| コルベットはドライブトレーンによって100馬力も失っている |
アメリカンマッスルカーのチューンや、自社のオリジナルマシン「ヴェノム」が世界最速を記録したことで知られるチューニングカンパニー「ヘネシー」。
今回、シボレー・コルベット最強モデル「ZR1」を早速シャシダイに乗せてパワーチェックを行っています。
イキナリですがその結果は公称値755馬力のところ、実測値は654馬力。
つまり、駆動力としてはエンジンパワーの86.6%にとどまり、つまり13%のロスがある、ということに。
カタログ値はあくまでも「エンジン単体での出力」
なお、カタログ値(公称値)は基本的にエンジン単体での出力であり、日本のJIS日本のJIS規格だとカタログ掲載の数字について、「エンジンに補機類を装着した状態」だと定義していますが、これはエンジンにラジエターと冷却水の循環に関する装置、排気管(エキゾーストシステム)、エアクリーナーなどを装着した状態ということで、「そこから先」つまりトランスミッションやドライブシャフト、ホイール等は装着されていない状態ということに。
フロントエンジン+フロントドライブ、ミドシップ+リアドライブ、フロントエンジン+リアドライブだと一般に10~15%ほど、4WDになると20~25%ほどのパワーが「トランスミッションやドライブシャフト、ホイール」に食われると言われており、コルベットは「FR」なので、標準の範囲内に入るということになりそう。
それでも「100馬力」が駆動系によって失われているのは驚くべき事実だといえ、これを改善できれば「非常に効率的」なクルマになりそうですね。
ケーニグセグの「ダイレクトドライブ」はおそらくこういった損失が少ないと思われ、さらに言えば「EV」とくにインホイールモーターを持つEVは駆動ロスが少ない、もしくは「無い」とも言えそう。
たとえば、4つのホイール内にそれぞれひとつ、つまり4つのモーターで走る1000馬力のEVは「1000馬力を路面に伝えることができる」かもしれませんが、ガソリンエンジンでフロントもしくはリアにエンジンを積み、トランスミッションとプロペラシャフト、デフそしてドライブシャフトを介してしか路面にパワーを伝えることができない「1000馬力のクルマ」が実際に路面に伝えるのは「750~800馬力」ということになる、と考えられます。
なお、これまでに報じられたパワーチェックの内容だと下記の通り。
BMW M5、マクラーレン720Sのパワーが「出過ぎ」であることがわかりますね。
BMW M5(4WD)・・・カタログ値600馬力/実測625馬力。逆算するとエンジン単体では781-840馬力くらい出ている
ランボルギーニ・ウラカンRWD(MR)・・・カタログ値580馬力/実測492馬力、ロス15%
マクラーレン720S(MR)・・・カタログ値720馬力/実測698馬力。逆算するとエンジン単体では800馬力くらい出ている
ホンダ・シビック・タイプR(FF)・・・カタログ値320馬力/実測295馬力、ロス8%
アウディRS4(4WD)・・・カタログ値450馬力/実測460馬力、逆算するとエンジン単体で580-610馬力くらい発生
フォードGT(MR)・・・カタログ値647馬力/実測525馬力。ロスは19%
それでは動画を見てみよう
こちらがコルベットZR-1をパワーチェックしてみた動画、「2019 ZR1 Corvette Baseline Chassis Dyno Testing」。