| 現代のクルマは基本的に「見た目」で選ばれていると考えていい |
ヒョンデ/キアは後発であったがために「先発と戦う武器」としてデザインを採用している
さて、現在「EVの販売が伸び悩んでいる」とよく報じられ、実際にいくつかの自動車メーカーはEV注力姿勢をやや弱め、ハイブリッドやPHEVなどガソリンエンジン搭載車に注力する方針に切り替えたというニュースも見られます。
具体的にはメルセデス・ベンツやVW、ベントレー、GMなどがEVへの完全移行目標を撤回し「ガソリンエンジンに再注力」すると発表し、しかしいくつかの自動車メーカーは「EVファーストの姿勢に変わりなし」。
-
EV革命の急先鋒、VWですらEV注力姿勢を弱めPHEVへと軸足を移行。「過去6カ月以内に、突然誰もがハイブリッドを望むようになった」
| それにしても、昨年11月辺りからの「急激なハイブリッド、PHEV人気」には驚かされる | ただし現時点ではアウディのみが「電動化計画に変更なし」 さて、現在の自動車業界は大きな荒波にもまれており、 ...
続きを見る
ヒョンデ/キアもEVを主力に据える戦略を貫いている
そしてEVファーストを貫くのは(今のところ)ホンダ、そして韓国のヒョンデ/キア(ヒョンデとキアは同じグループに属する)。
ホンダはまだまだ「これから」EVを拡充する段階ではあるものの、ヒョンデとキアはすでに世界中においてEVの展開を強化しており、ヒョンデの主力といえば「アイオニック5」です。
-
北米におけるヒョンデの2024年第1四半期の販売が過去最高に。他メーカーとは異なり牽引役は販売が2倍になったEV、とくにアイオニック5が好調
| おそらくヒョンデのクルマが支持される理由はそのデザインにあると考えている | 現代において、クルマのデザインは性能よりも重要なファクターになっていると考えていい さて、ヒョンデが北米市場において「 ...
続きを見る
2024年6月には3,755台という「単月での再考販売台数」を記録しており、1-6月での累計だと18,728台(前年比37%増)を登録するという好調ぶり。
しかもこのアイオニック5は米国だと(米国生産ではないので)連邦政府の提供する税制優遇を受けることができず、つまり「かなり高いクルマ」となってしまうのですが、それでも他の国や地域同様に好調な販売を見せていて、ヒョンデにおいては「EV不振」が当てはまらないのかもしれません。
ただ、ヒョンデのEVがすべて好調かというとそうではなく、アイオニック6の(6月の)販売は前年比でわずかに減少して914台にとどまっています。※ただし1-6月の累計だと前年比113%
この(アイオニック5との)差については説明をつけることが難しく、ただ単に「デザインの好みが分かれた」、あるいはアイオニック5には「アイオニック5 N」なるスーパーカー顔負けのハイパフォーマンスモデルが存在する(たとえこのモデルの数が出なくても、イメージを牽引することになる)からなのかもしれません。
-
熾烈な競争率をくぐり抜け「ヒョンデ IONIQ5 N トラックデー」に参加してきた(前編)。スーパーカーも真っ青、650馬力のアイオニック5 Nはこんなクルマ【動画】
| ヒョンデは「後発」だけに他社をよく研究したブランディングを行っている | そのデザインの独自性、完成度は非常に高い水準にあると言っていい さて、先日お伝えした通り、ヒョンデ アイオニック5 Nの特 ...
続きを見る
キアはその高いデザイン性が評価されている
そしてキアに話を移してみると、とくに「EV6」の販売が好調だとアナウンスされており、今年の累計販売台数は前年比31.3%増の10,941台で、やや大型のEV9は9,671台を納車しています(昨年はまだ発売されていないので前年比を出すことはできない)。
さらにNiro EVは8,780台を販売しており、トータルではヒョンデよりも多くのEVを販売している可能性が高そうです。
ちなみにキアはもともとヒョンデとは別会社であったものの、1999年の(韓国の)経済危機の際にヒョンデ傘下に入っており、今では車体を共同開発するという関係に。※アイオニックとEV6とは兄弟車である
ただし両者の区別を明確にするため、キアはよりデザインコンシャスなポジションを狙っており、実際にキアはVWグループから(アウディTTをデザインした)ペーター・シュライヤー氏を引き抜いて社長の座に据えています。
-
韓国キアが超オシャレなEV3とEV4コンセプトを発表。クリーンなデザインにサステイナブルな内装を持ち、内装素材は「キノコやクルミでできている」
| 現在キアは「好感度な人々に支持される」ことでヒョンデよりも人気が上昇中 | たしかにキアのクルマはカッコイイ さて、キアがオシャレなEVコンセプト、EV3とEV4を発表。現在キアはヒョンデの傘下に ...
続きを見る
「デザイナーをCEOに」というのは業界全体から見てもかなり異例ではありますが、実際にこの戦略は奏功しており、「スティンガー」「ソウル」など相次ぐヒットを飛ばすことで見事復活を遂げたわけですね。※この手法をなぞらえたのか、ヒョンデもデザイナーであるルク・ドンカーヴォルケ氏をジェネシスのCEOに抜擢している
-
ヒョンデの上級ブランド「ジェネシス」が好調。立ち上げからわずか8年でポルシェと同じ台数を販売するに至り、ブランディングに際しては「フェラーリを参考に」
| ジェネシスは後発だけあって先発の「成功したブランド」を参考にした展開が可能となっている | その大きな武器が「デザイン」であることには間違いない さて、日本には未上陸なるも、2016年の立ち上げ以 ...
続きを見る
実際のところ、キアのクルマは自動車業界ではずば抜けたデザインを持っているという認識で、正直なところ「これが韓国車でなければ」手を出したいと考えるほど。
そして日本以外の国では韓国に対するイメージが日本とはまた異なるものと見えて問題なく受け入れられている(韓国ブランドということが障壁にならない)ようで、そしてそのデザインの素晴らしさが(よく言われる)EVならではの価格の高さ、充電エクスペリエンスの不便さを補って余りあっているのだと考えてよく、となるとやはり現代の自動車においてもっとも重要なのは「デザイン」なのかもしれません。
-
これはちょっと日本車では太刀打ちできないな・・・。韓国キアがデザインオリエンテッドなエレクトリックSUV、EV9を発表。コンセプトカーそのままのルックスで登場する
| もしかするとコンセプトカーよりもイケてるかもしれない | 一部の「コンセプトカー詐欺」な自動車メーカーはこれを見習う必要がありそうだ さて、韓国キアが新型エレクトリックSUV「EV9」を発表。これ ...
続きを見る
合わせて読みたい、ヒョンデ関連投稿
-
ヒョンデ コナを試乗してきた。ある意味ではスーパーカーよりも高い注目度を誇り、日常の足としては「最適」な部類に入る一台である【動画】
| ボクは常々一度はヒョンデを運転してみたいと考えていた | そしてそれは期待を超えるクルマであったと断言できる さて、ヒョンデ コナ(Hyundai Kona)に試乗。ヒョンデは少し前から全国規模に ...
続きを見る
-
ちょっと衝撃。BMW M部門のボスが「ヒョンデがアイオニック5 Nで取ったアプローチは正しい」と述べ、EVにフェイクサウンドとMTロジックを組み込むことに言及
| ヒョンデ アイオニック5 Nは異常なほど称賛を浴びている | たしかにボクも一瞬、アイオニック 5 Nを「欲しい」と考えた さて、日本ではブランド自体の知名度が高くないせいか「それほど」ではありま ...
続きを見る
-
(後編)久々にオールマイティで完璧なクルマが出てきたな。ヒョンデ アイオニック5 Nを特設サーキットと公道で試乗、ドリフトも体験してみた【動画】
| いくつかの懸念事項は存在するものの、現段階でアイオニック5 Nは「限りなく完璧に近い」と考えていい | ヒョンデがここまでのレベルのクルマを作ることができるとは考えてもみなかった さて、ヒョンデ ...
続きを見る
参照:Hyundai