| あの「反電動化」の象徴のようなTVRグリフィスがエレクトリックカーになるとはなんとも皮肉 |
自動車メーカーはその規模の大小にかかわらず環境規制に翻弄される
さて、2016年に発表されたものの未だ納車が開始されないTVRグリフィスですが、英国では2030年にガソリン/ディーゼル車の販売ができなくなるため、TVRはそれに備え「エレクトリック化」を視野に入れた行動を取っているもよう。
ピストンヘッズによれば、TVRはエンソーシア・メタルズ・コーポレーションなるリチウム採掘会社との提携を発表したとのことで、この会社の持つ「特許取得済みの抽出プロセス」を利用する計画を(TVRが)持っている、とのこと。
TVRの納車開始は2023年末の予定
なお、TVR社の会長であるレス・エドガー氏は、今回の提携に関する声明の中で「環境に配慮した最先端のプロセスによるグリーン・リチウムの供給を含む先進的なEV技術へのアクセスは、TVR社が持続可能なネット・ゼロ・ビジネスになるための非常に重要な要素です」とコメントしており、これはTVRがカーボンフリーへと向けて舵を切ったということを意味しそう。
現在のTVRはこれまでのTVRとは異なる新しい組織であり、創業当初と同じ「オール英国」にて構成されることから大きな話題を呼んでいますが、グリフィスが発表されてからの4年間というもの、TVRの再生は数々の障害に見舞われ、現在の予定だと納車開始は(当初計画の2018年から大幅にずれこんで)2023年末になる見込みだと報じられています。
TVRは今年の初め、英国政府のコロナウイルス事業中断融資制度(CBILS)の一環として、200万ポンド(277万ドル)の融資を受けてはいるものの、TVRがグリフィスの開発資金として期待していた2,500万ポンド(3,460万ドル)には遠く及ばず、よって開発をこのまま進めることができるのかどうかも「不明」です。
さらにグリフィスの発売が遅れている要因として、ウェールズ政府がTVRの3%の株式を取得したことにより、TVRが欧州連合(EU)の規制下にて国有企業とみなされ、南ウェールズのエブ・ヴァレーにある工場の改修工事をEU全体で入札することになったことがあるという報道も。
TVRグリフィスは「アンチ・エコ」な凶暴なガソリン車として登場する予定だったが
なお、TVRグリフィスはエレクトリック化が進む自動車業界において、少量生産だからこそできる手法でそれに反発していたように思われ、5リッターV8自然吸気エンジンにマニュアル・トランスミッション、そしてドライバーズエイド一切ナシといったハードコアなクルマ。
エレクトリック化はもちろん、小排気量ターボやデュアルクラッチ、そしてトラクションコントロールというテクノロジーに背を向けたようなスポーツカーであったものの、発売が遅れることでエレクトリック化の道を歩まねばならなくなったのは皮肉な事実だとも言えますね。
ただ、2030年までにはもうちょっと時間があり、よってTVRは一定のところまで開発を進めた「ガソリン版」グリフィスを(少量であっても)発売するとは考えられるものの、それすらも不透明なのが今TVRが置かれている状況でもあり、まだまだ予断を許さないといったところです。
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参照:Pistonheads