Image:Ford
| この命令を見る限り、テスラは(同様の命令を出されていないので)「ちゃんと」リコールに対応しているのだと考えられる |
よほどのことがないとここまでの命令は下されない
さて、2024年上半期には「リコール王」と認定されてしまい、これに対応する多額の費用が利益を圧迫するとして株価が低迷しているフォード。
今回はリコールに関してさらなる災難が降りかかり、なんとアメリカ合衆国道路交通安全局(NHTSA)が「欠陥のある後部カメラを搭載した車両のリコールを連邦のリコール要件に従って実施しなかった」として、フォードに対し1億6500万ドルの民事罰金を課したとの報道。
この1億6500万ドルというのはタカタ(エアバッグ)の2億ドルの罰金に次ぐ過去2番目に大きな金額ですが、まずフォードは6500万ドルの即時現金罰金を支払い、さらに5500万ドルが「保留」とされ、フォードが今後3年間にわたり規定を遵守することを条件に支払いが確定し、残りの4500万ドルは先進的なデータ分析、新しい情報および文書インターフェースプラットフォーム、そして後部カメラ部品のテスト用新施設の設立に投資されると報じられています。
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これはフォードに対して大きなダメージとなりうる
本件に関連し、NHTSAはフォードに対して過去3年間のリコールを再検討し「適切に範囲を設定したかを確認し、必要に応じて新たなリコールを実施すること」を要求していますが、この命令はNHTSAが2021年8月に調査を開始した結果、フォードが影響を受けた車両を迅速にリコールせず、正確で完全なリコール情報を提供しなかったことを受けて発行されていますが、要はNHTSAがフォードに対し「悪意がある」と判断したということに。
参考までに、フォードは2023年と2022年にそれぞれ56件と68件のリコールを発表し、合計で数百万台の車両に影響を及ぼしたことも新しく、そのためフォードは「それ以上」リコールにかかるコストを増やしたくなかったのかもしれません。
一方のフォードは「NHTSAには問題解決の機会をいただき感謝しており、今後も安全性とコンプライアンスの向上に努めていきます」とだけ簡潔に述べていますが、今後はNHTSAに対して「誠心誠意」尽くす必要があり、3年間の同意命令期間中(保留期間中)、NHTSAと四半期ごとに会合を開かなければならず、その期間は(状況に応じ)4年目に延長される可能性もあるといい、つまりフォードはNHTSAに完全に目をつけられてしまい、その監視下におかれるのだと考えられます。
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