| ベトナム初の自動車メーカーにしてここまでの成功を収めるとは「神話」に近い |
さて、ベトナム初の自動車メーカー、ビンファスト(VINFAST / ヴィンファスト)。
2017年に設立されたのち順調に生産を開始しており、現在はSUV(Lux SA2.0)とセダン(Lux A2.0)、コンパクトカーのFadilという3つのラインアップを持つに至っています。
なお、Lux SA2.0はBMW X5、Lux A2.0はBMW 5シリーズ、Fadilはオペル・カールをベースにしています(パーツや設計の供給をうけ、製造はベトナムにて行っている)。
なぜビンファストは順調に生産を開始できたのか
現在多くの自動車が「旗揚げ」を行っているものの、実際にはなかなか生産を開始できず、そのままほとんどがポシャってしまうのもまた事実。
ただしビンファストの場合は「理想の車をつくる」というよりは「ビジネス」として自動車産業を捉えており、そのため無用な理想を捨て、既存車種のノックダウン生産に近い方法を採用したのが良かったのだろうと考えています。
なお、ビンファストの考えた生き残り戦略は「性能よりも外観」であり、中身はひと世代前のドイツ車、しかしその外観は「イタリアンデザイン」。
デザインに関してはピニンファリーナとイタルデザインに依頼しているとされ、たしかにそのルックスはなかなかのものだと思います。
こうやって比較的安価に信頼性の高いクルマを作り、しかしデザインで魅せるという手法はそうとうに現実的で、実際のところそれなりの成功を築いていると見え、今のところは「快進撃が続いている」と言ってもいいのかもしれません。
ビンファストはEVで世界を狙う
そしてビンファストの次の野望はベトナムにとどまらず「世界へ」。
ビンファストは上述の通り「ビジネスありき」で設立された自動車メーカーであり、そのため利益を最大化することを目的としています。
よって当初から(段階的に)世界進出を考えており、今回報じられているのは「3つのエレクトリックモデルをもってグローバルオートメーカーになる」。
最初に登場するのは一番上の画像「VF31」で、これはCセグメントに属するクロスオーバー。
ベトナムでは11月に発売されるようですが、フロントにはビンファストの「V」をあしらったデザインが用いられ、特徴的なライティングが採用されています(なんとなくこれはイタルデザインの作品っぽいように思う)。
全長は4,300ミリ程度で、ベースモデルは114HPを発するエレクトリックモーターを一つ搭載し、上位モデルだとこれが2つへ(201HP)。
一回の満充電あたり走行可能距離は最大で300キロ程度だとされ、こういったスペックを見ても「求めすぎていない」ということがわかり、ちゃんと売ることを考えているようですね。
VF32はこんなクルマ
そして2台目のEVはやや大きくDセグメントに属する「VF32」。
ベトナムでは2022年2月に発売されると言われていますが、6月には欧州、アメリカそしてカナダにも輸出を行うと報じられています。
全長は4,750ミリ、ホイールベースは2,950ミリだとされ、インテリアには15.4インチサイズの大型インフォテイメントディスプレイを持ち、シートヒーターやステアリングホイールヒーター、HEPAフィルター内蔵のエアコンを持つとされ、こちらも基本装備を充実させつつ「過度な内容を求めない」、等身大のスペックを持つように思います。
出力について、エントリーモデルでは201馬力(シングルモーター)、上位モデルだと402馬力とけっこうパワフル。
VF33はこんなクルマ
そして最後のVF33はさらに大きく、全長5,120ミリ。
エントリーモデルでも402馬力(デュアルモーター)を発生し、航続可能距離は550km。
VF32とともにレベル2からレベル3相当の自動運転機能を備え、オプションだとレベル4も用意されることになる模様。
この場合は14カメラやLiDAR/360度センサーが与えられ、サモンモード(自分のところまで無人運転で走ってやってくる)、オートパーキングも備える、とのこと。
今のところは日本への出荷を行う計画は報じられていないものの、そうのち日本の自動車市場にも、(家電やアパレル同様に)中国やベトナムの自動車メーカーから製品が流れ込んで来るのかもしれませんね。
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