>韓国の自動車メーカー

この「EVが売れない」時代に韓国ヒョンデ/キアはEVの販売を伸ばしていた。ボクはその理由を「デザイン」だと考える(両者ともデザイナーが会社のほぼトップに就いている)

ヒョンデ

| 現代のクルマは基本的に「見た目」で選ばれていると考えていい |

ヒョンデ/キアは後発であったがために「先発と戦う武器」としてデザインを採用している

さて、現在「EVの販売が伸び悩んでいる」とよく報じられ、実際にいくつかの自動車メーカーはEV注力姿勢をやや弱め、ハイブリッドやPHEVなどガソリンエンジン搭載車に注力する方針に切り替えたというニュースも見られます。

具体的にはメルセデス・ベンツやVW、ベントレー、GMなどがEVへの完全移行目標を撤回し「ガソリンエンジンに再注力」すると発表し、しかしいくつかの自動車メーカーは「EVファーストの姿勢に変わりなし」。

VW
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ヒョンデ/キアもEVを主力に据える戦略を貫いている

そしてEVファーストを貫くのは(今のところ)ホンダ、そして韓国のヒョンデ/キア(ヒョンデとキアは同じグループに属する)。

ホンダはまだまだ「これから」EVを拡充する段階ではあるものの、ヒョンデとキアはすでに世界中においてEVの展開を強化しており、ヒョンデの主力といえば「アイオニック5」です。

北米におけるヒョンデの2024年第1四半期の販売が過去最高に。他メーカーとは異なり牽引役は販売が2倍になったEV、とくにアイオニック5が好調
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2024年6月には3,755台という「単月での再考販売台数」を記録しており、1-6月での累計だと18,728台(前年比37%増)を登録するという好調ぶり。

しかもこのアイオニック5は米国だと(米国生産ではないので)連邦政府の提供する税制優遇を受けることができず、つまり「かなり高いクルマ」となってしまうのですが、それでも他の国や地域同様に好調な販売を見せていて、ヒョンデにおいては「EV不振」が当てはまらないのかもしれません。

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ただ、ヒョンデのEVがすべて好調かというとそうではなく、アイオニック6の(6月の)販売は前年比でわずかに減少して914台にとどまっています。※ただし1-6月の累計だと前年比113%

この(アイオニック5との)差については説明をつけることが難しく、ただ単に「デザインの好みが分かれた」、あるいはアイオニック5には「アイオニック5 N」なるスーパーカー顔負けのハイパフォーマンスモデルが存在する(たとえこのモデルの数が出なくても、イメージを牽引することになる)からなのかもしれません。

ヒョンデ IONIQ 5 N
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キアはその高いデザイン性が評価されている

そしてキアに話を移してみると、とくに「EV6」の販売が好調だとアナウンスされており、今年の累計販売台数は前年比31.3%増の10,941台で、やや大型のEV9は9,671台を納車しています(昨年はまだ発売されていないので前年比を出すことはできない)。

さらにNiro EVは8,780台を販売しており、トータルではヒョンデよりも多くのEVを販売している可能性が高そうです。

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ちなみにキアはもともとヒョンデとは別会社であったものの、1999年の(韓国の)経済危機の際にヒョンデ傘下に入っており、今では車体を共同開発するという関係に。※アイオニックとEV6とは兄弟車である

ただし両者の区別を明確にするため、キアはよりデザインコンシャスなポジションを狙っており、実際にキアはVWグループから(アウディTTをデザインした)ペーター・シュライヤー氏を引き抜いて社長の座に据えています。

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「デザイナーをCEOに」というのは業界全体から見てもかなり異例ではありますが、実際にこの戦略は奏功しており、「スティンガー」「ソウル」など相次ぐヒットを飛ばすことで見事復活を遂げたわけですね。※この手法をなぞらえたのか、ヒョンデもデザイナーであるルク・ドンカーヴォルケ氏をジェネシスのCEOに抜擢している

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実際のところ、キアのクルマは自動車業界ではずば抜けたデザインを持っているという認識で、正直なところ「これが韓国車でなければ」手を出したいと考えるほど。

そして日本以外の国では韓国に対するイメージが日本とはまた異なるものと見えて問題なく受け入れられている(韓国ブランドということが障壁にならない)ようで、そしてそのデザインの素晴らしさが(よく言われる)EVならではの価格の高さ、充電エクスペリエンスの不便さを補って余りあっているのだと考えてよく、となるとやはり現代の自動車においてもっとも重要なのは「デザイン」なのかもしれません。

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参照:Hyundai

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