| ボクはBMWのチャレンジングな考え方がとても好きだ |
そしてぜひBMWには超高級シティカーを発売してほしいと思う
さて、BMWが「シティカーへの参入」を検討しているとの報道。※画像はAIにて生成したもの
ちなみにですが、BMWのライバルであるメルセデス・ベンツは小型車ビジネスを縮小させ、1台あたりの利益が大きい高級車や高付加価値モデルに集中するとコメントしており、アストンマーティンも「台数」を意識せず、今後は利益率を重視するとコメントしている他、ポルシェはずっと前から「小型車は儲からないのでやらない」と明言し、今後はどんどん価格帯を引き上げてゆくことを示唆しています。
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なぜBMWはこの傾向に「逆行」を?
つまり、多くのプレミアムカーメーカーはサイズの大きな高価格モデルに集中しようとしている中、(プレミアムカーメーカーの中では)およそBMWのみがこの流れに逆行して小型車(というよりはマイクロカー)ビジネスへと参入することを考えている、ということになりますね。
この理由についてはBMWのチーフデザイナーであるドマゴイ・デュケック氏が明確な理由を述べていて、その骨子は下記の通り。※ぼくは、ドマゴイ・デュケック氏について、かなり独特の、しかし鋭い感性と考察を持つ人間だと理解している
現在、世界的な経済危機にあるにもかかわらず、億万長者の数が増えています。中国では530万人のミリオネアがおり、女性の比率も少なくありません。そして2030年、2035年にはもっと多くの億万長者、しかも女性の億万長者が誕生するでしょう。そして彼女たちが購入するであろうものは、私たちのこれまでの常識とは全く異なるものとなるはずです。これからのラグジュアリーは、大きさで表現するものではありません。エルメスのバッグも、小さければ安いというものではありませんよね。女性の富裕層は、高価で高級なものでありながら、小さくて繊細なパッケージのものを求めるのです。
ただ、同氏は「もちろん、ヨーロッパの富裕層は違いますよ。パリでは、それが一番便利だからという理由で、高級であるかどうかは関係なく、お金持ちでも小さなクルマに乗っています」とコメント。
たしかに、一時期イーロン・マスクCEOを抜いて「人類で最も裕福な人間」となったルイ・ヴィトン総帥、ベルナール・アルノーも高級車ではなくコンパクトカーを好むといい(これにはおそらく誘拐対策もあるものと思われる。高級車に乗っていると狙われやすい)、欧州のお金持ちはそもそもお金を持っていることをひけらかさない傾向にあるようです。
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「小さな高級車」はなかなか成功しない
なお、こういった「小さな高級車」チャレンジを行った例は少なくはなく、今までにもいくつかの自動車メーカーが小さな高級車を発売しており、日本だとマツダ・ベリーサはその最たる例。
欧州だとランチア・イプシロン、そしてアストンマーティン・シグネット(これはCO2排出総量に対応する意味もあったが、とにかく売れなかった)といった例がありますが、いずれも成功したとはいい難く(イプシロンはイタリア国内では成功している、)この「小さな高級車」というコンセプトはなかなか受け入れられないと言われています。
参考までに、SUVを各自動車メーカーが好むのは、もちろん「売れるから」という理由があるものの、「利益率が高いから」という理由もあり、たとえばセダンと同じパーツを使用し、コストを同じままに設計・製造したとしても、SUVのほうが「大きい(車高が高い)から」という理由にて価格を高くしても消費者が納得するといい、なんだかんだいいながら「サイズと価格」とは連動する部分が多いのかもしれません。
もう一つ参考までにですが、かつてアルピナはミニをベースにした「アルピナMINI」を製造販売することを実際に検討し、しかしその際には「そのサイズのクルマを、いかに高級・高品質だとしても、サイズを遥かに超えた価格で購入する人は居ないだろう」という判断にてお蔵入りしています。
ただ、ドマゴイ・デュケック氏が言うように、「サイズに依存しないラグジュアリー」があることも事実で、そして「ドレスシューズよりも高級なスニーカー」があるように、従来の「高級」に対する概念が変わりつつあるのも事実であり(レクサスLBXはファッション業界でパラダイムシフトを起こした、高級スニーカーのような存在となることをイメージしているそうだ)、徐々に世の中の考え方が変わってきているのも事実だとは思います。
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現在、BMWがどの程度真剣にこの「シティカー」に対して取り組んでいるのかはわかりませんが、これまでの例を見ても、世の中の情勢、ライフスタイルの変化に着目していち早く対応し、かつ地域ごとの特性を理解した製品を投入してきただけに、「超高級マイクロカー」への本格参入もあるかもしれません(ただ、ぼくがBMWの役員だったら、リスクが大きすぎてゴーサインは出せない)。
しかしながら、中国で成功した女性は「大きなクルマ」「ハイパフォーマンスカーを好む」という統計も出ているそうで、ロールス・ロイス、マセラティ、フェラーリ等では40%前後が女性ユーザーだともいい、「バッグや宝石のように」自動車においても小さく繊細なものが好まれるかどうかは未知数でもありますね(それがゼロではないだろうが、総数は多くない可能性のほうが高い)。
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参照:CARBUZZ