| BMWは8シリーズにV12、プラグインハイブリッドを設定しない |
BMWにおける副プロダクトマネージャー、カーステン・グローバー氏によると「新型8シリーズにV12エンジンの搭載はない」とのこと。
新型8シリーズは現在2つのエンジンラインアップが公開されており、ひとつは335馬力の直6ターボ、もうひとつは523馬力を発生する4.4リッターツインターボ。
初代8シリーズは「850i」にてV12エンジンを搭載し、加えて「ロードカーではじめてV12エンジンと6速マニュアル・トランスミッションを搭載したクルマ」としても有名です。
その後継モデルである新型8シリーズにV12エンジンが搭載されないのは寂しい限りですが、その理由を見てみましょう。
V12エンジンは自動車業界から消滅する運命?
BMW「V12エンジンは重すぎる」
今回、カーステン・グローバー氏がカーメディア、GoAutoに語ったところによると、V12エンジンは「重すぎる」。
現在BMWは「M760Li xDrive」に積む6リッターV12エンジン(601馬力)を持ち、これを8シリーズに流用することも出来る(プラットフォームは同じなので物理的には難しくない)はずですが、同氏によると「8シリーズにV12エンジンを搭載すると、8シリーズの完璧な重量配分が台無しになる」。
加えてプラグインハイブリッドについても同様に重量バランスを崩す可能性があり、「現時点では”無い”」と語っていて、それだけ8シリーズの重量配分には自信があり、もちろんこれは当然ながら、設計時に相当こだわった結果だと言えそうです。
メルセデス・ベンツは効率と環境性能のためにV12を廃止?
なお、メルセデス・ベンツにおいてもV12エンジンは消えゆく運命ですが、これはBMWとはちょっと違った理由であり、これまでの報道や動きを見るに、「V12でなくとも必要なパワーを達成できるから」だと思われます(さらに、小排気量のほうが燃費や環境性能に優れる)。
そしてさらにメルセデス・ベンツがBMWと異なるところは「EQパワー」つまりハイブリッド採用に積極的であるということで、軽量性を追求するBMWとは違って、メルセデス・ベンツの場合は「重量よりも効率重視」なのかもしれません。
アストンマーティン「V12のほうがメリットが大きい」
そしてV12エンジンというと「アストンマーティン」ですが、アストンマーティンはすでに発表済みのハイパーカー「ヴァルキリー」にV12エンジンを搭載予定。
アストンマーティンは当初V12自然吸気エンジンとV6ツインターボエンジンを(ヴァルキリー用として)検討したそうですが、V6ツインターボエンジンは補機類を含めると、結局重量がV12エンジンと同じになるとし、様々な観点から「V12エンジンのほうが優れる」としてV12を使用することに決定した、と報じられています。
これはBMWとは「逆」とも言える結論ではあるものの、BMW 8シリーズの場合はヴァルキリーとは異なって「フロントエンジン」レイアウトであり、重量のほかに「重心」を考えた場合、より長いV12エンジンをフロントに積むのは運動性能をスポイルする、という結論であったのかもしれません(V6もしくはV8のほうが短く、重心をセンターに近づけることが可能。ヴァルキリーはミドシップなのでフロントエンジンほどパッケージングがシビアではない)。