| 電動化によって自動車に関する多くの物事が急激に変わりすぎた |
ただし「まさか23インチが標準化される」と思わなかったように、今後さらに想定外の方向へと事態が進んでゆくのかもしれない
さて、現在クルマそのものが大きくなり、かつ電動化によって車体重量が重くなるにつれ、それを支え、かつ優れた乗り心地を提供するためにホイール(タイヤ)サイズがどんどん大きくなっているという状況で、今や20インチオーバーも珍しくはなく、実際のところトヨタ・クラウンスポーツに装着されるホイールは「21インチ」。
このほか欧州勢だと22インチや23インチホイールを装着するクルマも数多く登場し、アメリカ車だとシボレー・シルバラードEVはなんと「24インチ」サイズのホイールを純正装着しています(現在のところ、自動車業界唯一の例である)。
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レンジローバーでは「23インチが限界」
そこで今回話題となっているのがランドローバーにてSVブランドディレクターを務めるジャマル・ハメディ氏がカーメディアに対して語った内容で、同氏いわく「23インチが限界だと思います」。
23インチよりもホイールを大きくするのは望ましくありません。24 インチのホイールはあまり見かけませんよね。 23インチがどうやらが限界のようです。しかし、いずれは24インチホイールを装着した自動車メーカーが同情するでしょう(注:上述の通り、実際にはシルバラードEVが24インチホイールを装着している)。
なお、これと同様のコメントはアウディのデザイン責任者、マルク・リヒテ氏によってもなされていて、アウディRS Q8が23インチのホイールとともに登場した際に「このサイズが現実的な限界である」とコメントしています。
ただ、なぜ23インチが限界なのかについては理由が語られていないのですが、察するに「車体構造や強度」がその理由なのかもしれません。
ホイールが大きくなるとそのぶんタイヤが大きくなり、そうなるとそれを収めるためのホイールハウスも大きくなってしまい、かつ前輪だと「タイヤを切ってもホイールハウス内に接触しないよう」逃げを作る必要もあるわけですね。
よって「あまりにホイールが大きいと」車両の構造的問題が生じたり室内空間を圧迫するというデメリットが生じるのでは、と考えていますが、これに加え、車輪が大きくなると、そのぶん重量(質量)も大きくなり、それを吸収できるだけのサスペンションを備えていないとかえって乗り心地が悪化したり、車両の破損に繋がる可能性も出てきます。
そのため、ランドローバー、アウディの「意図」はそういったバランス上の限界を指しているのではないかと思いますが、現時点でフルサイズのSUVにおける”最も優れたバランス”が23インチなのだと思われ、しかしそれでもレンジローバーにとっては「懸念が残り」、それを解決するために業界最大の、そして今のところ唯一のカーボンホイールを提供しているのかもしれません。
なお、このカーボンホイールは(4輪で)35.6kg軽くなるかわりに130万円以上もの対価を求められるオプションではありますが、それでも多くの顧客がこのカーボンホイールを注文したと見え、実際に前出のジャマル・ハメディ氏は「我々はできる限り早くカーボンホイールを製造している」とコメントしています(カーボンホイールの生産キャパシティがレンジローバースポーツSVの納車状況を左右するのかもしれない)。
いずれにせよ、いくつかの自動車メーカーが「23インチサイズのホイールが限界」だと考えていることには間違いなく、そして現在多くの自動車メーカーのホイールサイズが限界に近づきつつあり、各社とも「限界を超えるのか、それとも限界の範囲内で裁量を目指すのか」の対策を迫られることになるのかもしれません。
ただ、消費者の立場からすると、「異常に大きなタイヤを装着したEV」に乗っていると、ガソリン車に比較して早くやってくるタイヤ交換サイクルのたびに「痛い出費」を強いられることになり、大きなタイヤは「カッコいい」と思う反面、「ちょっと勘弁して・・・」と思ったりしそうですね。
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参照:Car Throttle