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米で「中国製EVの購入を検討する」のは40歳以下では76%、しかし60歳以上では26%。今後の消費者はますます中国製品に抵抗がなくなるものと思われる

NIO

| 調査対象の75%が「中国車にはデータ流出などプライバシーの懸念がある」と認識しつつも購入には積極的という一面も |

こういった統計を見るに、中国車が世界中に普及するのも時間の問題であろう

さて、現在米国ではほとんど中国製のEVが出回っておらず、かつ関税が引き上げられたので直近では中国製EVを購入することはできませんが、オートパシフィック社が18~80歳の800人を対象に行なったアンケートによると、全体では「中国製EVの購入を検討する」と回答したのは35%であった、とのこと。

加えて、75%が「もし中国製EVを購入した際、自身のデータが中国に流出してしまう」という懸念を抱いていると回答したのだそう。

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ただしそれでも「若い」顧客は中国製EVの購入を検討

しかしながら今回の調査結果では興味深い事実が明らかになっており、「40歳未満」だと(データ流出の可能性にもかかわらず)76%が中国製EVの購入を検討しており、しかし60歳以上になると中国製EVの購入を検討すると答えたのはわずか26%だったというので、世代によってかなり大きな差異があることがわかります。

なお、この差異が生じた理由についてはいくつかが考えられ、ひとつは所得水準。

まだ若くて所得がさほど多くない人は「求めやすい価格の」中国製EVしか選択肢に入らない可能性もあり、年齢が高くなって収入が増えた人はそうでもないのかもしれません。

つまりは若い人々が「中国製EVを”欲しい”と思って積極的に購入したいと考えているのか、それしか購入できないという消極的選択肢として捉えているのかということについては気になるものの、今回のアンケートではそこまでは「わからない」ようですね。

中国

そしてもうひとつ、上の方の世代は「中国」という国に対して抵抗があるものと思われ(日本とはやや異なり、共産主義というところに拒否反応を示す人も少なくないと聞く)、それが中国製EVの購入を遠ざけているのかもしれません。

更に興味深いのは、「中国製EVを買わない」と答えた人の16%が「中国の自動車メーカーであっても、アメリカ国内で製造されれば購入を検討する」と答えていることで、これはいかにも愛国心あふれる、そしてメイド・イン USAにこだわるアメリカらしい回答だと思います(その理由として国益や労働者の保護を挙げている)。

中国の自動車ブランドの知名度は低くない

なお、上述の通り、事実上「中国製EVはアメリカでは購入できない」ものの、アリックスパートナーズが先月発表した別の調査では、次にクルマを買うときにEVを購入する可能性が非常に高い、あるいは中程度であると考えている米国の購入者のうち58%が「BYD、Leapmotor、Nio」といった中国ブランドがどのようなクルマを作っているかを把握しているといい、これはかなりの驚きです。

これについては中国の自動車メーカーがSNSを通じてプロモーションを行っていること(直接、もしくはインフルエンサーを活用して間接的にでも)が影響していると見られており、これら中国ブランドは今の段階で「アメリカ進出」を視野に入れての行動を行っている、とも考えられます。

加えて、現代の若年層は物心ついたときから中国製品に囲まれ、さらには一部中国製品の持つ高いテクノロジー(携帯電話など)にも触れており、中国に対するネガティブなイメージがないものと考えてよく、さらには中国製アプリ(TikTokなど)に親しんでいることもあって中国製EVにも抵抗がないのかもしれません(そしてこの傾向はさらに加速しそう)。

BYDは水面下で世界制覇を目論んでいる。欧米よりも東南アジアの支配に注力し現地大手販売店とタイアップすることで販売を伸長。現地ではEVの1/4がBYD

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