| 100万台を超える規模でのリコールはあまり見たことがない |
さて、比較的チョコチョコとリコールを発表するメルセデス・ベンツ(品質が低いというよりは、品質に厳しいためだと考えられる)。
今回はGクラスに関してリコールを届け出ていますが、内容としては「チャイルドロックが機能しない可能性」。
影響を受けるのは平成30年4月21日~令和元年12月17日に輸入されたGクラス(G350d、G550、AMG G63)で、対象となるのは3,950台となっています。
不具合を発見した動機は「ドイツ本社からの情報による」、そして日本で報告された不具合はゼロ、実際に発生した事故もゼロ。
不具合の状態は下記の通りで、対応としては「ラベルを張る」ということになり、構造上の問題があるわけではなさそうですね。
後席左右のドアのチャイルドセーフティロックにおいて、当該機構の所在を示すマークの打刻位置が不適切なため、操作レバーのロック状態を示しているものと使用者が誤認することがある。そのため、ロック状態にしたつもりがロックされておらず、車内からドアが開けられて、最悪の場合、後席の乗員が車外に出て負傷するおそれがある。
国土交通省
シトロエンC3は「防水性」に問題
そしてシトロエンが届け出たリコールは「テールランプ内に水が入る」というもの。
欧州車あるあるといった感じですが、実際に問題が8件発生しており(事故はゼロ)、確率としては低くないようです。
なお、対応としてはラバーシールの交換と再シール、そして必要に応じてテールランプの交換。
影響を受けるのは平成29年2月23日~平成29年12月23日に輸入された1,206台で、不具合の内容としては下記の通り。
参考までに、不具合発見の動機は「市場からの情報」つまり実際に発生したトラブルからということですが、欧州ではあれだけ売れているのになんら問題がなかったとは考えられず、フランス本社は日本にまで(問題発生の可能性について)情報を通達しなかった、ということも考えられます。
テールゲートラバーストップにおいて、防水性評価が不十分なため、取付部からテールランプ内に水が浸入することがある。そのため、電気回路がショートして、方向指示器及び後退灯が点灯しなくなるおそれがある。
国土交通省
スズキ1件目は「フロントコイルスプリング」
スズキは2件のリコールを届けていますが、1件目はフロントコイルスプリングが腐食して折れ、タイヤと接触してパンクを誘発するというもの。
実際に460件の問題が発生しているそうですが、幸いなことに事故はゼロ。
対象となるのはワゴンR、スペーシア、アルトラパン、MRワゴン、モコ、フレア、フレアワゴンの7車種で、製作期間は平成25年3月28日~平成27年12月25日、台数は610,496台だと公表されています。
不具合の内容としては下記の通りで、対策としてはフロントコイルスプリングの交換を行うことになります。
ちなみにぼくはスズキ=錆びるというイメージを持っていますが、今回の問題もやはり「サビ(これはスズキの製造ではなくサプライヤーからの納入かもですが)」ですね。
フロントサスペンションにおいて、コイルスプリングの鋼材に対する塗料の密着性が不足しているため、砂や小石を噛み込んだ場合に、塗膜が剥がれやすく、腐食が早期に進行するものがある。そのため、そのまま使用を続けると、コイルスプリングが折損し、最悪の場合、タイヤと接触することでパンクして走行不能となるおそれがある。
国土交通省
スズキ二件目は「クランクプーリ」
そしてスズキの2件目は「クランクプーリボルトが折れてエンストに至る可能性がある」。
実際に発生した問題は344件、事故はゼロ。
対象となるのは平成24年8月21日~平成28年2月3日に製造されたアルト、ワゴンR、MRワゴン、スペーシア、ハスラー、モコ、キャロル、フレア、フレアワゴン、フレアクロスおバーの10車種で、合計すると969,800台という規模の大きさとなっています。
問題発見の動機は1件目と同じく「市場からの情報による」、そして不具合の内容は下記の通り。
エネチャージ仕様車のクランクプーリボルトにおいて、ねじ谷底の形状が不適切なため、耐久性が不足しているものがある。そのため、締付け軸力が低い場合にクランクプーリボルトが折損してガタが生じ、クランクシャフト位相角度を正しく検出できず、適切なエンジン制御ができなくなり、エンストに至るおそれがある。
国土交通省
BMWはおなじみ「ヘッドエアバッグ」
そしてBMWはヘッドエアバッグが作動しない可能性があるとしてリコール届け出。
対象となるのはBMW5シリーズ(523d / 530i / 540i)と7シリーズ(740i / 740e / 750i)、合計台数は309台となっています。
内容としては下記の通りで、対策としてはヘッドエアバッグを交換する必要アリ。
問題発見の動機はドイツ本国からの情報によるもので、これによる事故は幸いにもゼロ、と報じられています。
ヘッドエアバッグ装置のインフレーター(膨張装置)において、製造時の湿度管理が不適切なため、ガス発生剤が吸湿している可能性がある。そのため、ヘッドエアバッグ作動時にインフレーターの圧力が高くなりすぎて、インフレーターから点火装置が外れたり、ヘッドエアバッグが正常に作動しなかったりして、乗員が負傷するおそれがある。
国土交通省