| 現在はあまりに事情が特殊すぎる |
いずれの自動車メーカーも、「この早すぎる」電動化の波への対処に追われている
さて、ランボルギーニ・アヴェンタドールシリーズの販売が終了し、「ランボルギーニのV12モデルを注文できなくなった」との報道。
ランボルギーニは創業以来、ずっと途切れることなくV12モデルを販売しており、「ディアブロからムルシエラゴに」スイッチする際にも、(V12モデルが販売できない)空白期間が出ないよう、ディアブロに予定外のフェイスリフトを施して延命したほどです(もっとも、当時は他のモデルがなかったので、ディアブロが販売できなくなると売上がゼロになってしまうという事情があった)。
なお、ディアブロからムルシエラゴにモデルチェンジを行う際に空白期間が出来そうになったのは、ちょうど親会社がVパワーからアウディへと切り替わり、それまでに(おそらくはその前の前の親会社であるクライスラーによって)用意されていた「ディアブロ後継モデル」をアウディの幹部(とくに当時のフォルクスワーゲングループ会長、フェルディナント・ピエヒ氏)が気に入らず、デザインをいったん白紙に戻したためだと言われます。
-
「ディアブロ後継」として発売直前だった「ランボルギーニ・カント」。発売キャンセルの理由とは?
| 発売直前まで行っていた、幻の”次期ディアブロ” | ザガートがデザインした「ディアブロ後継モデル」、”Canto(カント)”ことスーパーディアブロ(1998)。 コードネームは「L147」とされる ...
続きを見る
今回はちょっと事情が異なるものの
そして今回「空白期間」が生じることになったのには特殊事情があり、というのも予定外に速く進む「自動車業界の電動化」に対応する必要が生じたためで、早ければ2025年からガソリン車を販売できなくなる国や地域が登場し、よって「本来予定していた(であろう)」ガソリン車へのモデルチェンジができなくなり、早々にハイブリッド車を発売せねばならなくなったから」だと思われます。
ただ、ハイブリッド車を発売しようにも、これまでは「こんなに早くハイブリッド車発売の必要に迫られるとは考えていなかった」ため、おそらくは(HV車の)開発を進めていなかった可能性が高く(加えてバッテリー密度も求めるレベルに達していない)、しかしアヴェンタドールは2011年から発売されていたために「寿命」を迎えることになり、ここで「アヴェンタドールの販売が終了するのに、後継モデルの準備ができていない」という状態が発生したのかもしれません。
もちろんランボルギーニは急ピッチでアヴェンタドール後継モデルを開発していると思われるものの、未だプロトタイプも目撃されておらず、よって発表は来年あたりに行われるかもしれませんが、発売そのものは2023年くらいになる可能性もありそうですね。
-
ランボルギーニCEO「アヴェンタドール後継モデルはこれまでと全く異なるデザインを持ち、LP780-4ウルティメとも何ら関連性を持たない」
| つまりアヴェンタドール後継モデルはデザイン、車体、パワートレーンとも「アヴェンタドールからは引き継がない」ということに | おそらくは「20年、トップでいられる」だけのデザインや性能が与えられるこ ...
続きを見る
なぜ今回は延命せず?
そこで疑問に思うのが「なぜランボルギーニはアヴェンタドールを(ディアブロの時のように)延命しなかったのか」ということ。
これについては公式に何も語られていないので想像するよりほかありませんが、アヴェンタドールがランボルギーニそしてフォルクスワーゲングループ全体の環境規制にかかわる数値を悪化させてしまっていたこと、そして今は昔と異なってウラカンとウルスがあるので、V12モデルの販売がなくとも「耐える」ことができるからなのかもしれません。※アヴェンタドールの販売は年間1000台くらい、ウラカンは2000台くらい、ウルスは5000台くらい
-
シロン・ピュールスポールがアヴェンタドールと並び「もっとも燃費の悪いクルマ」に。どうりでVWがブガッティとランボルギーニを売却したくなるワケだ・・・
| ランボルギーニ歴代V12モデルはこのポジションが「定位置」 | さて、ブガッティ・シロン・ピュールスポールが「アメリカで最も燃費の悪いクルマ」に認定されることに。これはCO2排出量にて表示されてい ...
続きを見る
ただ、ランボルギーニは「アヴェンタドール最終モデル」であるLP780-4ウルティメを600台(クーペ350台、ロードスター250台)限定で発売しており、この納車が来年にまで差し掛かるであろうことを考慮すると、そしてカウンタックLPI800-4の限定台数112台がここに乗ってくるとなると、台数においては「ひとまず2022年はなんとか維持」、そして「売上についてはカウンタックの車両価格が高価なぶんだけ伸びる」可能性が高そうですね。
-
ランボルギーニ・カウンタックLPI800-4の「限定112台」が当然のごとく完売!1台2.56億円、ランボルギーニは287億円を確保することに
| ランボルギーニの限定モデルはその価格、台数とも増加傾向にあり、つまりそのぶんブランド価値が高くなっていると考えられる | 数億円の限定スーパーカーはそう簡単に売れるものではない さて、ランボルギー ...
続きを見る
どうなるアヴェンタドール後継モデル?
そこで気になるのがアヴェンタドール後継モデルですが、現時点では発表時期やパッケージング等は一切不明。
発表は早くても2022年になるという説が有力で、もちろんハイブリッドシステムを搭載することになるはずではありますが、そのシステム概要も不明です。
4WDを継続するとしても、前輪をモーターで駆動するのか、後輪をモーターでアシストするにとどまるのか、もしくはフェラーリSF90ストラダーレ/スパイダーのように3モーターを搭載するのか。
なお、ランボルギーニは「V12エンジンを新規開発中」だとコメントしていますが、排気量やターボの有無も不明です(ブランディング上、自然吸気を継続するとは思われるが)。
-
ランボルギーニCEO語る!「アヴェンタドール後継に積まれるV12は完全新設計。車体すべてにおいてアヴェンタドールとの共通性は一切ない」
| ランボルギーニは「先が限られている」技術に対しても積極投資を行なうようだ | V12エンジンはランボルギーニのDNAでもある さて、ランボルギーニはアヴェンタドール最終モデル、そしてV12ガソリン ...
続きを見る
合わせて読みたい、ランボルギーニ関連投稿
-
ランボルギーニ初のピュアEVはアウディとポルシェとの共同開発、そして2+2となり2027年あたりに発売との報道。プラットフォームはVWグループ入魂のSSP
| ランボルギーニはフェラーリやマクラーレン、アストンマーティンと比較して「VWグループのシナジー効果」の恩恵に浴することができる | おそらくはランボルギーニの今後の展開について、やや方向性が変わる ...
続きを見る
-
ランボルギーニの親会社、VWのCEOが大胆発言。「我々はフェラーリに対して卑屈になる必要はない。実際にマラネッロの自動車メーカーに勝っている点も多い」
| 実際のところ、ランボルギーニは信じられないような勢いでフェラーリを追い上げている | ただしそれもフェラーリがSUV「プロサングエ」を発売するまでかもしれない さて、ランボルギーニはコロナ禍におい ...
続きを見る
-
ランボルギーニが「一般に知られていない、しかし環境のために取り組んでいること5つ」を公開。例のハチミツ生産のほか、そしてカーボンやレザーをリサイクルして小物を作っているようだ
| 残念ながらハチミツは社員へのプレゼント用、カーボンリサイクルパーツは本社併設ストアでしか購入できないようだ | さすがにここまでランボルギーニが環境に熱心とは知らなかった さて、ランボルギーニが「 ...
続きを見る
参照:GT Spirit