| コロナウイルスのパンデミックは多くの企業の明暗を分けたが、好調だったのは「個性が強い」ブランドだったようだ |
人々は「流行に流されず」自分の意思でモノを選ぶようになったのかもしれない
さて、日本のVTホールディングスがその株式を100%取得し、「日本の会社が経営元」となったことで話題を呼んだケーターハム。
軽量シンプルなスポーツカーという独自の、しかしニッチ中のニッチ市場で生き延びてきた会社ですが、なんと2021年の受注台数は670台を数え「過去最高になった」と発表しています。
時代はエレクトリック、そしてガソリン車であってもハイパワー、ハイテク化が進む中においてこれは驚くべき事実でもあり、この受注台数はコロナウイルスのパンデミック前の2019年に比較して41%増という数字なのだそう。
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2021年、ケーターハムは新車を発表しなかった
さらに驚かされるのは、2021年には例年のようにケーターハムが新車を発表しなかったということで、その状況の中でこの数字を達成したのは驚きとしかいいようがなく、これはコロナウイルスによって人々の意識が変化したからなのかもしれません。
なお、コロナウイルスがスポーツカー市場に及ぼした影響はいくつかあるといわれ、まずは「等身大のクルマ」が求められるようになったこと。
コロナウイルスの蔓延によってスーパースポーツに乗ることが(多くの人が職を失ったりしているので)はばかられるようになり、よってコンパクトでシンプル、さらには大きなウイングがついていたりして後ろ指をさされないようなベーシックなスポーツカーが求められるようになったといいます。
そしてその傾向は人々の目を過去に向かわせることになり、超高性能な最新のスーパーカーではなく、アナログなスポーツカーへの興味を掻き立てることになり、これによって多くのクラシックカー、ネオクラシックカーの価格が上昇することとなったわけですね。
要は、コロナウイルスのパンデミックは、人々を我に返らせ、毎日流れてくる新型車情報に踊らされず、自分たちが本当に欲しいものは何だったのかを考えさせるための時間を与えることになったのかもしれません。
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状況の変化によってケーターハムの哲学が再評価
ケータハムのCEOであるグラハム・マクドナルド氏によると、「2021年は自動車業界全体で多くの課題がありましたが、ケータハムの販売台数がこれほど好調だと発表できることを嬉しく思っています。過去2年間の経験は、多くの人々が自分の人生に何を求めるかを再評価するきっかけとなり、ドライバーに焦点を当てた楽しさとスリリングで純粋なパフォーマンスというケータハムの哲学が、以前にも増してスポーツカー愛好家と明確に共鳴していることを意味します」とコメント。
さらに言うなれば、ここへ着て急速に進みつつある電動化、さらに厳しくなるガソリン車への規制も「ケーターハム再評価」に繋がったのだと考えられ、「今乗っておかねば、もう二度とこういったクルマを、しかもマニュアル・トランスミッションで楽しむことができなくなるかもしれない」と多くの人が考えるようになったのかも。
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ケータハムの販売を地域別に見てみると、もっとも多かったのは地元英国で(世界販売の)37.6パーセントを占め、しかし世界中の多くの地域で販売が伸びたもよう。
なお、ポルトガルでは2021年に「過去10年間の合計」よりも多くの台数を販売し、イタリアでの販売は2020年に比べて3倍、さらに米国での販売はパンデミック前である2019年の21台から2021年には49台に増加することに。
もっとも売れたモデルとしてはシンプルなセブン170ではあるものの、米国と英国に限ってはセブン420が一番人気だったようですね。
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