| メルセデス・ベンツは大きく方向性を転換し、エントリークラスに見切りをつけてさらなる「高み」へ |
まさかここまで思い切った転換を行うとは考えてもみなかった
さて、メルセデス・ベンツは収益性を高めるべく超高級化戦略を採用すると言われていましたが、今回新たな事業計画を発表し、2026年にかけてエントリーレベルを大幅に削減し、しかし収益性を60%向上させるために、投資の75%以上をハイエンドラグジュアリーモデルに振り分けると正式に発表。
今回新しく発表された製品ポートフォリオは、「エントリーラグジュアリー」、「コアラグジュアリー」、「トップエンドラグジュアリー」という横軸、さらにAMG、Gクラス、EQというサブブランドの縦軸に加え、コレクター向けの限定生産となる「Mythos(ミトス)」シリーズにて構成されます。
なお、このミトスは「選ばれた数」だけ生産され、「メルセデス・ベンツの最も熱心な愛好家やコレクター」のみに提供されるといい、つまりはメルセデス・ベンツからの招待が無いと「買えない」ということになり、一般人にとっては無縁の存在かもしれません(フェラーリのワンオフモデルやICONAシリーズのようなもの)。
そしてこのミトスシリーズの最初のモデルは、SLスピードスターになる、とも言われており、メルセデス・ベンツはそのヘリテージを活用するということになりそう。
メルセデス・ベンツはコラボレーションモデル、特別仕様モデルを展開
そしてメルセデス・ベンツはヴァージル・アブローやウィル・アイ・アムとのコラボレーションモデル、そして公開されたばかりのオート・ヴォワチュールのような特別仕様モデルの展開を拡大するとコメントしており、さらには「マイバッハブランドについても今後拡大を行うとともに「SLロードスター」のマイバッハ版も発売することになるもよう。
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なお、フロントグリルについては以下の通りに分類され、つまり今後は「メルセデス・ベンツ」「Gクラス」「EQ」「マイバッハ」「AMG」といった5つのブランドにて展開を行ってゆくということがわかります。
トップエンドとGクラス、コア・ラグジュアリー、エントリーラグジュアリーはこう展開する
さらにメルセデス・ベンツはトップエンド・ラグジュアリーとしてSクラス、EQS、EQS SUV、SL、GLS、Gクラス、マイバッハ、AMGを強化し、こちらにはSila Nanotechnologies製による新開発のバッテリーセルケミストリーを採用した”エレクトリック”Gクラスを追加(かねてより報じられている通り)。※同社はGクラスファミリーを拡大する意向を持っていると伝えられるものの、今回はその詳細について語られず
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そして最も販売台数の多いコア・ラグジュアリー・セグメント(Cクラス、Eクラス、EQE、GLC、GLEなど)だと、2023年に登場すると言われる新世代のEクラスがメインとなり、さらにはEQEセダンに代わるハイライディングモデルとして次期EQE SUVが登場する予定。
中国向けとしてはEVA2アーキテクチャをベースにした新型EVの新シリーズが発売され、しかしこちらは今後、現在開発中となるMB.EAプラットフォームへと移行する計画もアナウンスされています。
エントリーラグジュアリー・セグメントについては3つのセクターの中で最も重要度が低く、ここへの投資は全体の25%未満となる予定(とにかくメルセデス・ベンツは高価格帯に集中したい)。
ここではモデルバリエーションを7種類から4種類に減らすことを公言しており、どのモデルが廃止されるかは不明ではあるものの、Aクラス・ハッチバック、Aクラス・セダン、CLA、CLAシューティングブレーク、Bクラス、GLA、GLBのうち3つが削られることを意味します。
なお、欧州や北米ではミニバンの人気が低いためBクラスが廃止される可能性が高く、AクラスとCLAとが統合され、さらにシューティングブレークも販売終了となりそうですね。
メルセデス・ベンツは利益を最大化
メルセデス・ベンツは上記のような戦略によって高価格帯モデルに集中してゆくことになりますが、この新戦略はメルセデス・ベンツの収益性向上に貢献し、市場の状況にもよるものの、2025年までには営業利益率8〜14%を目指すことに。
さらにメルセデス・ベンツは2030年までにラインアップを完全に電動化し、2039年にはカーボンニュートラルを達成する計画も改めて強調しています。
今回公表された事情計画は非常に多岐にわたり、様々な軸があるためすべてをここで説明するのは困難ですが、ざっとまとめると「低価格モデルは廃止して高価格化」「コレクター向けの超限定モデルを展開」「Gクラスをサブブランドとして強化」「マイバッハブランドも強化」「コラボモデル、特別仕様車を強化」「電動ラインアップも強化」ということになり、メルセデス・ベンツ全体として「エクスクルーシブで、手が届かないようなドリームカーを提供するブランド」「多くの人々が手に入れたいと憧れる高級車ブランド」へと大きくステップアップすることを考えており、そのための手段が「歴史」「美しさ」ということなるのかもしれません。
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