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イーロン・マスクCEO「価格戦略がモノを言う」。実際に値下げ後の受注が世界規模で増加し、生産能力を超える受注残が数値とともに示される

2023/02/08

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| テスラの「値下げ」は多くのライバルにとって予想外であり、予期せぬ影響を与えることに |

そしてイーロン・マスクCEOは「その先」まで読んでいるようだ

さて、いつもテスラに関する統計(推測値ではあるが、かなり正確だと言われている)を公開するツイッターアカウント、@Troy Teslikeによれば、年末年始に値下げを行った後、テスラの受注残が顕著に増え、2023年1月15日時点の推定受注残高は10万7000台となり、2022年12月31日時点の7万4000台と比較して3万3000台、つまり45%増加した、とのこと。

参考までに、12月8日時点の受注残は16.3万台、11月30日時点で19万台、9月末から10月にかけては30万台近く、8月末は40万台近く、3月から7月の間は50万台近くだったので、12月中旬から下旬にかけては大きく受注残が減少していたということがわかります。

テスラはその理由を公開していないので事実は不明ではあるものの、受注残が減ったのは「生産能力が向上」「受注そのものが減った」という両方の側面があるのかもしれません。

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現在の受注残は「30日」で製造が完了

なお、テスラは上海、そしてカリフォルニア、テキサス、ベルリンに工場(ギガファクトリー)を持ちますが、上海工場にてその生産能力を大きく引き上げた工場責任者は現在テスラの「ナンバー2」に抜擢されているといい(この事実は、テスラが生産能力をいかに重要視しているかがを端的に表している)、他工場においても生産効率の向上に努めている最中だとされますが、これによって現在グローバルでのテスラの生産能力が大きく上昇し、現在の10万台という受注残は30日で消化してしまう量だと言われます。

つまりテスラは「生産能力を引き上げたぶん」、その生産量を上回る受注を集めてゆかないと工場設備を遊ばせてしまうことになり、そこで昨年末から今年にかけての「大幅値下げ」に踏み切り、受注を獲得してゆく方向へと動いたのかもしれません。

そして現在、テスラはその思惑通り、「生産能力よりも多くの受注を集めることに成功した」とも考えてよいかと思います。

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今後どうなるかはまだわからない

なお、テスラは価格をこまめに調整することでも知られており、今回の値下げによって大幅に注文が増えたとなると、また価格を引き上げて需要と供給のバランスを調整する可能性が大。

もし価格を上げなければ、不用意に安い価格で車両を売り続けてしまい、本来得るはずだった利益を失うことになりかねないからですが、実際のところ、イーロン・マスクCEOは、テスラの第4四半期および2022年通年の決算報告を行ったウェブキャストで、"価格は本当に重要だ "と述べています。

よって今後も受注状況を見つつ積極的に価格を上げ下げするのは間違いないと考えていますが、そのうち「価格をいくら下げても、生産能力を超えるだけの受注が集まらない」ときがやってくるのかもしれません。

ただ、イーロン・マスクCEOは「そんなことはすでに承知の上」であり、その対抗策として安価なEVを投入するのだとも思われ、つまり「安く売っても利益の出る体制」構築を急いでいるのでしょうね。

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参考までに、現時点での地域別受注残、そして各地を担当する工場別の生産能力から算出した納車待ち期間は以下のとおりです(工場によって、どの地域で販売する車両を生産するかが決まっている)。

テスラの地域別納車待ち時間

  • 米国:38,697台(30日間)
  • カナダ: 2,774台 (31日)
  • 欧州:30,246台(35日間)
  • 中国: 14,258(17日間)
  • その他: 21,143(76日間)
    合計:およそ107,000(30日)

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参照:Troy Teslike

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