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【中国EV業界】誹謗中傷に5,000万円の懸賞金も!BYDやNIOが「ブラックPR撲滅」に本気で動き出した理由

中国車

| ブラックPRとは?中国の自動車業界に広がる悪質キャンペーン |

近年、中国のEVメーカーを中心に、競合他社に対する悪質な中傷やデマの拡散(ブラックPR)が深刻な問題となっていますが、この「ブラックPR」とは、組織的なネット工作員がSNSなどを使って虚偽のクレームやネガティブな噂を大量に投稿する誹謗中傷キャンペーンのこと。

これは単なる迷惑行為ではなく、企業イメージや売上に直結する深刻な営業妨害とみなされています(過去にはテスラが”一般消費者を装った”ライバルメーカーの関係者から誹謗中傷を受けたことがある)。

大手自動車メーカーが本格対策に乗り出す

こうした事態を受けて中国の大手自動車メーカーが前例のない対抗措置を講じ始めているという報道がなされており、現時点では以下のような例も。

■ Deepal(ディーパル):ブランド防衛基金を設立

Deepalは「ブランド防衛基金」を立ち上げ、ブラックPRに対抗する法的・技術的な体制を整備。

■ Zeekr(ジーカー):最高500万元(約7,000万円)の懸賞金を提示

Zeekrは、誹謗中傷の加害者の特定につながる情報提供者に対し最大500万元(約7,000万円)の報奨金を公表。名誉毀損対策に外部企業の協力も求めることに。

■ NIO(ニオ):10,000元〜100万元の報酬を提示

NIOは、虚偽情報の証拠を募集し、10,000元(約14万円)〜100万元(約1,400万円)の報酬を設定。

■ BYD:有名インフルエンサーを訴え勝訴

BYDは、SNS上で虚偽の内容を投稿していたインフルエンサー「龙猪-集车(Longzhu-Jiche)」を名誉毀損で訴え、約200万元(約2,800万円)の損害賠償を勝ち取る。

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なぜここまで深刻?被害額は月に数十億円規模

業界関係者によると、1カ月のネガティブ報道が自動車メーカーに与える損害は数十億元(数百億円)に上るとのこと。
「ライバル車の悪評が1日だけでもトレンド入りすれば、1,000台以上の追加販売につながる」といったコメントもあり、ブラックPRは売上競争の一手段として機能してしまっている現状があります。

2025年初頭には、2社の競合車種が販売を競っていた際、700本以上の中傷記事が確認されたという報告もありますが、これは「ネガティブな報道を信じやすい」「ネガティブな記事に便乗する」「ネガティブな意見に賛同すれば支持を集めやすい」という中華圏におけるひとつの特徴を示しているのかもしれません。

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業界全体での「対ブラックPR」の動きも活発化

こうした動きを受けて、中国政府や業界団体も対応を始めているというのが最新の動きです。

  • 中国汽車工業協会(CAAM)**は2023年、14社と共に「ネット中傷に加担しない」とする共同声明を発表。
  • 国家発展改革委員会の関係者も、2025年の中国EV100フォーラムで「虚偽広告・中傷マーケティングの是正が必要」とコメント。

専門家の提言:「厳罰化」と「業界自浄」がカギ

加えて専門家は、次の2点がブラックPR対策の柱になるとしています。

  1. 規制当局による取り締まりと重罰の導入
     → 抑止力として「見せしめ裁判」のような実例が必要。
  2. 業界団体による自主規制ルールの整備
     → 正当な競争と倫理的なマーケティング文化の確立が急務。

まとめ:誹謗中傷に本気で立ち向かう中国EV業界

今や、自動車業界におけるブランド力=生命線。

SNSの影響力が拡大する中で虚偽情報への迅速な対応は企業にとって不可欠です。

懸賞金をかけてまで自社を守ろうとする中国EVメーカーの姿勢からは、「イメージ戦争」の過酷さがうかがえ、今後、日本を含む他国でも、同様の動きが出てくる可能性は十分にありそうですね。

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