2リッタークラス最強の心臓を誇るオシャレな4ドアクーペ
さて、メルセデスAMG CLA 45 4MATICに試乗。
「CLA」はAクラスがベースとなっている「4ドアクーペ」ですが、CLA45はその「AMG版」。
さすがAMGだけあって2リッターエンジンから381馬力というとんでもない出力を発生し、そして「381馬力」というのは現時点で市販される2リッターエンジンでは「最強」とのこと。
まずはスペックを見てみよう
価格:773万円
サイズ:4760/1780/1430mm
エンジン:2リッター4気筒ターボ
トランスミッション:7AT
駆動方式:4WD
車体重量:1610kg
こうやって見るとサイズは「かなりコンパクト」。
現在メルセデス・ベンツはラインアップがかなり多くなってしまい、CLAがCクラスとどう違うの?という、ふとした疑問も。
なおCクラスのサイズは4715/1810/1453mmなのでほぼCLAと一緒。
ただしCLAは「FFベース」という点ではCクラスと大きく異なり、もう一つ異なるのは「CLAはサッシュレス(ドア上部に枠がない)構造」を採用しているクーペスタイル、ということですね。
ルックスにおいてもCLAの方がややアグレッシブで、全長が長いぶん余裕のあるシルエットを持っており(特にフロントが尖っているように見える)、Cクラスよりは若々しい印象を持つように思います。
※スタイルとしては隣に停まっているシルバーのワゴンの方が伸びやかで美しいかも
さあAMG CLA45に乗ってみよう
外観チェックもソコソコに試乗を開始。
シートは比較的柔らかく体が沈み込むタイプですが、サイドサポートはやはり強め。
ステアリングホイールのチルト/テレスコピック、シートの可動範囲もかなり広く、ドライビングポジションも決めやすいのはさすがメルセデス。
エンジンをスタートさせて気づくのは「エキゾーストサウンドが静かになったな」ということ。
今回試乗したCLA45はフェイスリフト後のモデルになりますが、フェイスリフト前は「もっと凶暴な」サウンドを発していたという記憶があり、ちょっと拍子抜けするところ。
それは音量だけではなく音質も同様で、以前はもっと高めのレーシングカーのような印象であったものの、新しいCLA45はどちらかというと「重低音」そして上品な音になったように思います。
もはや旧世代となったセンターコンソール状のシフトレバーをDレンジに入れ車をスタートさせますが、ここでまた気づくのが「足回りの柔らかさ」。
音がマイルドになり足回りもソフトになっていて、「AMGも日和ったか」と思ったものの、これには理由があり、その理由とは進化したドライブモード(AMGダイナミックセレクト)。
これまでは硬さが固定されていたサスペンションですが、新しくドライブモード(COMFORT / SPORTS / SPORTS+ / RACE)にあわせて変化するようになっており、これによって「コンフォート」はこれまでよりも柔らかい設定へと変更。
もちろん「スポーツ」に入れるとこれまで通りのビシリとした足回りとなり、「やっぱりAMGはこうでないと」と安心するところですね。
それはサウンドも同様で、やはり「スポーツ」に入れるとこれまで通りのグッドサウンドへ切り替わり、なおかつブリッピングもしっかり入って気分を盛り上げてくれる設定となっています。
要はこのドライブモードによって足回りやサウンドを変化させることができる幅が大きくなったため「コンフォート」モードでは快適方向へと大きく設定を振ることができるようになっており、これによって快適性が大きく向上。
まずはしばらくコンフォートモードにて走行してみますが、このモードだと完全に「快適サルーン」。
段差越えや不正路の走行においても突き上げはもちろん「シェイクされる」こともなく、しかし不快な揺り戻しも一切なし。
音も静かでアクセルに対するレスポンスも過敏なところはなく、これがAMGモデルとは信じられないほどですね。
走行モードを「スポーツ+」へ入れてみる
慣れてきたところで「スポーツ+」へとドライブモードを変更してみますが、これに入れると性格が一変。
まずはエキゾーストサウンドが巨大なものへ。
アイドリング時から地鳴りのような重低音を轟かせますが、これまでのモデルとはやはり音質が違うようで、これまでは「軽快で、しかし大きな、パルスを伴ったサウンド」だったものがフェイスリフト後では「大きい事には変わりなく、しかし密度の濃い、重い音」になったように感じます。
室内に入ってくる音もかなりのものですが、車外へと放出する音も「かなり」大きいようで、というのも歩道を歩く通行人がかなりの頻度でこちらをみるため。
車体自体は派手ではないので、その発する「音」に反応してこちらを見ているのでしょうね。
なおAMGのサウンド自体がこの方向へ変化していっているように思われ、先日試乗したAMG E63もやはりその「新しい方向性」の音(それまでのAMG V8モデルは乾いたアメリカンV8のような音だった)。
モードチェンジとともにエンジンマネージメントももちろん変更され、アクセルレスポンスが鋭くなるとともに変速するポイントが「上」になり、「コンフォート」だと2000回転以下でシフトアップしていたものが「スポーツ+」では最低でも3000回転まで引っ張るように。
サスペンション(AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション)も同時に設定が「硬く」なりますが、これら「サウンド、アクセルレスポンス、サスペンション」がハードになる事でそのスポーツ性が一気に向上。
メルセデス・ベンツというと「AMGといえども」操作からワンテンポ遅れて反応するという印象があるものの、このメルセデスAMG CLA45は操作に対して正確に、かつリアルタイムで反応する印象があり、その印象はまさに「スポーツカー」で、これはAMG GTに近いものすら感じられ、ちょっと驚くところでもありますね。
総合的に考えてみるとどうなの?
メルセデスAMG CLA45は上述の通り非常にコンパクトな車。
分類上は「セダン」ですが、サッシュレスドアを採用するスタイリッシュなクーペで、旧CLS譲りの美しくスポーティーなスタイリングを持つ、と言えます。
AMGならではのアグレッシブな前後バンパー、リアスポイラー、リアディフューザー、そして大きなホイールからして「只者ではない」雰囲気を漂わせており、インテリアについてもそれは同じ。
いざ走ってみるとコンパクトな車体は街中でも扱いやすく、AMGダイナミックセレクトを「コンフォート」に入れておくとサウンドやサスペンションがマイルドな「快適仕様」に、そして一度「スポーツ」「スポーツ+」へ入れると性格が豹変してスポーツカーに。
「2リッター最強」エンジンのパンチは伊達ではなく、メルセデス・ベンツ自慢の4WDシステム「4MATIC」は路面に吸い付くような安定性を実現。
トルク配分は100:0から50:50(CLAはFFベースなので)となっていて、「無理やり曲げる」という感じではなくニュートラルなコーナリング特性を持っています。
総合的に見て、「そのサイズを気にする事なく、どんな環境でも気持ちよく走れるセダン」であると言え、今までに試乗したAMGモデルの中でも扱いやすさはピカイチ。
まさに「意のままに操れる」という印象ですが、パワーとシャシーとのバランスが良いようで、過剰なパワーを電子デバイスで無理に制御している、という感じがなく、「ライトウエイトスポーツ」的な印象すら感じます。
出力が他AMGモデルに比べて低く、「2リッター4気筒」ということでAMGラインアップの中では軽んじられる傾向にありますが、なかなかどうして「素晴らしい一台」じゃないかというのが正直な印象で、コストパフォーマンスは最も高いAMGなんじゃないかと思えるほど。
直接の競合は「アウディRS3セダン」かと思我、こちらは出力400馬力(2.5リッター5気筒)、当然駆動方式は4WD、価格は785万円となっており、「ドンピシャ」の対抗馬と言えそうです。
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