| 一方で「まだまだ上がる」という強気派も存在し、そのためテスラ株は一定のところからは下がらない |
ボクとしては「サイバートラックの受け入れられ方があまりにひどかった」ことがテスラ株売却の直接の理由である
さて、ぼくは(いったん)テスラ株に見切りをつけて手持ちのテスラ株を全て売却し、エヌビディアとフェラーリに乗り換えていますが、世界的にも「テスラ株離れ」が加速しており、多くの投資家が相次ぎテスラ株売却へと動いているもよう。
なお、テスラ株は2021年11月までの18か月間で当初の14倍に膨れ上がり、しかしピーク時からは半分以下、今年に入ってからも30%の下落を記録しています(それでも、ぼくが予想したよりは下がっておらず、予想外に持ちこたえているという印象である)。
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多くの投資家がテスラの状況を見守り、株価の乱高下に耐えてきたが
テスラの株主の多くは、長年にわたる小規模な不況を乗り越えてでもテスラに固執し、価格が回復するにつれて”忍耐”が報われるという繰り返しを経験していますが、現在同社は中国の自動車メーカーからの強い圧力にさらされており、さらには世界のEV市場も冷え込んでいるため、多くの投資家が「テスラとその株が過大評価されている」と考え始めるようになったのかもしれません。
ロイター通信によれば「テスラの投資家は過去4年間、勝ち負けのジェットコースターのような日々に耐えてきたが、一部の投資家にとっては、今こそ降りて別の魅力を見つける時だ。あるレポートによると、一部の大株主は、大きな成長機会はもうないと考え、株式を売却している」。※テスラ株に見切りをつける投資家の多くは、「テスラよりも成長余力の大きな会社に乗り換えている」ということになりそう
「物語は終わったと思う、というのが一番いい言い方だ」
投資家のロス・ガーバー氏はテスラが終焉を迎えたことをロイター通信に語り、同氏が率いるガーバー・カワサキ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントが今年中に(10年以上前に購入していた)テスラ株50万株を売却し、保有株数を約40%減らしたと説明(それでもまだ30万株を保有している)。
ロス・ガーバー氏が「テスラに見切りをつけた」理由としては、”活動が不十分な”テスラの広報体制、イーロン・マスク氏が本業とは関係のない”政治・文化問題への言及”など多岐にわたりますが、それらをまとめて「過去1年半、イーロン氏の世界観に基づく個人的な探求が、テスラとその株主の利益を上回ってきた」と言及しています。
実際のところ、ここ最近だと(救世主だと見られていた)低価格EVの開発停止、その一方で直近での収益に結びつきにくいと思われるロボタクシー(サイバーキャブ)への注力、さらにはAIやテスラボット(オプティマス)への投資など、たしかにイーロン・マスクCEOの興味が先行しているようにも。
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もちろん、これらについてもビジネスチャンスはあると考えているものの、現状を(すぐに)打開するには十分ではなく、この方向性を維持する限り、直近で大きく資金を失うことになるだろうと考えられます(ただ、イーロン・マスクCEOはそれを承知の上で戦略を転換しており、”我々は2つの成長の中間にいる”として現在が過渡期的状況であることについても言及している)。
参考までに、ロス・ガーバー氏は、テスラ株の適正相場につき、現在よりも40%低い100ドルが妥当だと考えていて、残る30万株については「一部を慈善団体に寄付して売却に伴う税金の影響を軽減する」「プットオプションを売却して税金のペナルティを受けずに収入を増やす」ために使用する予定だと述べ、いずれはすべてのテスラ株を処分することになるのかもしれません。
テスラの「自動運転」はビジネスとして成立しにくい
イーロン・マスクCEOは「ロボタクシーに未来をかけている」ようにも見え、たしかに中国にて自律運転に関する様々な協力を取り付けたことによって道がひらけつつあるようにも思えます。
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しかし(著名な米投資家である)グラハム・タナカ氏を含む他の投資家は、テスラが真の自動運転車を開発する上での技術的および規制上の障害を懸念しているとも報じられ、同氏が運営するファンドは(2011年に2ドルで買い始めた)テスラ株を過去6か月ですべて売却したという報道も。
このほか、ガベリ・ファンズも(今年第1四半期に)2022年初めに取得した6万5900株を「ファンダメンタルズが現実から乖離し始めているように感じ始めた」としてすべての保有株式を売却したとされ、以前からテスラ株を保有しているファンド、最近になってテスラ株を仕込んだファンド共に「テスラ株を手放す」動きを見せています。
さらにモーニングスターのデータによると、2019年以降テスラ株を保有していた18の投資信託のうち、直近の四半期に株式を追加取得したのはわずか5つに過ぎず、株式を売却した投資信託は10にものぼるというので、やはり「テスラ離れ」の傾向は鮮明なのかもしれません。
それでもテスラは「魅力を失わない」
反面、(今の時点でもテスラ株が大きく下がらないところを見ても分かる通り)熱烈なテスラ支持派も残っていて、支持派の大きな望みは8月に発表される「ロボタクシー」。
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実際のところウォール街の主要アナリストの間では「買い」または「強い買い」の評価が2月の17人から増加して19人となり、テスラ株を追跡しているアナリスト49人の平均目標株価は178.95ドルであり、これは週明けの終値より約1.5%高い数字です。
ウォール街は、この苦しい移行期間を乗り越えて、マスク氏らの長期的な成長ストーリーが生まれることを期待しています。自動運転は、その成功の秘訣の重要な要素です。
ウェドブッシュ証券アナリスト ダン・アイブス
そしてこういった強気派の主張を示すかのように、テスラは時価総額「5600億ドル」を誇り依然として世界で最も価値の高い自動車メーカーの座に君臨していて、2位のトヨタ(約3340億ドル)に大きく差をつけています。
ぼくとしては、「今後3-5年」という長いタームでのテスラの復活があると考えていて、しかし直近では(とくに今年)本業の電気自動車販売が大きく失速することで株価を下げることになるとも予測しており、大きく下がる場面があれば(そこからまだ下がるとしても)長期保有を前提としてテスラ株を再度仕込もうというスタンスです。
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