
| ■ ポルシェ718シリーズ、ガソリンモデルの終焉が決定 |
718ケイマン・ボクスター”EV”の発売は延期、もしかするとガソリンエンジン搭載の可能性も
さて、ポルシェは株主向けの年次総会を開発し、そこではいくつかの情報を公開していますが、ついにガソリンエンジン搭載の718ボクスターおよび718ケイマンの生産を2025年10月で終了することについて正式に言及。
これはポルシェ・カーズ・ノースアメリカのプロダクト・コミュニケーション責任者、フランク・ヴィーズマン氏が明らかにしたもので、718ケイマン・ボクスターはすでにヨーロッパにおいて2023年にEUの新サイバーセキュリティ規制への非対応を理由に販売が終了していたものの、北米市場などでは引き続き販売されており、しかし、その「猶予期間」も2025年10月で終了することが確定したわけですね。
■ EV後継モデルは「中期的登場」…でもいつ?
ポルシェは以前から718シリーズのEV化を公言しており、「EV比率80%を2030年までに達成」という目標を掲げています。
しかし、上述の年次総会にてCEO オリバー・ブルーメ氏はこの目標につき達成不可能であると言及し、さらに「EVバージョンの718の登場時期は“流動的”」と表現して具体的な発売時期については明言を避けているのが現在の状況です。
なお、「EV版ボクスター718」はニュルブルクリンクでほぼカモフラージュなしの状態でテスト走行している姿が目撃されており、「いつか」登場することは間違いはないものの、予定されていた「今年後半」から延期されることも決定的と思われます。
■ バッテリー供給に深刻な遅れ|ノースボルト破産の影響も
なお、718EVの遅延には「EV市場の成長鈍化」に加え、バッテリー供給の問題が大きく影響しており、これによってポルシェはEV版718シリーズへのバッテリー供給の目処が立たず、生産計画に大幅な遅れが出ていると言われているわけですね。
- ポルシェの主要バッテリーサプライヤー「ノースボルト」が破産
- 自社子会社のセルフォース グループも量産体制に入れず
■ EV需要の伸び悩みとアメリカ市場への再対応
さらにポルシェは全体的な戦略の見直しを迫られているというのが現状で、以下に加えて米国市場向けの3列シートSUV「K1」についても、EV専用からガソリン対応へと方向転換が検討されているとの報道もあります。
- マカンEVに加えて、新型ガソリンクロスオーバーの開発を進行中(2030年末頃登場予定)
- V8エンジンを搭載した次世代カイエンや、プラグインハイブリッドモデルの投入も計画中
■ 718に“ガソリン版後継”の可能性も?
そしてEV化が難航する中、「ガソリン版718の新世代モデルが復活するのでは?」というウワサも一部で再浮上。
今後の市場動向、そしてポルシェの方針(ガソリン回帰)次第では、一度終わるはずの内燃機関スポーツカーが再び脚光を浴びる展開もあるかもしれず、一度は命運が尽きると見られた718ケイマン・ボクスターの「次の章」がEVではなく「ハイブリッド」など別の形で幕を開ける可能性もありそうです。
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参照:Motor1