| ただしその価格は安くない |
さて、先日プロトタイプが目撃されたのち、ボルボ自身からも「9月2日に発表する」とアナウンスのあった”Volvo P1800”。
今回そのボルボP1800が予告通り発表されているものの、正式名称はボルボP1800シアン(Cyan)。
なお、このモデルは驚くべきことにワンオフではなく、限定ながらも量産される、とアナウンスされています。
この「シアン」は、ボルボそしてロータスの親会社である中国の吉利汽車が所有するレーシングチームで、もともとは1996年にスウェーデンGTチームとして結成されるも、その後ボルボに吸収され、そしてボルボとともに吉利汽車の手に渡った、ということに。
そして吉利汽車はこのシアン・レーシングを積極活用する意向を見せており、自社のブランド「Lynk & Co」の車両をシアンレーシング経由にてWTCRに参戦させているほか、今回このP1800にもその名を冠してきたところを見るに、メルセデス・ベンツ「AMG」、BMW「M」、アウディ「RS」のように自社のハイパフォーマンスカーを「市販」する部門として機能させる目算を持っているのかもしれません。
元ネタのボルボP1800はこんなクルマ
P1800は当時ボルボが販売していた「アマゾン」のボディを、イタリアンデザインのオシャレなクーペへと架装したクルマ。
1690年~1973年に累計47,492台が生産された人気シリーズで、アメリカのオーナーが乗っていたP1800は「世界で最も長い距離を走ったクルマ」としてギネス記録にも認定済みです(その走行距離はなんと547万キロ)。
そして今回のボルボP1800シアンを見るに、驚くべきレベルで「オリジナルのP1800」が再現されているということもわかります。
ボルボP1800シアンはこんなクルマ
そしてこのボルボP1800シアンですが、最大の特徴は「重量990kg」という軽さ。
搭載されるエンジンは2リッター4気筒ターボで、しかしその出力は419PSなのでかなりハイチューンということになり、パワーウエイトレシオは驚愕の「2.36」。
なお、エンジンはボルボS60 TC1(レーシングカー)に積まれるものと同じだと紹介されています。※ただし過給器が追加されている
このボルボP1800シアンが発表されてみて、当初ウワサされていた「EV」でなかったのには驚きですが、これについてシアンレーシングの代表であるクリスチャン・ダール氏によれば「我々の技術を持ってすれば、P1800をEVとしてリバイバルすることは容易い。ただ、それは我々がやりたかったことではない」。
加えて同氏は「純粋なドライビングエクスペリエンスを提供したかった」とも述べており、つまり純粋なドライビングエクスペリエンスはEVでは提供できないということなのかもしれません。
そのスタイルはまさに当時のP1800を再現したものです、シアンレーシングの求める走りを実現するために全幅が広げられ、キャビンの位置も変更されるなど、多少の調整が行われている模様。
見る限りは2シーター、そしてレーシングハーネス装着済み。
ボディパネルはカーボンファイバー、そしてシャシーは超高張力鋼をカーボンファイバーで補強したものだとアナウンスされています。
今回内装の画像は公開されていないものの、室内後部にはぶっといロールケージも見えますね。
サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン、そしてフルアジャスタブル。
シートポジションはほぼ「リヤタイヤのすぐ前」。
ホイールはセンターロックで、スポーク部などに肉抜きが施されるなど、いかにも軽そうです。
ブレーキシステムはAPレーシング製(おそらくレーススペック)。
なお、トランスミッションはホリンジャー製の5速マニュアル(専用開発)。
デフはトルクベクタリングが可能な電子式を採用しています。
一方でディティールはクラシック
まさにレーシングカーといったスペックと構造を持つボルボP1800シアンですが、その一方で細部は「クラシック」。
ヘッドライト(のレンズカット)やウインカーも当時風。
グリルもやはりレトロな印象を与えます。
前後バンパーもやっぱりレトロ。
フロントフェンダーほかには「CYAN」のロゴが入ります。
給油口も昔っぽいデザイン。
ウインドウモールやワイパーも昔風、そしてドアミラーも超レトロ。
しかしながらステー部分にはウイング形状が採用されるなど、現代風の考え方も導入されているようですね。
現時点でこのボルボP1800シアンの限定台数は明かされておらず、しかし生産は秋から開始される、とのこと。
価格については残念ながら安くはなく、およそ500,000ドル(邦貨換算にて5300万円くらい)から、とアナウンスされています。
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参照:CYAN RACING