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ポルシェの新規株式公開が迫るも、大手金融アナリストが「上場額は目標額の半分くらいだろう」と推測。ボクは「ポルシェは、VWの食い物にされている」と考える

ポルシェ

| VWグループに属するメリットももちろんあるが、ポルシェはそれによって本来のポテンシャルを発揮できないままにいる |

結局のところ、現在のポルシェは「VWの枠」を超えることが許されていない

さて、ポルシェの上場が迫っており(まだ日程は公開されていない)、しかしその目標額が850億ユーロ(約12兆2000億円)ということは広く伝えられていることろ。

ただしこれには疑問がいくつか提示されており、今回HSBCホールディングスの専門家が「実際には、ポルシェの価値はその半分程度の445億ユーロ~569億ユーロくらいだろう」というコメントを出してちょっとした話題に。

なお、このほかにも多くのアナリストが「ポルシェの市場価値は850億ユーロに満たない」という見解を示していますが、正直ぼくもそのレベルには到達しないだろうと考えています。

なぜポルシェのIPOはポルシェの目標に届かないと言われているのか?

そこでポルシェのIPOが目標に届かないと言われる理由はいくつかあり、ぼくが考える最大の理由は「ポルシェはフォルクスワーゲンの操り人形になってしまい、フォルクスワーゲンに”金のなる木”として利用されているに過ぎないから」。

現在ポルシェはフォルクスワーゲングループ傘下にありますが、前フォルクスワーゲンCEOはポルシェ創業者一族の逆鱗に触れて映画さながらの解任劇となってしまい、かわりにフォルクスワーゲンのCEOに抜擢されたのがポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏(ポルシェCEOと兼任)。

フォルクスワーゲン
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ポルシェのCEOがフォルクスワーゲンCEOを兼任するのであれば、ポルシェにとってフォルクスワーゲンをコントロールしやすくなるのでは?と思ってしまうものの、フォルクスワーゲンは基本的に取締役会の影響力が強く、逆にCEOの権力が小さいという特徴があり(前VWのCEO解任の様子からしてもこれは明らか)、そしてこのオリバー・ブルーメ氏は以前からフォルクスワーゲングループの以降に忠実に仕事をこなすことでも知られていて、つまりフォルクワーゲンの取締役会の決定には絶対に逆らわないであろうという人選です。※フォルクスワーゲングループからは相当数の人材が流出しており、これを見ても自由度と裁量が小さいだろうということが推測できる

フォルクスワーゲン

VW新CEOが「電動化を加速」と演説にて強調。ただし新CEOはポルシェCEOと兼任しており、ポルシェでは「内燃機関存続」としている矛盾を指摘される
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よってオリバー・ブルーメCEOは取締役会によってコントロールされ、フォルクスワーゲンもポルシェもその支配下にあるということになりますが、これはつまりポルシェの独立性が低いということを意味するわけですね。

ポルシェは非常に高い技術、そして開発力を持つ会社ですが、それらは自分たちの考えた戦略に従い発揮できるわけではなく、フォルクスワーゲングループの取締役会がYESと言わない限りは動けないということになるのかもしれません。

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フォルクスワーゲングループは他にも多数のブランドを抱えているため、フォルクスワーゲンの取締役会は、ポルシェだけではなくグループ全体としての判断を下す必要があり、今回のポルシェ上場によって得た資金はポルシェ以外のブランド、つまりフォルクスワーゲン、そしてほかのブランドにも(場合によって)注入されることになりますが(主にはグループ全体のためのバッテリー工場建設に用いられる)、こういった事情からもポルシェが「いいように使われている」と考えることも可能です(もちろん、ポルシェも他のブランドと共同にて開発を行うことで、コストを抑えることができるというメリットもある)。

なお、ポルシェはフォルクスワーゲングループの中では様々な意味で「飛び抜けた存在」ではあるものの、他ブランドを成長させるため、そして足並みを揃えるためにポルシェが犠牲になっていることも多いと認識していて、「もっと色々なことができるのに、やらせてもらえない」状況にあるんじゃないかとも捉えていますが、今の状況ではせっかくのポルシェのポテンシャルを十分に発揮できていない可能性もありそうですね。

ポルシェ

参考までにですが、ポルシェは(初代)カイエンを発売するに際してもフォルクスワーゲンの工場で生産するという予定を覆し、最近でもフォルクスワーゲンの工場でEVを生産するという約束を反故にしているので(違約金を支払って和解している)、基本的にポルシェもフォルクスワーゲンを信用していないのかもしれず、とにかくポルシェは思う存分やれてない、というのがぼくの考えるところ。

ポルシェ
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そのほか、多くのアナリストが指摘するのは「ポルシェはもはや一般向けの量産車を作っているので不況に強い超高級ブランドではない」「他のライバルが現在のサプライチェーン問題を克服し、生産を回復させると、ポルシェの価格決定力は弱くなる(ポルシェの利益率は非常に高く、よってフォルクスワーゲングループはチップなどのパーツをポルシェに集中させている)」、「今回発行される新規株式には、議決権が付与されているものがひとつもない(これはフォルクスワーゲン、そしてフォルクスワーゲンに対して強い影響力を持つポルシェ家、ピエヒ家が支配権を維持したいがためである)」といったことも問題視されており、いかにポルシェといえど、現在の状況ではフォルクスワーゲンの意向に従わずを得ず、「本来のポルシェ」に姿からは程遠いのかもしれません。

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参照:Bloomberg

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