| 日産の超高級スーパースポーツは「絶対にない」と考えている |
さて、Spyder7によると、日産が新型車として「超高級ミドシップスポーツ」を開発中とのウワサ。
これはルノー=日産・三菱アライアンスの資産を利用し、アルピーヌA110のプラットフォームを活用して2.5~3リッターV6エンジンを搭載する、というものです。
なお、アルピーヌA110はパワートレーン以外、つまりプラットフォームや足回りが完全新設計。
どう考えてもイマどきの情勢だとモトが取れないだろうというクルマですが、なぜかルノーは多大なるコストをアルピーヌA110に投じています。
順当に考えるとアルピーヌブランドの「コスト回収の必要がある」
加えて現在アルピーヌは販売低迷に苦しんでおり、一時は廃止のウワサも出たほど。
ただしルノーは新CEOのもとでアルピーヌの再生計画を打ち出し、これを存続させることとしているわけですね。
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そうなれば、ルノーはアルピーヌブランドをなんとか「利益に出る」ブランドとする必要があり、一旦開発したプラットフォームを日産と共有し、日産からその使用料を徴収するということを考えてもおかしくはない、と思います。
加えて、ルノー=日産・三菱アライアンスは新しい再生プランを提示しており、これは技術や地域、セグメントにおいて「リーダー」と「フォロワー」とを分け、技術やセグメントにおいてであれば、リーダーの開発したものをフォロワーが使用することで、アライアンス全体のコストを平準化そして縮小しようというもの(アライアンス間で、重複や競合を行わない)。
となると「ミドシップスポーツ」においてもルノーがリーダー、日産がフォロワーという図式が当てはまることにもなりそうです。
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ただし日産にはその余裕がないはずだ
そして日産に話を移すと、つい最近新型フェアレディZ(プロトタイプ)を発表したばかり。
これは過去のヘリテージを活用したレトロルックが特徴ですが、メカニズム的には現行フェアレディZを踏襲したものだと言われ、パーキングブレーキも電動ではないところを見るに、「極端にコストを削ったクルマ」。
ただしコストを削るとクルマとしての魅力が削がれるため、それをカバーするのが「レトロルック」そして搭載がウワサされる「400馬力のV6ターボ」ということになるのだと思われます。
しかしながら、これらについても「新しいチャレンジ」ではなく、ただ過去の遺産を”使いまわしている”ということになり、コストをかけず、「ヒットした原作の実写(アニメ)化」のように、なるべくリスクの低い方法を選んだように感じられてなりません。
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加えて日産は、ブランドバリュー向上にとってはかなり貢献度が大きいはずの「GT-R」ですら開発する余力がないようなので、そのGT-Rを差し置いての「超高級ミドシップスポーツ」という新規車種を開発するだけのリソースは絶対に無い、と考えているわけですね(今の日産は未来を切り開くよりも、過去の資産を活用して現状をしのいでいる状況)。
そして、日産がチャレンジを行なうとすると、それは「アリア」のようなエレクトリックモデルであり、「2035年というタイムリミット」があるガソリン車をこれから開発するよりも、同じスーパースポーツを開発するのであれば「ピュアエレクトリック」に、そしてそれはGT-Rであるべきだろう、とも考えています。※発売してから10年くらいしか販売できないクルマを今さらニューモデルとして発売するとは思えない。アルピーヌですらロータスと組んでエレクトリックにシフトしている
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日産は過去にミドシップ4WDスポーツを企画していた
なお、日産は過去に「MID4」「MID4 II」なるコンセプトカーを発表。
これは「901計画(90年代に、1番の自動車メーカーになる)」に基づき開発されたもので、文字通りのミドシップ4WD。
この開発のために日産はポルシェに意見を求めに行ったそうですが、そこでポルシェに「いかにコストが掛かっても、最後までやり通す覚悟はあるか」と聞かれ、担当者が日本に戻ってそのままを日産幹部に伝えたところ、「じゃあやめよっか」とアッサリ開発が終了になったと言われています。
よって、当時の日産でも貫けなかった覚悟を現在の日産が押し通せるとも思えず、この観点からも日産のスーパースポーツは「無いな。絶対に無い」と考えているわけですね。
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参照:Spyder7