
| TOP10のうち「8台」がトヨタ |
メーカー別に見る、2025年10月の市場動向考察
さて、2025年10月の国産メーカー乗用車登録ランキング(軽自動車除く)が公開。
ランキング上位はトヨタ車が圧倒的な強さを見せていますが、そのうち「トップ10すべてがトヨタ」となる日がやってくるのかもしれません。
1. トヨタ:盤石のトップ層とEVシフトの兆し
トップ10のうち8車種を占めるトヨタは市場での優位性が揺るぎないという状況。
さらにはトップ10以下でも上位に集中しているというのがトヨタの恐ろしさです。
- 独走の理由(多角的なラインナップ):「ヤリスや「カローラといったコンパクトカーから「アルファードのような高級ミニバン、さらに「ライズのようなSUVまで、あらゆるニーズに応えるラインナップが強みとなっている
- 注目すべき高伸長モデル:
- RAV4(159.4%:SUV人気の継続と、供給体制の改善が寄与していると見られる
- bZ4X(1301.2%:トヨタの本格的なEV。前年対比の数字は、EVの供給体制が整って国内でのEVの存在感が高まり始めたことを示唆しており、今後のEV市場の動向を占う上で重要な指標でもある
-
-
トヨタ、日本国内では「8月にEVがわずか18台しか売れなかった」と報告。反面、「世界」ではEV販売順調 — 日本市場と海外市場のギャップが浮き彫りに
| 日本国内のトヨタは「ハイブリッド頼み」 | 世界で好調も日本市場では苦戦 トヨタの最新販売報告によると、2025年8月の日本国内でのEV販売はわずか18台。 一方、「世界」だとトヨタのEV販売は2 ...
続きを見る
2025年10月 国産乗用車 販売ランキング TOP50
そしてこちらは軽自動車および海外ブランド車を除く、国産乗用車(ブランド通称名別)の2025年10月販売台数ランキングです。
| 順位 | ブランド通称名 | ブランド名 | 台数 | 前年対比 (%) |
| 1 | ヤリス | トヨタ | 17,041 | 101.3 |
| 2 | カローラ | トヨタ | 11,953 | 80.4 |
| 3 | ライズ | トヨタ | 9,884 | 94.6 |
| 4 | ルーミー | トヨタ | 8,552 | 66.5 |
| 5 | アルファード | トヨタ | 8,086 | 122.7 |
| 6 | シエンタ | トヨタ | 8,017 | 87.5 |
| 7 | ノア | トヨタ | 7,682 | 113.2 |
| 8 | フリード | ホンダ | 7,472 | 92.3 |
| 9 | ヴォクシー | トヨタ | 7,465 | 114.5 |
| 10 | ヴェゼル | ホンダ | 7,429 | 133.2 |
| 11 | ノート | 日産 | 5,492 | 72.1 |
| 12 | クラウン | トヨタ | 4,993 | 85.1 |
| 13 | RAV4 | トヨタ | 4,910 | 159.4 |
| 14 | セレナ | 日産 | 4,820 | 75.9 |
| 15 | ソリオ | スズキ | 4,810 | 123.7 |
| 16 | ジムニー | スズキ | 4,701 | 240.0 |
| 17 | ステップワゴン | ホンダ | 4,556 | 157.9 |
| 18 | ランドクルーザー | トヨタ | 4,377 | 78.9 |
| 19 | プリウス | トヨタ | 3,748 | 40.1 |
| 20 | ヴェルファイア | トヨタ | 3,688 | 118.2 |
| 21 | フィット | ホンダ | 3,253 | 75.1 |
| 22 | アクア | トヨタ | 3,181 | 48.3 |
| 23 | ハリアー | トヨタ | 3,097 | 65.0 |
| 24 | クロスビー | スズキ | 2,960 | 269.8 |
| 25 | インプレッサ | SUBARU | 2,773 | 101.5 |
| 26 | スイフト | スズキ | 2,586 | 119.3 |
| 27 | フォレスター | SUBARU | 2,030 | 93.7 |
| 28 | フロンクス | スズキ | 2,027 | 94.9 |
| 29 | LBX | レクサス | 2,006 | 118.6 |
| 30 | デリカD5 | 三菱 | 1,889 | 95.1 |
| 31 | MAZDA2 | マツダ | 1,868 | 90.5 |
| 32 | CX-5 | マツダ | 1,818 | 99.2 |
| 33 | WR-V | ホンダ | 1,697 | 44.3 |
| 34 | シビック | ホンダ | 1,663 | 134.3 |
| 35 | ZR-V | ホンダ | 1,599 | 66.0 |
| 36 | ロッキー | ダイハツ | 1,525 | 79.4 |
| 37 | NX350H | レクサス | 1,434 | 78.1 |
| 38 | レヴォーグ | SUBARU | 1,285 | 89.1 |
| 39 | エクストレイル | 日産 | 1,166 | 53.7 |
| 40 | bZ4X | トヨタ | 1,106 | 1301.2 |
| 41 | ハイエースワゴン | トヨタ | 1,043 | 357.2 |
| 42 | CX-60 | マツダ | 948 | 149.5 |
| 43 | CX-3 | マツダ | 818 | 86.1 |
| 44 | RX350 | レクサス | 799 | 366.5 |
| 45 | JPN TAXI | トヨタ | 747 | 85.2 |
| 46 | RX500H | レクサス | 626 | 200.6 |
| 47 | ロードスター | マツダ | 614 | 72.4 |
| 48 | CX-80 | マツダ | 603 | 32.5 |
| 49 | トール | ダイハツ | 596 | 64.9 |
| 50 | キックス | 日産 | 582 | 62.6 |
2. ホンダ:ミニバン・SUV戦略の成果
ホンダではフリードやフィットといった定番車種が安定的な人気を保ちつつ、大型モデルの伸びが目立ちますが、地味に伸びてきている、といった印象ですね。
- ステップワゴンの復調:「ステップワゴン(17位)」が前年対比157.9%と大きく伸長。新型モデルがファミリー層に受け入れられ、トヨタのミニバン勢に一石を投じる結果に
- SUVの牽引役:「ヴェゼル(10位)」も133.2%と好調で、コンパクトSUV市場で高い競争力を維持
3. 日産:主力モデルの回復と次の一手
日産は、「ノート(11位)や「セレナ(14位)といったe-POWER搭載の主力車種が上位に位置するものの、前年対比では100%を下回っています。
- 課題と期待:販売の復調には、新型「セレナ」の供給安定化や、SUV「エクストレイル」のさらなるテコ入れが期待される。日産独自のe-POWER技術を強みとし、市場シェア回復を目指す姿勢に要注目
4. スズキ:個性派モデルが市場を刺激
スズキはコンパクトカーと個性派モデルが市場で存在感を放っており、フロンクスがランクインすることで「全ラインアップにおけるランクイン率」が高くなり、つまり「効率の良い自動車メーカー」に。※ランディとeビターラ以外すべての乗用車がランクイン
しかもスズキの場合、「ジムニー」「スイフト」「クロスビー」のように安定して長期間売れ続けるクルマが多いのも特筆すべき点ですね。
- ジムニーの凄まじい人気:「ジムニー」はなんと前年対比240.0%と圧倒的な人気を見せつけており、「ノマド」供給体制の改善が背景にあると考えられる
- クロスビーの躍進:「クロスビー」も269.8%と大幅伸長。小型SUVながらユニークなデザインと実用性により、特定の層からの支持が厚いことがわかる
-
-
日産がついに世界販売トップ10から脱落。「はじめて」スズキにも抜かれ、新CEOの再建計画と今後の行方が気にかかる
Image:NISSAN | 果たして日産には「再建」の可能性が残されているのか | 日産、初めて世界販売トップ10から陥落 日産自動車が厳しい局面を迎えているのは既報の通りではありますが、新CEOイ ...
続きを見る
5. レクサス&マツダ:プレミアムとこだわり
- レクサス:「LBX」(29位、「RX350」(44位、366.5%、「RX500H」(46位、200.6%などが大きく伸長しており、プレミアムブランドとしての需要、特に高価格帯モデルの好調さが顕著
- マツダ:SUV戦略の柱である「CX-60」が149.5%と好調。独自の「魂動デザイン」と上質な走りを追求するマツダのこだわりが、着実にユーザーに評価されていることがわかる
-
-
マツダはなぜCX-60/CX-70/CX-80/CX-90という世界で最も混乱を招くSUVラインアップを持つに至ったのか?なお豪州ではすべてが販売され消費者を混乱に陥れる
Image:MAZDA | マツダはそれぞれのラインアップが明確に住み分けることができ、顧客を奪い合うことがないと考えているようだ | 設計や生産効率を考慮しても、ここは「より少ない台数」とすべきであ ...
続きを見る
あわせて読みたい、関連投稿
-
-
日産が「米国製SUV」を日本で販売?トヨタに続き、新たな日米自動車貿易の流れが始まる予感、やはりトランプは「救世主」だったのか・・・
Image:Nissan | 日産が「アメリカ生まれのSUV」を日本へ逆輸入? | トヨタに続き、日産も米国生産車を日本で販売する計画を検討しているという報道。 この動きは単なる輸出入ではなく、日米自 ...
続きを見る
-
-
日本の自動車メーカーは現在の「EV販売減速」を見越していた?トヨタ、日産、ホンダ、スバル、マツダともに「電動化の波に乗れなかったのではなく、波を見極めていた」
| 様々な事情を総合するに、日本の自動車メーカーは実際に現在の自動車市場の動向を予想していたと考えていいだろう | 日本の経営者は「バブル崩壊」の教訓をしっかり経営に活かしているのかもしれない さて、 ...
続きを見る
-
-
【驚き】トヨタ・ランドクルーザー300、2024年の世界販売は10万台超え。最大市場は日本ではなく「豪州」、しかし地域別だとほぼ6割が中東向け
| てっきりトヨタは円安を利用し海外へばかり販売していると思っていたが、ちゃんと日本市場にも「振り分けて」いたようだ | それでも日本の「比率は高くなく」、地域別だと中東が圧倒的 フルサイズSUVの代 ...
続きを見る
参照:日本自動車販売協会連合会
















