現在品質調査「業界最下位」のアルファロメオ。CEOが「我々のベンチマークは、品質トップのレクサス」と語り、無謀だと思う一方、これほど明確に目標を語ったことは評価したい

｜　新しいアルファロメオのCEOはわかりやすい言葉でこれからの方向性を伝える術に長けている　｜

ボクはこういったCEOは嫌いじゃない。自信と信念がないとこういったコミットはなかなかできない

さて、アルファロメオは「20年前の1/8になってしまった」現在の状況を改善すべく、ブランドの立て直しに大きな力を注いでいますが、今回アルファロメオCEO、ジャン・フィリップ・インパラート氏がカーメディアに対して「今後、わが社の品質基準はレクサスである」とコメント。

これはアルファロメオの新型SUV「トナーレ」の市場イベントでの発言だそうですが、加えて同氏は「トナーレの品質やコネクティビティとユーザーインターフェイスについても完璧なものを提供したいと考えている」と語っています。

なお、ジャン・フィリップ・インパラート氏は品質に対する要求が厳しいことでも知られ、就任後には「トナーレの品質に納得できず」発売を延期して品質に万全を期したことでも知られていますね。

しかしそれでも「レクサス並み」となるには長い時間を要しそうだ

ちなみにですが、御存知の通りレクサスは品質調査においてトップの常連であり、ときにトップを明け渡すことがあるものの、3位以下に落ちたことはないという信頼のブランド。

一方のアルファロメオはというと、同じ調査ではメジャーブランドのうちだいたい14番目で、言い換えれば「常に最下位」。

つまり品質調査で最下位のブランドが「品質調査でトップのブランドをベンチマークとする」とコメントしているということになり、傍で見ていると「ちょっとむずかしいんじゃないか・・・」と考えたり。

ただ、アルファロメオの親元であるステランティスは、傘下にあるブランドに対し、「再生のための資金と猶予を与える」とも宣言しており、これからアルファロメオはそのお金と時間を使って成長を目指すのかもしれませんね。

なお、ジャン・フィリップ・インパラート氏は明確にその方針を語る人物であり、その利益率確保と販売手法については「BMWの方法とレベルを目指す」としており、これからのアルファロメオのクルマのキャラクターについては「走るiPadではなくドライバーズカーを目指す」とも。

これらの表現は比較的わかりやすいとも考えていて、もちろんアルファロメオの従業員にとってもその方針が単純明快に伝わっている可能性が高く、よって「明瞭な方針のもと」アルファロメオは今後大きく成長するのかもしれません。

たしかに現在の統計だと「アルファロメオの品質」は業界最下位かもしれませんが、リーダーとしては会社を牽引してゆく必要があり、その方針をわかりやすい言葉で語るという意味において、このジャン・フィリップ・インパラート氏は優れた経営者であるとも考えられます。

あとはその信念が「絵に描いた餅」にならないようにせねばといったところですが、今後どう変わってゆくのか、これからのアルファロメオには注目したいところでもありますね。

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参照：Automotive News, J.D. Power