| 三菱は「ホンダ・日産」の提携に参加するより他の選択肢はないだろう |
近年の自動車の開発にはコストが掛かりすぎ、1台でも多くのクルマで開発費を分散したほうが有利になる
さて、今年3月にはホンダと日産が「EV分野で提携を模索する」と発表していますが、今回はそこに「三菱が加わる可能性が高い」との報道。
参考までに、日産とホンダは2019年に政府主導にて統合が進められるという計画があったものの、両者ともにこのプロジェクトに拒否反応を示したため(特にホンダは純血主義であり他社との協業を嫌う)、結果的には頓挫する形となっています。
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ただしその後事情が変わってしまい、お互いにいがみあっていられない状況となったために2024年3月の「提携を模索」という発表となったわけですが、この記者会見の場においてもホンダ・日産両陣営の態度は固く、過去の「しこり」が残っていることを伺わせていたわけですね(いやいや感があった)。
そして「提携を模索」と発表した後も、両社から具体的な協業に関するコメントがなされず(つまり今の段階では提携が実現したわけではない)、当初の予定では「進捗状況を夏に説明」とされていたものの、現時点ではなんら状況が明かされず、しかし今回「三菱が加わる可能性」が生じたことで大きく状況が進展することになるのかもしれません。
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「ホンダ・日産」に三菱が加わるとどうなるのか
そこで「ホンダ・日産」に三菱が加わるとどうなるのかということを考えてみると、もともと「ホンダと日産の提携」はEV分野に関してのものであったので、EVに強い三菱が食わるとなればある意味で「鬼に金棒」。
そして(資金不足にあえぐ)三菱も資金を獲得することによって研究開発を推し進めることが可能となり、その成果をホンダ・日産へとフィードバックすることが可能となります。
現段階では提携内容が発表されていないのでナントモではありますが、これら三者が「それぞれの持つ工場」にてバッジエンジニアリング車を製造することで新しい市場やセグメントへと参入することも可能となり、ホンダにとっては「4WD」「トラック」をもって東南アジアや南米へ、そして日産や三菱も同様に、これまで持っていなかった車種をもって、今まで存在感を発揮できていなかった市場へと挑むことができるようになるものと考えられます。
ただ、ホンダ・日産・三菱がそれぞれ競合しないための調整は必要ではあるものの、トヨタ連合つまり「トヨタ、ダイハツ、スズキ、マツダ、スバル」に対抗するため一丸となることは大きな意味を持つと考えてよく、この提携が「EV」を超えて広い範囲に及ぶことになれば、日本国内はもちろん、世界における自動車メーカーの勢力図に変化が生じることも考えられます。
なお、三菱が日産とホンダに加わることで一つの大きな勢力となり、トヨタ連合と並ぶことで日本の自動車業界は「2つ」に分かれることとなりますが、参考までに2023年度の販売台数だとホンダが407万台、日産が344万台、三菱が81万台(合計で832万台)。
一方のトヨタ陣営はトヨタが1030万台(これだけで日産とホンダと三菱をあわせたよりも多い)、ダイハツが98万台、スズキが316万台、マツダが124万台、スバルが92万台(合計で1663万台)。
つまり両陣営で「倍ほど」の開きはあるものの、日産やホンダ、三菱が「単独で」これらに挑むよりはずっと勝算が高くなり、今後の自動車業界はいい意味での競争が活性化し、面白くなってゆくのかもしれません。
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