| このカラボの展示は、アルファロメオがスポーツカーに回帰するという強いメッセージにほかならない |
カラボは伝説のランチア・ストラトス・ゼロ、ランボルギーニ・カウンタックに通じるデザインを持っている
さて、ここ最近のプレミアムカー / ラグジュアリーカーメーカーにおける一つの流行が「ファッションイベントでのクルマの展示」。
つまりはこれまでの主流であったモーターショーではなく「クルマとは関連性のない」イベントでの展示機会が増えているということで、これは自動車メーカーが「クルマ好き以外の層にアピールしたい」「ファッションなど流行に敏感な人にアピールしたい」と考えたからなのかもしれません。
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アルファロメオは伝説の「カラボ」を展示
そこで今回、アルファロメオがミラノデザインウィークに展示したのが伝説のコンセプトカー「カラボ」。
イタリアで最も優れたスタイルアイコンが集結し最高のデザインを披露する場において、この1968年にベルトーネがデザインした未来的なコンセプトモデル「カラボ(Carabo)」を披露したわけですね。
カラボはランチア・ストラトス・ゼロ、ランボルギーニ・カウンタックなどをデザインしたマルチェロ・ガンディーニの作品ですが、SF映画に出てくるような外観をもっており、これがデザインされたのが1968年というのが信じられないほど。※車体についてはアルファロメオの最高傑作のひとつである33ストラダーレと多くを共有している
ちなみにストラトス・ゼロが製作されたのが1970年で・・・。
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ランボルギーニ・カウンタック(コンセプト)が1971年。
いずれもウエッジシェイプ、そしてシャープなラインを持つという特徴があり、それらの起点がこのアルファロメオ・カラボだと捉えることもできそうです。
ちなみに1960年代は「(フェラーリ250GTOのような)エレガントな流線型」を持つセクシーなデザインが支持されていた時代だったので、このカラボの登場はさぞかし衝撃的であったのだろうと思われます。
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アルファロメオ・カラボのデザインイメージは「甲虫」
そしてこのカラボのデザインイメージは金緑色の鮮やかなカラーを持つ「オサムシ(甲虫の一種でカラブス・アウラタスが学名である)」だといい、シザースドアはオサムシが羽根を開いた様子をイメージしたもの。※「a」が傾いているのは、シザースドアが開いている様子を表現しているのだと思われる
なお、このアルファロメオ・カラボの全高は99センチしかなく、「(全高が)40インチしかない」ことからGT”40”と呼ばれるようになったフォードGT40よりもさらに低いプロポーションを持っています。
よって他車からの視認性が著しく低いと判断されたのか、フロントにはオレンジ、リアには蛍光グリーンが採用されて安全性の配慮を行ったことも一つの特徴(マルチェロ・ガンディーニはこういった実用性をも考慮できる人だった)。
このリアのルーバーはマルチェロ・ガンディーニが好んで用いるディティールの一つで、ブロック状のテールランプも同様です。
なお、これらはジョルジエット・ジウジアーロがデザインしたデロリアンDMC-12にも共通しており、このカラボがジョルジエット・ジウジアーロになんらかの影響を与えた可能性も。
この「超ディープコーン」ステアリングホイールもまたマルチェロ・ガンディーニが好んだ意匠のひとつであり、そしてやはりジョルジエット・ジウジアーロのデザインしたマセラティ・ブーメランにも近い構造が見られます。
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シフトノブはホイールと同じくホールが穿たれており、「円」もまたマルチェロ・ガンディーニが好んだモチーフではあるものの、デザインだけではなく軽量化という実用上の理由も兼ねているのかもしれません。
ちなみにマルチェロ・ガンディーニがこの時期にウェッジシェイプを多用したのは「(同氏がデザインした)ミウラで問題となったノーズリフトを解決するため」であったといい、ボディ自体がダウンフォースを発生するように考案されたから。
つまり同氏の採用するデザインにはすべて論理的な根拠があったわけですね。
アルファロメオはスポーツカーに回帰
アルファロメオは今回カラボをミラノ・デザインウィークに展示したことについて、「ショーの参加者の方々は、この未来的な "カラボ "を見て、きっと驚かれることでしょう」とコメントしていますが、この博物館級のクルマをわざわざ引っ張り出したのは何よりも「これからアルファロメオはスポーツカーに回帰する」ということを伝えたいのかもしれません。
実際のところ、アルファロメオは33ストラダーレにインスパイアされたスーパーカーを限定販売するといい、様々な手段をもってアルファロメオのかつての実力を思い起こさせ、アルファロメオがスポーツカーのルーツに戻りつつあることを伝えてゆくことになるものと思われます。
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参照:Alfaromeo