| ポルシェ「ネビュラ928」には90年代に流行した要素も取り入れられる |
911のレストモッドが一般化した今、やはり次は「928のレストモッド」だろう
さて、前衛アーティストであるダニエル・アーシャム氏がポルシェ928のレストモッドにしてアートカー、「ネビュラ928(Nebula 928)」を公開。
なお、同氏はレンダリングアーティストではなく、「実物」を製作する芸術家であり、よってこのネビュラ928も実車が製作されることに。
テーマとしては「ポルシェ928をY2K時代(2000年代)に突入させる」というもので、1977年から1985年にかけて製造されたポルシェ928を現代風に、かつレトロな要素を織り交ぜて再解釈した仕様となっています。
ポルシェ928はポルシェの「主役」になるはずだった
ポルシェは1970年代後半に「ポルシェほどの大企業が、ポルシェ一族に専有されるのはよくない」という理由からポルシェ一族がポルシェを去ることになり、かわりにエルンスト・フーアマン氏がCEOへと就任しています。
そしてエルンスト・フーアマン氏は911の販売終了を決定し、かわりにフロントエンジンレイアウト、そして豪華なグランドツアラーとして928を企画し、これを911のかわりとなるポルシェの柱にしようとしたわけですが、実際に928が発売されてみると、価格がずいぶん911より高くなってしまったこと、911ファンがフロントエンジンを許容しなかったことなどから(1981年にポルシェCEOに就任した)ピーター・W・シュッツ氏は911の継続を決め、現在に至ったという流れも。
-
「そうだ、フロントにエンジンを積んでみよう」「911を生産中止から救った男」など、ポルシェ75年の歴史において転換期となった年、そして人物8選
| ポルシェはこの75周年を時代のうねり、数々の転換期とともに過ごしてきた | そして現在の成功は、いくつかの大きな判断の上に成り立っている さて、ポルシェは今年でスポーツカーの生産を開始して75周年 ...
続きを見る
ただしこの928はパワフルなエンジン、トランスアクスルレイアウト、現代のスーパーカーやハイパーカーが採用するリアアクスルステアリング(当時のポルシェはヴァイザハアクスルと呼んでいた)を持っており、非常に先進的かつ優れたメカニズムを有していたことは間違いなく、よって「928固有のファン」がついているのもまた事実。
-
ポルシェ928は今年で40周年。ポルシェは「4ドア」「オープン」等ワンオフモデルを持ち込み祝典開催
| 定期的にポルシェ「928復活」のウワサが出てくるが | ポルシェ928は今年で40周年を迎えるそうですが、ニュルブルクリンクにて40周年を祝うイベントを開催する、とのこと。ポルシェ928は1977 ...
続きを見る
そのために数多くの「928が現代に蘇ったら」というレンダリングが登場し、かつポルシェ自身が「パナメーラを2ドアクーペ化して928の後継モデル(929)を作る」というウワサも過去に何度か登場しているほどです。
-
ポルシェ928が復活したらこうなる?元VWのデザイナーにして928ファンが「928コンセプト」をリリース
| これまでにもポルシェ928が蘇るという話はなんどか出ているが | ポルシェがこれだけのビッグネームを眠らせておくとは考えられない 911を超えるべく、そして911の後継として企画された名車、ポルシ ...
続きを見る
ポルシェ「ネビュラ928」はこんなクルマ
そこでこのポルシェ”ネビュラ928”を見てみると、ボディカラーは淡いメタリックパープル(996に用意されたバイオレットブルーメタリックを連想させる)。
全体的になめらかなボディ形状を持ち、フロントバンパーは丸くなってランプ類も円形モチーフとなり、ドアミラーにもエアロ形状が与えられますが、1990年代後半のチューニングカー(シュトロゼックとか)っぽい雰囲気も感じられますね。
リアウイングは996世代の911 GT3風、テールランプももともとの長方形から円形へ。
ホイールは3本スポークを組み合わせたもので、こちらも90年代の「デザイナーズもの」のようなイメージですね。
ヘッドライトはリトラクタブル式を継続するものの、美しいベゼルが取り付けられるなど近代的かつ高品質なイメージへ。
インテリアはいっそう個性が強く、パープルレザーにパープルのアルカンターラ、アクセントはホワイト。
ステアリングホイール、スピーカー、シフトノブは特殊な形状を持ち、しかしこれらはエクステリア同様に「(連結した)円をモチーフとしているようですね。
金属パーツはマットな仕上げに、そしてドアインナーパネルにはエンボス加工。
全体的にはレトロな印象もあり、ポルシェ928が2000年代に向けて進化したというよりは、2023年のいま、「2023年からの視点にて、2000年に突入する前後を振り返って」カスタムしたと考えるほうが妥当なのかもしれません。
ダニエル・アーシャムはこんな人
ダニエル・アーシャムはアメリカ生まれのアーティストで、数々のファッションブランド等とのコラボレーション(製品の場合もあるし、プロモーションの場合もある)を行っていますが、ポケモンとのコラボが一般的にはよく知られるところかもしれません。
ただし同氏はポルシェに対して強いこだわりを持ち、そしてポルシェもそれを理解していると見え、これまでにもいくつかのコラボレーションを実現させており、過去には997世代のポルシェ911を「石膏風」に改造したことも。
-
ポルシェ911を「水晶鉱脈」に見立てたアート作品登場!ボディ表面をハンマーで破壊→”中から水晶”を再現。なお問題なく走行は可能
| 今までも多くの”911×アート”が登場したが、これほど思い切った作品もめずらしい | ロンドンのセルフリッジ百貨店にて、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)氏による「ポルシェ911を ...
続きを見る
ポルシェ「ボンサイ356」も同氏の作品ですね。
-
表現したのは日本の伝統!わびさび、藍染など日本の文化や技法を全身で主張する「ポルシェのレストモッド、「356 ボンサイ」がカッコいい。なおルーフは藍染
| こう見えて機能パーツは「新車レベル」にまで復元されている | 時の流れに逆らわず、時とともに生き、それを受け入れる日本の文化を表現 さて、先日ポルシェ911を(ファッションブランドのストーンアイラ ...
続きを見る
ストーンアイランドとのコラボレーションによる911サファリや・・・
-
米アーティストがラグスポ系ブランド「ストーンアイランド」とのコラボにてポルシェ911サファリを製作!同じ仕様のウニモグもリリース
| ストーンアイランドはフェラーリやランボルギーニと同郷のファッションブランドでもある | ファッションブランドはこぞって「サファリ仕様」へとカスタムしたがる傾向があるようだ さて、昨今はポルシェ91 ...
続きを見る
空冷世代の911を「石膏化」したことも。
そのほか、ルイス・ハミルトンのヘルメットや・・・。
青銅風のデロリアンDMC-12を作成したこともあり、自動車業界ともつながりが深い人物だといえそうです(これの石膏バージョンはディオール・オムのプロモーションに使用されていたように記憶している)。
合わせて読みたい、ポルシェ928関連投稿
-
トム・クルーズの出世作「卒業白書」で実際にトム・クルーズが運転したポルシェ928が競売に!このクルマでMTの運転を覚えたらしい
| そんなトム・クルーズも今ではすっかりカーマニアに | このポルシェ928は、アメリカだとかなり有名な個体であるようだ さて、おそらくは世界でもっとも有名なポルシェ928(1979年製)がオークショ ...
続きを見る
-
ポルシェ928がオシャレになったッ・・・!フランスより928のレストモッドが登場、内外装ともレトロフューチャー、そしてコンセプトカー風の仕上がりに
| 当時のポルシェ928のエンジニアがこのクルマを見たら「こんなクルマを作りたかった」と言うかもしれない | 実際にこのポルシェ928は6月下旬から受注開始、2024年から納車の予定 さて、フランスの ...
続きを見る
-
今後の値上がり期待株No.1、ポルシェ928が競売に登場!コレクターのみの手を渡り大事にされてきた928「GTS」」そして希少なMT
| ポルシェ928はレストモッドも登場しており、カスタムのベースとしても人気が出そう | クラシック911に変わるあらたな人気モデルとなる可能性も 毎年夏には様々な自動車関連イベントが開催され、そこで ...
続きを見る