| たしかにアルファロメオの主張も一理ある |
今後、自動車メーカーによってインテリアに対する考え方は大きく変わってゆくだろう
さて、以前より「我々が作るのは走るiPadではなく、真のドライバーズカーである」と宣言しているアルファロメオ。
今回あらためて巨大ディスプレイ不要論を強調しており、「もちろん、メルセデス・ベンツがデジタル技術を重視していることには敬意を表しますが、我々の顧客は、何メートルもあるようなインフォテインメント・スクリーンや、200種類ものデジタル・アシスタンス・システムのオン・オフを求めているわけではありません」とコメント。
これはアルファロメオが独自に行なった調査に基づく判断であり、つまりアルファロメオの顧客は運転中にZoomにてWEB会議を行ったり、空き時間にアングリー・バードをプレイしたり、何週間も先の天気を知ることには興味を持たないということを意味します。
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アルファロメオは現在大きく変わりつつある
なお、アルファロメオのCEOは少し前に交代しており、現在同CEOを務めるのはジャン・フィリップ・インパラート氏。
同氏は着任後に(品質を引き上げるため)トナーレの発売を延期したり、ドライバーズカーブランドへと回帰すべく再ブランディングを行ったり、1台あたりの利益を(台数よりも)重要視すると発言したり、ディーラーの店構えを新しくしたり、中古相場引き上げのために新しい保証プランやNFTを導入したりといった具合に、様々なチャレンジを行っています。
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実際のところ、ここまで果敢に攻めたアルファロメオのCEOはここ最近いなかったんじゃないかとも認識しているほどですが、同氏は「巨大なディスプレイを持つ」現代の自動車業界におけるひとつの流行にNOを突きつけているわけですね。
参考までに、メルセデス・ベンツのハイパースクリーンは56インチ、キャデラック・セレスティックは55インチ、ホンダeは(ドアカメラ含め)54インチ、リンカーン・ノーチラスは48インチ、キャデラック・エスカレードは38インチ、ルーシッド・エアは34インチといった具合に巨大ディスプレイを持つクルマは枚挙に暇がなく、ポルシェ・カイエンであっても(オプションの)助手席ディスプレイを含めると結構な面積のディスプレイを持つことになります。
アルファロメオは「ドライビングに必要な情報」の提供に特化
そしてジャン・フィリップ・インパラート氏は"カノッキアーレ"(ダブルカウルの計器クラスター)を維持し、ここに表示できない情報は大型ヘッドアップディスプレイによって補完されるとコメントしていますが、同氏は「ヘッドアップディスプレイにゴーストカー を映し出し、ドライバーが道路上でより良いポジションを取れるようにする可能性」についても言及しており、これはサーキットにおけるライン取りに加え、公道走行における車線変更等様々な状況にて活用されることになるのかもしれません。
ちなみにですが、現在のアルファロメオのラインアップだと、ジュリアとステルヴィオが8.8インチ、トナーレが10.25インチのインフォテインメントディスプレイ、そしてそれぞれ12.3インチの液晶メーターを備え、現代の基準だとこれらのインフォテイメントディスプレイは「かなり」小さい部類です。
ジャン・フィリップ・インパラート氏は以前に「今後発売されるアルファロメオは13インチ以上のインフォテイメントディスプレイを持つ」とアナウンスしており、時代の変化にあわせてディスプレイサイズが多少大きくなるものの、他社のように「ダッシュボードが全面スクリーン」といったことにはならないものと思われます。
参考までに、現在巨大スクリーンを採用する自動車メーカーのひとつであるBMWは「将来的に巨大インフォテイメントスクリーンはなくなる」とコメントしており、その理由は(今回のアルファロメオのコメントのように)ヘッドアップディスプレイがその役割に取って代わるだろうというもので、こちらに移行する自動車メーカーも少なくはないのかもしれませんね。
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参照:Autocar