し、前年比19.3%の増加を記録しています。
-
中国でのNEV(EV含む新エネルギー車)販売が前年比1.4倍、新車における販売比率が5%を超える。2025年も引き続き補助金が支給されNEVの販売が増加する見込み
| 中国市場は独自の発展を遂げ、外資企業が「入り込みにくい」状態となっている | これはある意味での「ガラパゴス化」ではあるが 中国自動車協会(CPCA)が2024年の初期小売販売データを発表し、新エ ...
続きを見る
2024年、中国ではNEVが大きく伸びる
2024年の大きなハイライトは、新エネルギー車(NEV=EV、PHEV、FCEV)分野での急成長で、NEVの生産・販売はそれぞれ1,288万8,000台、1,286万6,000台に達し、前年比34.4%、35.5%の増加です。
結果として中国は新エネルギー車の生産・販売で10年連続で世界一の座を維持することとなっていますが、特に新しいNEVの販売は全体の新車販売の40.9%を占め、これは2023年からだと9.3ポイント増。
バッテリー電気自動車(BEV)の販売はNEV全体の60%を占め、前年から10.4ポイント減少したものの、プラグインハイブリッド車(PHEV)の販売は40%に達し、前年から10.4ポイント増加しています。
中国の(外資が入っていない)独立系自動車ブランドも引き続き成長し、2024年には1797万台を販売、前年比23.1%の増加を記録し、乗用車販売全体の65.2%を占めたことも報告されており、日米欧の自動車メーカーにとっては「厳しい」状況が続くことも予想されます。
さらにNEVの輸出も増加し、2024年には128万4,000台に達し、内訳はBEVが98万7,000台、PHEVが29万7,000台で、それぞれ前年比10.4%減、190%の増加ですが、輸出ブランドトップ10は以下の通り。
- チェリー(奇瑞):114万4,000台
- SAIC:92万9,000台
- 長安:53万6,000台
- 吉利(Geely):53万2,000台
- 長城自動車(Great Wall Motor):45万3,000台
- BYD(比亜迪):43万3,000台
- 北汽(BAIC):27万4,000台
- テスラ中国:26万台
- JAC:24万9,000台
- 東風自動車(Dongfeng):24万6,000台
なお、輸出成長率ではBYDが前年比71.8%増の43万3,000台を輸出し、これまでで最も高い成長率を記録したほか、長安は53万6,000台を輸出し前年比49.6%増、JACは24万9,000台で前年比46.7%増。
輸出対象国については詳細が発表されていないものの、ウクライナに侵攻したロシアへの対応として西側諸国の自動車メーカーがロシア市場から撤退し、その「空白」を中国の自動車メーカーが埋めていると報じられるため、ロシアが大きな輸出相手国となっているのかもしれません。
-
日米欧の自動車メーカーが撤退したロシア市場にて中国車の市場制圧が進む。直近だとロシア内で販売されたTOP10ブランドのうち9つが中国、さらにこの傾向は加速中
Haval | 中国車は「鬼のいぬ間」にその勢力を拡大中 | まだまだロシア情勢が正常化するとは思えず、このまま中国の自動車メーカーはその占有率を高めるだろう さて、ロシアのウクライナ侵攻以降、自動車 ...
続きを見る
2025年の見通しについて、CAAMの執行副事務局長である徐海東(Xu Haidong)氏は、「今後も成長トレンドが続くと予測しており、年間の自動車生産・販売は3,290万台に達し、前年比4.7%の増加になるだろう」という見通しを発表しており、引き続き中国市場は「好調を継続」ということになりそうですね。
参考までに、乗用車の生産・販売は2,890万台で前年比4.9%増、商用車は400万台で前年比3.3%増、NEVは1,600万台で前年比24.4%増、輸出量は620万台で前年比5.8%増が予測されています。
この楽観的な見通しは、中国が引き続き自動車市場、特に急成長しているNEV分野での優位性を維持し続けることを示唆しており、日米欧の自動車メーカーがなんらかの対応を進める必要をも暗示しています。
あわせて読みたい、関連投稿
-
まさか中国の自動車メーカーがここまで勢力を拡大するとは、ほんの1-2年前までは誰も想像だにしなかったであろう。BYDが販売を伸ばし「世界中のEVの1/5台がBYD製」に
| そしておそらく、ここからの数年はさらに「想像もできない」事態が待ち受けているのかも | とにかく中国勢の躍進は「脅威」としかいいようがない さて、なにかとその好調が報じられる中国BYDですが、20 ...
続きを見る
-
テスラの全世界での販売台数は「前年割れ」なるも中国市場では8.8%の成長。ほとんどのメーカーが販売を落とす中国市場での成長は大きなプラス材料である
| テスラはまだまだ競争力を失っていないと考えることも可能だが、この成長は「モデルYの値下げ」によるところが大きい | 今後、どれだけ「コストを下げることができるか」がテスラ成長の鍵である さて、テス ...
続きを見る
-
中国の新興EVメーカー、NIOのCEO「2035年までに新車市場の50%が中国車となり、世界トップ10メーカーのうち5つが中国企業になる」。数年前では絵空事であったが
Image:NIO | この1−2年の中国の自動車メーカーの勢いを見るに、これはもう「目の前の現実」と考えていいだろう | もはやこのトレンドは避けがたいレベルにて勢いに乗っている さて、先日は個性的 ...
続きを見る