| 一方、消費者がEVに対して抱く懸念は「充電」「航続距離」であるということが調査から明らかになっている |
さらにマツダは充電施設の拡充も「他人がやってくれるもの」と考えているようだ
さて、現在MX-30を除くとEVを持たないマツダですが、マツダUSAの社長兼CEOであるジェフリー・ガイトン氏はによれば「電気自動車の航続距離競争には乗り気ではない」。
これは先日発表されたCX-90の発表会での発言だとして報じられていて、要点をまとめると「EVの普及とともに、消費者も賢くなり、それほど長い航続距離を必要としなくなるから」なのだそう。
マツダはEVに対してこう考える
なお、マツダMX-30の一回の満充電あたりの航続距離は米国だと100マイル(約160キロ)だと表示されており、これは「かなり少ない」と言われています(実際のところ、同じ価格帯ではもっと長い距離を走るEVもたくさんある)。
ちなみにですが、こういった指摘に対してマツダは「航続距離に満足できないのであれば、もう一台ガソリン車を購入するといい」とコメントしたことがあり、正直これははちょっと一般的な消費者の考え方とは乖離した発言だと考えざるをえません。
-
マツダ初のEV、MX-30 EV Modelが売れてないもよう。原因はおそらく航続距離の短さ、しかしマツダは「その解決策として、ガソリン車をもう一台買い増せばOK」とコメント
| 欧州と日本ではおそらく目標販売台数をクリアしているようだ | ただし北米では他のEVに押されて販売が伸びていない さて、マツダが満を持して発売したMX-30 EV Modelですが、今ひとつ販売が ...
続きを見る
そして今回、マツダは「EVユーザー、とくにEVを乗り継いだユーザーであればEVの特性をよく理解できているので、賢い使い方ができるようになる」と主張し、これはつまり電欠になる前に充電したり、自宅でこまめに充電するようになるだろうということを考えているもよう。
さらには「そのうち充電インフラが整備されれば、チョコチョコと充電できるようになるため、実はさほど長い航続距離を求めていなかったということに消費者は気づくはず」だとも。
実際のところ、統計によれば、平均的なアメリカ人は1日に約40マイルしか走行しておらず、よってマツダMX-30の「100マイル」というわずかな航続距離であってもほとんどのドライバーの日々のニーズを満たすことができるはずです。
ただし実際には多くの消費者が「250マイル以上の航続可能距離を求めている」というデータもあり、ここにマツダの考えと消費者のニーズとの乖離があるのかもしれません。
マツダの考え方は世間とは乖離している
確かにマツダの言うこともわからないもないのですが、それは「毎日充電するという前提」であり、しかし毎日ガソリンスタンドに行くのが面倒なのと同様、毎日充電するのもそう簡単ではなく(とくに自宅で充電できない場合)ここもマツダの認識が現実と異なるところだとも考えています。
-
プラグインハイブリッド(PHEV)オーナーのほとんどがプラグイン(充電)せずガソリン車 / HVとして走っていることが統計から明らかに。なぜPHEVを買ったんだ・・・
| PHEVは充電してEVモードで走らないととてもモトが取れない | PHEVを購入したオーナーにとっても「想定と現実とは事情が違った」のかも さて、米グリーン・カー・レポートが発表した調査結果による ...
続きを見る
なお、ぼくが思うにマツダの(トヨタもですが)課題はそもそもEVにさほど真剣ではないということで、そのマツダが「EV購入者は、さほど長い航続距離を必要としない」と発言することにはちょっと違和感を感じます。
これがもし、大量にEVを販売しており、その経験上、そして販売現場からの意見をもっての発言ならば理解でき、かつ「(宏光ミニEVのように)航続距離を抑えて安価なEVを販売している立場からのコメント」のであればこれも理解できるのですが、EVが(数量限定で)1車種のみ、かつ航続距離が短く価格が高いことに起因して自社のEVが売れていない状況下での発言であれば説得力に欠けるというもの。
加えて、マツダは自社でチャージングポイントを建設する計画を公表しておらず、そのマツダが「将来は充電箇所が増え、あちこちで充電できるので便利になり、よって航続距離が短くても問題はない」というのも「え?」という感じです。
つまりは、自社の努力不足を消費者に転嫁しようとしている、もしくは都合のいいように解釈しているかのように思われるわけですね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
メルセデス・ベンツが自社の充電網を構築すると発表!休憩や買い物もできる全天候化型、そして他社のEVでも充電が可能となるようだ
| EVの普及と充電施設の拡充は「タマゴとニワトリ」の関係でもある | EVを普及させようと考えるならば充電器の設置は欠かせない さて、メルセデス・ベンツは2020年代までに世界的に急速充電ネットワー ...
続きを見る
-
テスラが自前のレストランとドライブインシアター「スーパーチャージャー・ダイナー&ドライブイン」を作るようだ!すでに計画書も提出済み、設計図も公開される
| レストランについてはテスラオーナー以外もこぞって利用することになりそうだ | テスラ自前の施設であれば、問題となっている「ガソリン車による充電設備の専有=アイシング問題」も解決できそう さて、何か ...
続きを見る
-
英国ではEVへの関心が薄れる?EV購入を検討する人々は世代によって最大19%も減少することに。なお最大の心配事は「充電施設」そして「航続可能距離」
| EVの普及にはまだまだ障壁が多そうだ | 解決すべき問題は明白ではあるものの、その問題がなかなか解決できない さて、現在アメリカではガソリン高によってEVへの注目度が高まり、欧州においてもEVの販 ...
続きを見る