
Image:Great Wall Motors
| ピックアップトラックとSUVで知られる中国の自動車メーカー、GWM(長城汽車)が、ついにスーパーカー市場に殴り込み? |
実際に「新型V8エンジン」を新しく開発しお披露目
近年、EV市場で存在感を増している中国のGWM(長城汽車)ですが、ガソリンエンジンの開発も継続しており、中でも注目なのは新開発のV8エンジン、そして5年にわたり開発が進められているという(このV8エンジンを搭載するであろう)フェラーリ超えを狙うスーパーカーの存在です。
▶ GWMのCTOが語る「フェラーリより上」
中国のSNS「Weibo」でのインタビューで、GWMのCTO・呉暉霄(Wu Huixiao)氏はなんと、
「我々のスーパーカーはフェラーリよりも優れている」
と豪語。しかし同時に「競合から学んでいる」とも発言しており、野心と現実を織り交ぜたチャレンジであることがうかがえます。
参考までに、つい先日BYDのプレミアムブランド、デンツァが新型車「Z9 GT シューティングブレーク」を欧州にてお披露目する際に「欧州の既存プレミアムカーより10倍優れる」といったコメントを残していますが、中国の自動車メーカーはしきりに「欧州車よりも優れる」ということをアピールすることが多いのかもしれません。
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▶ カーボンモノコックに苦戦、しかし妥協なし
一方でグレートウォールモータースは(以下に掲げる)いくつかの課題についても言及しており、しかし(現在も公式発表には至っていないものの)GWMは開発のためにニュルブルクリンクのエキスパートを中国に招いたとも報じられ、本気度は相当なものだと思われます。
- カーボンファイバー製モノコックの製造課題
- コスト削減という現実的な壁
▶ GMW製新型スーパーカーのパワーユニットは「V8」の可能性が大
GWMは4.0LツインターボV8を開発中ですが、おそらくはこのV8が新型スーパーカーへ搭載されるものと見られ、しかし「大きすぎる」との懸念から以下のパワートレーンの搭載についても「可能性あり」と見られているようですね。
- 3.0LツインターボV6(PHEV/Tank 700に搭載) → 516馬力
- 2.0L+電動2モーター(Tank 500 Hi4-Zに搭載) → 851馬力
さらに、GWMのCEOである魏建軍(Jack Wei)氏が比較対象としてフェラーリSF90をドライブしていたとの報道もあり、新型スーパーカーがPHEV(プラグインハイブリッド)となる可能性が高いと見られています。
GWM has astounded the audience at Shanghai Auto 2025 with the unveiling of the 4.0T V8 hybrid, a twin-turbocharged powertrain with P2 electrification ready to blow your mind.
— GWM Global (@GWMGlobal) April 26, 2025
Learn more: https://t.co/Zr2Ilzu9Us#GWM #GoWithMore #offroad #technology #autoshow #AutoShanghai2025… pic.twitter.com/4acZEx4FFK
▶ 中国国内では「ブランド力」より「性能と価格」
たとえGWMがスペックでフェラーリを上回ったとしても、ブランドとしての格は別物。
しかし、中国市場においては、
- 長い航続距離
- 圧倒的な価格競争力
- 最新技術搭載
という“現実的な価値”が消費者に支持されており、ステータスよりもコスパ重視の流れが主流であり、これはシャオミSU7 ウルトラの販売が好調であり、一方でポルシェがその販売を落とし続けていることからも理解できるかもしれません。
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中国・長城汽車とは?
長城汽車(Great Wall Motor Company Limited、GWM)について解説しておくと、中国の河北省保定市に本社を置く中国最大級の民営自動車メーカーの一つであり、SUVとピックアップトラックの分野で特に強みを持っています(SUVとトラックというセグメントにて、世界一を狙っているとされる)。
もちろん社名は万里の長城に由来し、その名の通り「大きく他を圧倒する」クルマやバイクを作ることでも知られていますね。
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| 中国市場では「あまり大型バイクの需要はない」と言われるが | しかしGMWはもともと「ニッチ」を狙う会社でもある さて、中国の自動車メーカーの中では比較的「タフでワイルドな」クルマを製造しているの ...
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概要:
- 設立: 1984年
- 本社: 中国河北省保定市
- 事業内容: 自動車(SUV、ピックアップトラック、乗用車、EVなど)および自動車部品の設計、開発、製造、販売
- ブランド:
- Haval (ハヴァル): SUVブランド
- WEY (ウェイ): 高級SUVブランド
- ORA (オラ): 電気自動車ブランド
- GWM Pickup (GWM 炮): ピックアップトラックブランド
- TANK (タンク): オフロードSUVブランド
- グローバル展開: 100以上の国と地域で販売され、海外には複数の生産拠点や研究開発拠点を有し、日本には、研究開発拠点である「長城日本技研株式会社」が横浜に開設されており、高額にて日本人技術者をスカウトしているという話も
歴史:
- 元々は自動車の修理・改造工場としてスタート
- 1990年代からピックアップトラックの製造を開始し、中国国内でトップシェアを獲得
- 2000年代に入りSUV市場に参入し、「Haval」ブランドを中心に急速に成長
- 2003年に香港証券取引所に上場、中国の自動車メーカーとして初めての海外上場を果たす
- 近年では、電気自動車ブランド「ORA」や高級SUVブランド「WEY」、オフロードSUVブランド「TANK」などを立ち上げ、多様なニーズに対応する製品ラインナップを拡充
特徴:
- SUVとピックアップトラックの強さ: 中国国内だけでなく、海外市場でもこれらのカテゴリーで高い評価を得る
- 多様なブランド戦略: 異なるターゲット層に向けた複数のブランドを展開
- グローバルな研究開発体制: 中国国内だけでなく、日本やヨーロッパなどにも研究開発拠点を設け、最新技術の開発に取り組み中
- 新エネルギー車への注力: 電気自動車(EV)の開発・製造に力を入れており、「ORA」ブランドを中心に魅力的なEVモデルを投入済み
主な車種(ブランド別):
- Haval: H6、Jolion、Big Dog、H9など、幅広いSUVラインナップ
- WEY: VV5、VV7、Moccaなど、高級SUV
- ORA: Good Cat、Ballet Cat、Lightning Catなど、個性的なデザインのEV
- GWM Pickup: Poer (炮)、Wingleシリーズなど、多様なピックアップトラック
- TANK: TANK 300、TANK 500など、本格的なオフロードSUV
長城汽車は、中国の自動車産業を代表する企業の一つとして、グローバル市場でのプレゼンスを高めており、積極的な海外展開や新エネルギー車への注力など、今後の動向が注目される自動車メーカーだと評価されています(その一方、日米欧のクルマのコピーが多いという評価も受けている)。
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年収1000-5000万円で日本人技術者を募集した中国・長城汽車。「ジープブランドを買いたい」
FCAに対し、「中国からの買収話が出ている」と報じられていますが、そこで出てきたいくつかの中国メーカーはこれを否定。 たとえばボルボやロータスを傘下に収める吉利汽車は「FCAに興味はない」とこのウワサ ...
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