| 自動車の構造において「ドア」はもっとも複雑で高度な設計を要求される部位の一つであもる |
想像する以上にドアの支点変更に関するハードルは高く、これを行えるチューナーは他に存在しないかも
さて、マンソリーはドバイに新しくショールームを開設していますが、その理由は「ドバイでの需要が高まっているから」。
つまりは人気があるということになりますが、そのショールームのオープンに際してはいくつかの「グラデーション」カラーを身にまとうモデルを発表しており、今回紹介するGクラス(AMG G63)もそのひとつ。
なお、マンソリーは自身のチューニングパッケージになんらかの名称を与える傾向があり、Gクラスだと「グロノス」「P820」「アルゴリズミックフェード」といった具合ではあるものの、この個体は特にそういった名称が与えられていないもよう。
ただしこのマンソリー製メルセデスAMG G63には大きな特徴があった
しかしながらこのメルセデスAMG G63には他のマンソリー製カスタムカーにはない特徴があり、それは「観音開き」ドア。
この観音開きドアは「乗り降りしやすい」といったメリットがあり、しかし安全性や強度の保持など様々な問題があって量産車に用いられる例はかなり少なく、現行車もしくは発表済みでこれを持つのはクルマだとロールス・ロイス各車、フェラーリ・プロサングエ、そして過去のモデルだとホンダ・エレメント、マツダRX-8、BMW i3、トヨタFJクルーザーといったところ(リンカーンの限定モデルにも観音開きがあったと思う)。
なお、ぼくはホンダ・エレメント、BMW i3に乗っているので(それが目的ではないのですが)観音開きドアのクルマを2台所有したことがあり、経験から言うと「立っている位置を変えずに」前後ドアを開くことができるので、後席に荷物を入れる場合などに非常に便利です。
参考までに、RX-8の場合は、RX-7が北米を撤退する理由のひとつにもなった「2ドアスポーツカー」の高額な保険料を回避するために小さなドアを設けて「2ドアではない」と主張するためだったと言われ(しかし本格的な4ドアとすることで車体が大きくなったり重量が増加したりスポーティーでなくなったりすることを避けたかったのだと思う)、モデルによっては特殊な理由にて「観音開き」を採用するケースもあるようです。
ただ、FJクルーザー、BMW i3、ホンダ・エレメントについてもその後部ドアのサイズは「補助」的な構造とサイズにとどまっており(要は”軽い”)、これはドアヒンジを保持する強度的な問題なのかもしれず、「ちゃんとした」後部ドアを持つ観音開き車となると、ロールス・ロイス・カリナン/ゴースト/ファントム、そしてフェラーリ・プロサングエくらいなのかもしれません。
ドアを「観音開き」に改造することはとても難しい
つまり現在は「とんでもなく高価な」クルマ以外はちゃんとした観音開きドアを持たないということになりますが、それだけこの構造を実現することは難しく、さらに言うと「(最初から総設計されているのであればともかく)後でこの構造に変更するのはとんでもなく困難」。
しかしマンソリーとしては「それをやった」ということになり、改めてマンソリーの技術力の高さを思い知らされますね。
もちろんドアの観音開き化に際しては支点の変更、キャッチの変更、そしてそれぞれの取り付け場所の強化、そしてなによりも「ガチン」というGクラス特有のドア開閉音を再現せねばならず(でないと購入者は納得しないだろう)、相当に苦労したのは間違いなさそう。
なお、このクルマの価格は公開されていないものの、おそらくエンジンも900馬力クラスにパワーアップされているはずで、カーボンファイバー製のボディキットに23インチホイール、サイド出しエキゾースト、さらには内装フルカスタムがほどこされているため、「安くない」ことは容易に想像が可能。
それはこのモデルを「ドバイ専用」として用意したことからもわかりますが、富裕層の多いドバイだけあってすぐに売れてしまうのかもしれませんね。
あわせて読みたい、マンソリー関連投稿
-
新ペイント「アルゴリズムフェード」を採用したワンオフのメルセデス・ベンツGクラス(G63)が公開!製作したのはもちろんマンソリー
| 塗装工程はもちろん、マスキングを考慮すると非常に手間と時間がかかっているものと思われる | 今後はさらなる高度なパーソナライズ内容を持つカスタムカーが登場する気配も さて、マンソリーはちょっと前に ...
続きを見る
-
マンソリーが900馬力のランボルギーニ・ウルス「ヴェナタスEVO」を公開!もっとも過激な仕様を持つウルス、そして10台のみの限定生産
| 意外とマンソリーやブラバスのコンプリートカーは需要があるのか、続々とニューモデルが登場する | とくに中東では「他の人と同じでは満足できない」と考える富豪が多いようだ さて、マンソリーはランボルギ ...
続きを見る
-
マンソリーがベンテイガを900馬力にまでチューンし内外装をターコイズへとカスタム!あまりにファンシーすぎるような気がするも中東ではけっこう人気が出そう
| いったいどれくらいこのカスタムにお金がかかったのか気になって仕方がない | 中東ではこういったターコイズカラーが比較的好まれるようだ さて、中東の「旺盛な需要」に支えられて新しく現地にショールーム ...
続きを見る
参照:Mansory