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ユーロ7の導入に対し伊、仏はじめ8カ国が猛反発!もしかするとユーロ7導入は先送り、もしくは内容が見直されるかも。ところでユーロ7って一体何?

ユーロ7の導入に対し伊、仏はじめ8カ国が猛反発!もしかするとユーロ7導入は先送り、もしくは内容が見直されるかも。ところでユーロ7って一体何?

| ユーロ7導入は環境に好影響がなく、しかし自動車業界に悪影響を与えるという声も |

環境改善にはもっと別の手段を検討し、未来に目を向けるべきという意見もあるようだ

さて、先日EUでは「2035年には内燃機関搭載車の販売禁止」という決定を一部緩和し、「合成燃料を使用し、CO2排出をゼロに抑えることができれば内燃機関搭載車の販売を許可する」という翻意がなされたばかり。

ただ、この合成燃料の価格は現時点ではガソリンの10倍くらい、そしていかに普及しコストが下がったとしても末端価格はガソリンの倍くらいになる(ただし末端価格はその国の税制によって大きく異なる)とも報じられ、日常的に乗るクルマや、商用車に利用することは「非現実的」であるとされています。

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ユーロ7とはいったい何なのか

ユーロ7とは、簡単に言えば「自動車の環境性能を定める基準(これをクリアしないとEU内での車両販売ができない)」で、発端は1992年に導入されたユーロ1、そして現在適用されているのは2014年に採用されたユーロ6。

そして今ユーロ7が2025年に導入されようとしているわけですが、このユーロ7は2021年4月に欧州委員会がその規制案を発表しており、その際には研究機関や識者で組織される諮問機関CLOVE(=Commission consortium of consultants tasked to work on Euro7)から厳しい条件が示されています。

この規制内容としては「すでにユーロ6で定められる項目(炭化水素、メタン、窒素化合物など)が2倍~3倍くらいの厳しい数字になる(1/2~1/3くらいに留める必要が出てくる)」「新しく規制項目が(4つほど)盛り込まれる」ということもあり、正直いえば達成が困難というレベルを通り越し「達成不可能」な数値です。

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もちろんこのCLOVE案に対して欧州の自動車業界(メーカーやサプライヤー)が猛反発を示し、様々な意見調整が行われる中、欧州委員会はユーロ7の審議提案をおよそ1年延期していますが、2022年11月10日にはようやく正式な提案がなされています。

そしてこの提案内容について、各方面との調整を図った結果、当初のCLOVEの案よりはずいぶん穏やかなものとなっていて、しかし2027年頃に導入するとしていたユーロ7が2025年導入へと前倒するといった変更が加えられて今回の「正式提案(案の発表→調整→正式提案という段階を踏んでいる)」となったわけですね。

つまりは「規制内容を緩めるから前倒しで実施」という内容となっているものの、ユーロ7正式提案に盛り込まれた上限をクリアするための難易度が高いままであることには変わりがなく、たとえば「(エンジンが冷えた状態でスタートする)コールドスタート時」の規制に対応するためには、エンジンを始動させる前に、触媒を適温に暖めるために電熱触媒を追加せねばならないといい、これによって追加のコストや重量、そしてバッテリーへの負担が増加します。※触媒は”適温”にならないと十分な性能を発揮できないので、欧州車は一般に、コールドスタート直後にエンジン回転数を上げ、触媒を暖める設定を持っているが、ユーロ7ではこれでも不十分ということになる

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そして新しいデバイスを追加すると車体重量が増えて燃費が悪くなり、しかし燃費の悪化は認められないのでなんとかしなくてはならず、しかし電力使用量をカバーするためにバッテリーも大きくする必要が出てきてどうしようもないといった事態に陥ります(明らかにこれは本末転倒である)。

そのほか、新しく追加されるタイヤやブレーキダストに関する規制に対応する必要もあり、さらにはガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)の採用義務化、走行中の排気ガスをチェックするためのオンボードモニタリングシステム(OBM)の搭載必須など、様々パーツやコンポーネントの改良、そしてデバイスの追加が必要となり、自動車メーカーはこれらに多大なるコストを投じなくてはなりません。

つまりそのぶんクルマが大きく複雑に(単にエンジンや排気システムの改良にとどまらない)、そして高価になるということを意味していて、これは消費者にとってもあまり嬉しくない話でもありますね。

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今回はEU8カ国がユーロ7に猛反発

こういったユーロ7の内容を見るに、自動車メーカー、サプライヤー、消費者にとっても「全くもって現実的」ではなく、これに反対しているのがフランス、イタリア、ルーマニア、ブルガリア、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、チェコ共和国といった8カ国で、EU加盟27カ国のほぼ3分の1を占めているうえ、欧州委員会によるユーロ7の提案を阻止するのに十分な議決権を持つとされています。

実際のところ、これら8カ国は、「新しい排出ガス規制」と「自動車とバン(商用車)の新しいテスト要件」に反対する共同文書に署名したといい、ほかの国々がこれに賛同すれば、ユーロ7の見直しがあるかもしれません(これらの国はむやみに反対しているわけではなく、環境をより良くするためには、もっと別の方法があり、ユーロ7を導入することが必ずしもベストではない、と主張している)。

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なお、いくつかの自動車メーカーも公式に(ユーロ7はじめ規制に対する)批判を行っており、ステランティスCEO、カルロス・タバレス氏は「内燃機関に関する規制は無意味であり、環境に何の変化ももたらさない一方、自動車業界には悪影響を及ぼす」と明言。

さらに、自動車メーカーにとっては(内燃機関搭載車の販売禁止から逆算すると)開発から数年しか使えない新しいエンジンに資金を振り向けることになって収益が圧迫されること、その結果としてガソリン車の価格が上昇し、購入者に余計な負担を強いることになる、とも述べています。

そのほかフォードやBMWも強い反対を示していて、内燃機関という過去の技術を規制して自動車メーカーのリソースをそれらに振り分けさせるよりも、未来の技術に対して自動車メーカーが投資できる環境を作るべきだというコメントを発していて、これに世論が同調するようになれば、一気にその風向きも変わることになるかもしれませんね。

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ただ、すでにユーロ7の導入に向けて大排気量エンジンなどを「廃止」してしまった自動車メーカー、それを決定して工場を電動化シフトさせた自動車メーカーも数多く、よって「ユーロ7の導入先送り」「ユーロ7の規制内容緩和」が決定されたりすると、「えぇ・・・」となるのかもしれません(こういった懸念もあり、現代は”素早く動かねばならない”ものの、その方向を間違うととんでもないことになったりする。よって選択肢は多く持つ方がいい)。

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参照:Reuters

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