Image:Volkswagen
| 現在、各自動車メーカーともにルックス上のアイデンティティを確立することが急務である |
そしてこういったアイデンティティの追求はテクノロジー、デザイン技術の進化によるものだとも考えられる
さて、あまり報じられていないものの一部で話題になっているのがフォルクワーゲンの「フロントグリル」。
何が話題なのかというと「どんどん小さくなっている」ということで、これは逆に大きくなり続けるアウディとは逆の傾向でもあり、両者が同じグループに属するだけに「奇妙な傾向」であるように感じられます。
なぜフォルクスワーゲンはフロントグリルを小型化するのか
現在フォルクスワーゲンが採用するのは「スリムライングリル」と呼ばれるもので、文字通り(左右のヘッドライトに連結する)非常にスリムなグリルにて構成されています。
このフロントグリルはゴルフ8にて初めて導入され、その後ジェッタやティグアンにも追加採用され、そしてフェイスリフト版タオス(画像は中国仕様)にも用いられていますが、とくにこのタオスだとフェイスリフト前に比較すると「かなり小さく」調整がなされていて、そこになんらかの意図があることは明らかです。
こういった一連の流れにつき、フォルクスワーゲンは同社の展開する電気自動車ラインアップ「ID」へと(ガソリン車の)イメージを近づけようとしているようにも思えますが、しかしフォルクスワーゲンによれば「本当の理由は横方向のライトバーをより目立たせるため」。
「デザイナーたちは、ライトバーを統合する優れた方法を見つける必要がありました。そして、以前のタオスでは、グリルバーに統合するだけでした。これまでのVWでは3本のクロームバーを(フロントグリルに)採用していましたが、顧客がよりモダンなデザインを求めているため、私たちはそれから離れつつあります。そして、今年見るすべての新しいクルマでそれが採用されるのを見るでしょう。」
たしかにフォルクワーゲンの維新のモデルを見ると「水平のライトバー(あるいはそれをつなぐストリップ)」が顕著であるように見え、しかしこれは「IDシリーズを模したもの」というよりは「フォルクスワーゲンがラインアップ全体においてこのデザインを採用する意向を持っており」ID、ガソリン車ともどもこれに従うために最適なデザイン手法を採用しているのだとも考えられます。
なお、現代の自動車業界において「デザイン」は大きな意味を持っており、というのもいずれの自動車メーカーのクルマも機能や性能的には伯仲しており、差異を出せるのが「デザイン」くらいであるということ、そして現代の情報伝達手段が主に「ネット」「SNS」であり、そこではデザイン的な排他性がブランドバリューを構築するであろうこと。
しかしその一方、世界最大の自動車市場である中国では「個性的なデザイン」よりも「ほかと同じようなデザイン」が好まれ、価格が最大の差別化要因となっているように思われ、市場ごとの様々な特性に対応するため、各自動車メーカーともに頭を悩ませているのかもしれません。
そしてこういった「デザインで個性を出せるようになった必要性」については上述の通りですが、それが可能になった「理由」についてはやはり「LEDテクノロジーの登場と普及による技術革新」でもあり、そう考えると今後さらなる技術の登場によってクルマの「顔」が変わってゆく可能性もありそうですね。
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