| EVシフトは「プラットフォームの販売」「車体の開発請負」という新たなビジネスを生みそうだ |
さて、イタルデザインとウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングとが提携を発表し、共同にて開発したEV向けプラットフォーム「EVXモジュラープラットフォーム・フォーEV」を発表。
この提携の目的そのものが「電動化を推進するためのソリューションを生み出すことを目的」としており、そのソリューション=エレクトリックプラットフォームを新興EVメーカーと既存自動車メーカー両方へと提供することで利益をあげてゆくことを狙っています。
イタルデザインが行うのは「デザインだけ」ではない
なお、イタルデザインはもともと1968年にジョルジエット・ジウジアーロによって興された会社ですが、2010年にアウディが株式を取得し、その株式をランボルギーニに持たせる形で傘下に収めることに。
その後2015年には設立者であるジョルジエット・ジウジアーロがすべての株式を売り払って完全にイタルデザインと分離して現在に至り、現在では「デザイン」のみではなく車両開発機能や生産機能も備えるにまで成長していて、アウディの一部車種を開発したり、日産GT-R 50 バイ・イタルデザインでは「生産」を担当しています。
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新型プラットフォーム「EVX」の利点とは
そして今回発表された新型プラットフォーム「EVX」ですが、最大の特徴は「モールドコンポジット構造のバッテリー」。
これはウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリングが設計したもので、104KWh〜120kWhのバッテリーパックから最大1,341馬力を発生させることが可能です。
さらに160kWhへと容量を増やせば、この出力を維持して航続距離1000kmを確保できる、ともアナウンスされており、かなり高性能なEV用プラットフォームだと考えて良さそうですね。
加えてバッテリーをプラットフォームの構造材としても活用するために車体強度が高くなり、ホイールベースを2,900ミリ〜3,100ミリまで自在に変更できるためにGTカー、セダン、SUVなお様々な車種へと対応が可能。※剛性が高いためにオープンモデルにも対応
さらに市場投入までの時間が短いことや、生産台数が少なくともと「高価になりすぎない値ごろ感」を持ち、最大で10,000台程度の生産キャパシティを持つようです(そのうち5,000台まではイタルデザインが自社工場で生産できる)。
リマックとはどう棲み分け?
なお、上述の通りイタルデザインは現在フォルクスワーゲングループ傘下にありますが、フォルクスワーゲングループにはポルシェ、そしてバッテリー関連企業としてはポルシェの投資するリマックが存在します。
それを考えると、あらたにウィリアムズとの協業を行うのはやや無駄があるようにも思われ(ハイパフォーマンス系EVプラットフォームはポルシェとリマックに開発させたほうがリソースを節約できる)、ここは効率化を重要視するフォルクスワーゲングループとしては「おや」と思わざるを得ない部分です。
ただ、ちょっと前までは「ランボルギーニとイタルデザイン、ドゥカティを(フォルクスワーゲングループから)分離する」という話を進めており、今回それを見送ったとしてもいずれ再燃することは間違いなく、そのときに備えて「ポルシェやリマック」という、VWグループの中枢に近い部分と(イタルデザインと)は距離を置かせ、来たるべきときに「イタルデザインを切り離しやすいように」しているのかもしれません。
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もしくは、現時点で「技術提携先を1社に絞るのは発展を阻害する」という健全な考え方にて、できるだけグループ全体にて技術開発の間口を広げようということなのかもしれません。
そして普及価格帯としてはフォルクスワーゲンのMEB、プレミアムカー向けとしてはポルシェ+アウディのPPE、少量生産メーカー向けとしては今回のEVXプラットフォームを取り揃え、これを自動車業界全体に幅広く販売することで、自動車販売以外にも新しいビジネスモデルを構築しようとしている可能性もありそうですね。
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