| 現代においては「一つの方向」に方針を定めることはリスクを増大させることになり、あらゆる可能性を考慮しなければならない |
現代ほど自動車メーカーの経営が難しい時代もないだろう
さて、数多くのスポーツカーメーカーが「ガソリンエンジン禁止」という世界各地・各国の決定に翻弄されている状態ですが、ランボルギーニもそのひとつ。
ランボルギーニは現在フォルクスワーゲングループに属しており、同グループに属するブガッティとともに「行けるところまでガソリンエンジンで行く」という方針を採用していたわけですね。
ところが、その後予定よりも早く(主に)欧州各国が「ガソリンエンジン禁止」を打ち出してしまい、それに追随する国が出てきたことで、予想よりも早くガソリンエンジンが終焉を迎えそうな雰囲気となってきて、その方針を転換せざるを得ない状況に陥っているようにも思えます。
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ライバルは早々に電動化へと移行中
そしてランボルギーニのライバルとも言えるマクラーレンはハイブリッドスポーツ「アルトゥーラ」を発売しており、フェラーリも「SF90ストラダーレ/SF90スパイダー」「296GTB」を”定番モデル”として発売。
対するランボルギーニはシアンFKP37、シアン・ロードスター、カウンタックLPI800-4といったハイブリッドカーを発売したものの、これらは限定モデルであり、しかも「(PHEVではなく)マイルドハイブリッドに属するクルマです。
さらにランボルギーニがハイブリッドカーを発売するのは2023年あたりになる見込みで、正直なところ「出遅れた」と言っても良いかもしれません。
ただしランボルギーニは2030年以降もガソリン車販売の可能性を探る
ただしランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏によれば「2030年以降もガソリンエンジン(内燃機関)車を存続させたいと考えている」。
そしてその可能性の一つとして述べているのが「合成燃料」ですが、これは現在(やはりフォルクスワーゲングループに属する)ポルシェが開発を進めているもので、これを使用すると(ポルシェいわく)ガソリン車であってもEVよりクリーンなクルマになるとのこと。※ケーニグセグも合成燃料の開発を進めている
ただしこの実用化にはまだ10年ほどかかるといい、そして実用化できたとしてもその価格はガソリンの2倍くらいになる、とも言われています。
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ランボルギーニにせよ、ブガッティにせよ電動化に対してさほど積極的でなかったのは、この合成燃料の実用化のほうが「ガソリンエンジン禁止」よりも先になるという目論見があったのかもしれず、ポルシェがスポーツモデルの電動化に二の足を踏んでいるのもの同じ理由なのかもしれません(加えて、現在のバッテリー技術ではスポーツカーと言える性能を発揮させるだけのハイブリッドカーやピュアEVを作ることは難しいという事実が関係しているのは間違いない)。
もちろん、ランボルギーニもブガッティもポルシェも様々な可能性を考慮しており、不確実性の残る「合成燃料の実用化にただ賭けている」わけではなく、同時に電動化の道も模索していて、ランボルギーニは2023年にはアヴェンタドール後継となるハイブリッドモデル、2024年にはウラカン後継のハイブリッド、そして2028年には初のピュアエレクトリックモデルを発売する予定を持っており、ブガッティはリマックと組み、ポルシェはSUV/サルーンにおいてエレクトリック化をすすめる一方、次期718ケイマン/ボクスターをピュアエレクトリック化するという計画も。
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しかしながら電動化一辺倒の雲行きも怪しく
ただ、ここ最近になって「電動化しかない」という風潮がちょっと怪しくなってきているという傾向もあり、たとえばボルボは「EVはそもそもクリーンではない」、さらにはステランティスCEOも「急激な電動化は危険」という主張を行っていて(ちょっと前であればこういった発言は許されない)、これに加えて世界各国で問題となる電力不足、エレクトリックモーターやバッテリー製造のために必要な資源の逼迫といった問題が顕在化するに際し、「このまま電動化に向けて進んでいいのか」という声が徐々に大きくなっているのもまた事実。
そしてこういった声が拡大すると、いずれの国も態度を覆し「やっぱりガソリンもOK」という判断を下す可能性もでてきそうです。
そうなるとハイブリッド化を進めていた自動車メーカーや「ピュアエレクトリック化宣言」を行っていた自動車メーカーは逆に「ちょっと待って・・・」ということにもなり、逆にランボルギーニにとっては有利な状況が生まれる可能性もあって、自動車メーカーはとにかく政治に翻弄されるということなのかもしれません。
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参照:Automotive News